タダで勉強

11月26日(水)

Gさんは高校大学時代を英語圏の国で送り、大学院は日本でということで来日し、現在、KCPの初級クラスで勉強しています。「英語の方が日本語より上手ですか」と聞くと、「もちろんです」と言いたげな顔をしつつうつむきました。その辺のところ、複雑な心境なのでしょう。

当然、英語で受験できる大学院を狙っています。先日も、大学院の入試関係で2日ほど欠席しました。クラスの他の学生たちは、日本語力的に見て26年4月進学は無理と考え、27年度進学を目指しています。でも、Gさんは来春の進学のために動き回っています。

英語プログラムが用意されているところとなると、やはりある程度のレベル以上の大学院となります。Gさんも苦戦が続いているようです。入試対策・勉強のために時間が費やされ、日本語の勉強に回せる分は限られてしまいます。だから、というわけでもないのでしょうが。中間テストを見ると、文法や単語をきちんと覚えていないことに起因するミスが目立ちました。このままでは、26年進学どころか、27年4月の進学も危うい感じすらします。

そんな話をGさんから聞いて職員室に戻ってくると、卒業生のMさんが来ていました。S大学に進学して、現在3年生だそうです。そして、もう、就職の内定が取れたと言っていました。つまり、27年4月入社の内定です。こんな早くに内定を出しちゃっていいの? と聞きたいですが、Mさんは嘘をつくような学生ではありませんでしたから、信じていいでしょう。

さらに驚いたことに、Mさんは奨学金のおかげで実質ほとんどタダで大学の勉強をしているのです。S大学はあちこち落ちまくった末に受かった大学で、Mさんの第一志望ではなく、いわゆる有名大学でもありませんでした。一時は仮面浪人して他大学に入る直すことも考えました。しかし思いとどまって勉強をつづけ、サークル活動もエンジョイしながら内定を手にしたのです。第一志望の有名大学に進学していたら、勉強と学費稼ぎのアルバイトに汲々とする日々を送っていたのではないでしょうか。

大学受験においては、Mさんは勝ったとは言い難いです。しかし、日本で就職するというのがゴールだとしたら、Mさんは勝ち組です。Gさん、どうです、あなたもゴールの設定を考え直してみては。

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