奪う

8月19日(水)

私が入った初級クラスは、日本人ゲストを迎えての会話がありました。学生たちは、日本に住んでいるとはいえ、教師以外の日本人と話す機会はそんなに多くありません。アルバイトをしているとしても、そこで話す日本語は限られた話題で限られた語彙や文法だけですから、必ずしも学生たちを満足させるものではありません。

初級の場合、いきなり会話と言われてフリートークができるはずがなく、事前の準備をがっちりしておかなければなりません。昨日宿題プリントが配られ、それを元にゲストに考えてきたことを話したり、ゲストから話を聞いたりしました。そういう活動ですから、とんでもない方向に話が行ってしまうことはあまりありません。

とはいえ、学生の個性はかなり表れます。CさんとRさんは同じグループだったのですが、Cさんは思いついたことをすぐ口に出すタイプなのに対し、Rさんは話す内容や話し方をきちんと考えてから言葉を発します。Cさんは文法的な正確さはそっちのけで、どんどんゲストに向かって話しかけます。こちらの想定した内容ではない範囲にまで踏み出していきます。押され気味のRさんがチャンスをつかんで日本人に質問しても、その答えを聞いたCさんがすぐ自分の方向に話しを持って行ってしまいます。

私はこういう活動の場合、そのグループの流れに任せるのが常なのですが、このグループには介入しました。Cさんを強制的に黙らせて、他の学生に話すチャンスを与えました。日本人と話せるせっかくのチャンスをCさんに奪われてしまったとなっては、そう感じる学生も、Cさん自身も不幸です。

もうすぐ面談がありますから、Cさんにはそのときに注意するつもりです。でも、これは性格であり、Cさんには野生児的なところもありますから、すぐには解決しないかもしれません。

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