弱いまなざし

4月25日(火)

今学期に入ってから、火曜日のクラスでは毎週最近のニュースの映像を見せています。近頃の学生たちはテレビを見ません。ニュースも文字情報として取り入れていますから、日本で暮らしていながらも、耳を鍛えるチャンスは意外なほど少ないです。

映像を見せる直前に、ニュースの見出しのディクテーションをしていますから、多少はどんなニュースか見当がつきます。しかし、ニュースの映像となると、単にニュース原稿を読み上げるだけではなく、各局独自の切り口による分析や解説も加わります。上級クラスですから、そういうところも聞き取ってほしいと思っています。

映像は、それ自体が内容理解の助けになりますし、要点は字幕で表示されますから、聴解力を養うという点から言うと、効果のほどは怪しいかもしれません。でも、モニターを真剣に見入っている学生たちを見ていると、いせ続けていきたいなあと思います。

ところが、YさんやHさんは、毎週映像が流れ始めるとスマホに視線を移します。普段の授業中の様子からすると、ニュースの音声がつかめていないのではないかと疑っています。何とか食らいつこうという向上心や、何でも知ってやろうという好奇心みたいなものは、持ち合わせていないのでしょうか。

入試に合格すれば留学成功だと思っているのだとしたら、大きな間違いです。向上心や好奇心こそ、進学してからの学問成就を支えます。物価上昇が続く日本でどんな社会的変化が起こりつつあるか、これって、Yさん、あなたの研究テーマにかかわりがあるんじゃないんですか。

多くの学生の強いまなざしよりも、うつむきがちの視線のほうが気になりました。

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