面接に弱い

10月4日(月)

先週末から、奨学金の面接をしています。もう少し正確に言うと、文部科学省学習奨励費受給者として学校が推薦する学生を決定するための面接です。申請した学生は、みな出席率が100%に近く、成績もクラスやレベルの中で上位を占めています。

そう聞かされていたのですが、それにしては学生たちの受け答えがパッとしません。声が小さかったり、語彙や文法が間違っていたり、態度に落ち着きがなかったりと、奨学金をもらうような模範生には程遠い惨状が繰り広げられています。

申請者の多くを受け持っていたT先生によると、ほぼ全員が極度の緊張状態に陥っていて、クラスの授業での様子とは全然違っていたそうです。確かに、今までの奨学金の面接では、私も半分かそれ以上の学生と顔見知りでした。ところが今回は、名前ぐらいしか知らないか、せいぜいオンラインで何回か触れた程度です。

だから、初対面に近い私に対して学生が緊張するのは、わからないではありません。しかし、それにしても限度というものがあります。この面接の場で、授業中の発話力の1/10も発揮できなかったとしたら、この先に控えている志望校の面接試験など、受かろうはずがありません。

面接練習だったらかなり厳しい質問もしますが、奨学金の面接では学生の生活の様子を尋ねるのが中心です。初級の学生でも答えられるような内容ばかりでしたから、中級以上の、しかも成績優秀な申請者たちには、楽勝のはずです。

オンライン授業だと気楽に発言できると言われています。それが、誰の視線も感じることがないという理由だとすると、面接のような知らない人からの視線にさらされるというのは、学生に大きな緊張を強いるものかもしれません。ここまで枕を並べて討ち死にというのであれば、そういうことがあるのでしょう。

これは、学生たちばかりを責めるわけにはいきません。内弁慶を作らない授業の工夫が必要です。岸田新首相の誕生を祝うかのように、東京の新規感染者数が11か月ぶりに2桁になりました。学生が入国できる日が近づいたなどと喜んでばかりではいけません。

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