Category Archives: 勉強

自信につながれ

2月26日(木)

Lさんが漢字復習テストで初めて満点の10点を取りました。新入生のLさんは、学期の最初、自分は漢字が全然書けないのでずっと進級できないかもしれないと、授業後に1時間近く相談に乗ってあげた学生です。

確かに、学期が始まった直後の漢字復習テストは、2点とか3点とか、0点を免れるのがやっとという点数でした。苦手意識が先立ってしまい、書くのも読むのも投げているような状態でした。

相談に来た時、“まず、読みで点を稼ぎなさい”とアドバイスしました。そして、読み問題の漢字が書き問題で出ることがあるから、問題文の漢字をそのまま写して点を取れば、合格点(6点)も夢ではないという話をしました。

これがずるい点の取り方のように見えるかもしれませんが、「時間」の“間”は、「コンビニとレストランのあいだ」の“あいだ”にも使うというのは、立派な漢字の知識です。それを元に点を取ったとしても、ズルではなく漢字力でもぎ取った点だと思います。漢字に対する勘を養うことにつながっていくのです。

そうやって合格点の日がだんだん増えていき、そして、ついに、満点を取る日を迎えたというわけです。中間テストは毎日の漢字復習テストより試験範囲がはるかに広いので合格点は取れませんでしたが、箸にも棒にも掛からぬほどではありませんでした。期末テストで挽回可能な範囲の不合格点でした。

記念すべき10点のテストは、明日Lさんに返されます。それを見て自信をつけ、期末テストでは堂々の合格点を取ってほしいです。

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採点結果

2月25日(水)

中間テストの採点をしました。私の担当は、中級クラスの「表現」です。文法みたいなものです。

選択式の、記号で答える問題はまあまあ答えられるのですが、自分で考えて、文を作ったり穴埋めをしたりする問題となると、減点減点減点で、あっという間に点がなくなってしまいます。今学期勉強した表現もさることながら、今までに勉強したはずの事柄も間違えちゃうんですねえ。自動詞と他動詞が反対だったり、助詞を間違えたり、形式名詞を入れなきゃいけないのに抜かしたり、濁点や促音を落としたり、“忙しい気味”なんてやっちゃったり(気持ちはよくわかりますが…)、もっともっともっと正確性を追求してもらいたいです。

それから、文をきちんと読んでいないんですねえ。文法表現の“かけら”に反応して文を作ってしまうので、文全体を見渡すと意味が取れなくなっている答えが目立ちました。学生たちの辞書には、「見直す」という単語はないのでしょうか。

学生たちの多くは、自分はそこそこできたと思っていることでしょう。しかし、採点結果を見たら、茫然自失に陥るに違いありません。自分の頭に残っているものがいかにあやふやでいい加減なものか思い知らされて、血の気が引いてしまった学生の顔が手に取るようにわかります。

でも、これは、私たちの教え方、授業の進め方に何かが足りなかったことの証左にほかなりません。こちらも学生の間違え方を十二分に研究して、これからに備えて行かねばなりません。

今週末は、卒業認定試験があります。こちらの試験結果については、“これから”がありません。

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仲良し

2月20日(金)

TさんとGさんは仲良しで、教室ではいつも隣に座ります。ペアワークも2人でやります。いつも同じペアになるのは好ましくない点もありますから、この2人が組まないようにあえてクラス全体をシャッフルし、席の離れた学生と組ませることもあります。

授業中に仲がいいのは構わないのですが、この2人は欠席する時も調子を合わせているようです。本人たちに欠席理由を聞いてもそんなことは言いませんが、よく同じ日に休みますから、そんなことを疑っています。2人とも進学先が決まり、卒業式までの学生ですから、授業から何かを得ようという気持ちも薄れているように見受けられます。“楽しい勉強”に傾き過ぎているきらいがあります。

私たちは、進学してから困らないだけの日本語力をつけてもらおうと思い、授業や教材や教室活動などを考えています。そういうことをはっきり言うこともあります。理解してそういう方向に動いてくれる学生もいますが、左の耳から右の耳へ抜けていく学生もいます。TさんとGさんは、残念ながら、後者の典型です。KCPの教室の中ではそこそこできますが、進学先の教室ではどうでしょう。大きな大きな疑問符をつけざるを得ません。

卒業式までカウントダウンに入ったこの期に及んでは、もはや打つ手はほとんどありません。“合格=その学校の授業が受けられるだけの日本語力が保証された”と思い込んでいます。そう思い込んでしまった学生の信念を変えさせるのは、至難の業なんていうものではありません。2人は今から勉強しても手遅れかもしれませんが、そういうマインドだけは持ってもらいたいです。

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挑戦は続く

2月17日(火)

先週のこの稿に書いたように、上級の選択授業「漢字検定に挑戦」の中間テストを行いました。予定通りの部首の問題と、漢字熟語の構成の問題を出しました。漢字熟語の構成とは、例えば”新年“は、“新”が“年”を修飾しているとか、“貯金”は“金”が“貯”の目的語になっているとか、“建築”は似たような意味の漢字でできているとか、そういったことを答えてもらう問題です。どちらも選択式にし、漢字が書けなくても点が取れるテストにしました。“仏の金原”の面目躍如です。

とはいえ、勉強してきた学生がいい成績になるように、勉強してこなかった学生は点が取れないように、部首の問題は選択肢を増やしました。これが当たったみたいで、勉強してきたと思しき学生はさっさと記号を書き入れ、30分の試験時間に対し10分ほどで終わってしまいました。勉強してこなかった組は、最初は頭をかきむしっていましたが、そのうちおとなしくなりました。あきらめてしまったのでしょうか。

授業後採点してみると、選択式ですから白紙かそれに近い答案はありませんでした。でも、部首の問題は差が付きましたねえ。満点が数名いた一方で、まぐれ当たりが何問かという学生も同じくらいいました。しかし、漢語の構成はまぐれ当たり組もちゃんと考えて答えた形跡があり、そこそこの成績が取れていました。その結果、不合格はごくわずかで、“この学生が不合格なのは当然だね”という面々でした。

部首が思ったより出来が良かったのは収穫でした。池袋の池はさんずい、飛球市民の地はつちへん…などと記憶を強化していけば、日本人の高校生並みになれると思います。漢字検定に挑戦のみなさん、ぜひ、挑戦してみてください。

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U字曲線

2月4日(水)

“異文化適応のU字曲線”という話が中級の教科書に出ていました。留学を始めたばかりの時期はハイテンションで、生活全般に積極的になっています。その時期が過ぎると、ネガティブな面が見えてきたり辛いことが出てき始めたりで、気持ちが落ち込みます。その後、何かきっかけをつかめばまた気持ちが上向くという、心の変化を表したグラフです。

私のクラスでこれを扱いました。先学期の入学生Lさんに今はどの辺かと聞いてみると、もう落ち込む時期に入っていると笑いながら答えてくれました(ほんとうはそんなに落ち込んでいない?)。来日1年以上になるWさんは、その落ち込みも克服して、今は進学が決まったこともあり、気持ちが高まっているそうです。

留学の最初から最後まで高いモチベーションを保ち続けるのは、至難の業というか不可能でしょう。最上級クラスのSさんは2年近くKCPに在籍していますが、まさにこのU字曲線の連続です。モチベーションが下がると休みがちになり、出席してもスイッチが入っていないような態度になります。モチベーションが高い時は積極的に発言し、何にでも挑戦しようという姿勢が見て取れます。志望校に合格した時はハイな状態でしたが、今は落ち込むモードのようです。卒業式が近づき、大学入学後の姿が明確に描けるようになったら、また活発になるのでしょう。

Cさんは、留学開始直後のハイテンションな時期がなかったか、あっという間に終わってしまったか、新入生のころは生活に疲れたような顔をしていました。欠席も多かったです。しかし、進学するにはこれではいけないと思ったのか、去年の秋ぐらいから顔つきが変わってきました。進学先が決まったのが大きいのか、今は授業中にもよく答えるし、出席率もほぼ100%です。U字曲線ではなく、L字を倒したような変化です。

中級クラスには、4月に進学する学生もいれば、来年のこの学期まで勉強する学生もいます。進学する学生は、進学先でこのU字曲線を描くのでしょう。もう1年KCPで頑張る学生は、落ち込みを乗り越えて来年の今頃は幸せな顔をしているのでしょうか。

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授業態度

1月28日(水)

Yさんは、授業中全くやる気を見せません。教室では、教卓から一番離れたところが定位置です。毎日行っている漢字の復習テストも、ほぼ白紙です。先週の文法テストは。選択式の穴埋め問題だけ記号で答えていました。今週も同様です。先学期からの引継ぎ簿を見ると、先学期の先生も持て余していた様子がうかがえます。学校や入管からにらまれない程度には出席する――というのが、Yさんのスタンスのようです。

9時数分前、私が教室に入ると、すでにYさんはいつもの席に着いていました。授業が始まったらすぐに漢字の復習テストと文法のテストがあるのですが、ずっとスマホに見入っていました。9時になり、「Yさん」と出席を取っても「はい」と返事をするわけではなく、かったるそうに手を半分挙げるだけです。

漢字復習テストを始めてもシャープペンシルを走らせるわけでもなく、回収すると名前しか書いてありませんでした。すぐに文法テストの用紙を配ると、2、3分は何かしていたようですが、その後は机を枕にびくともしませんでした。動き始めたと思ったら、スマホをいじってにやけていました。カンニングする気持ちすらないようでした。

漢字の時間、「Yさん、その次の文を読んでください」と指名すると、Yさんは一瞬だけ私の方を見ましたが、すぐまた下を向いてしまいました。私が黙ったままでいると、険悪な雰囲気を感じ取った隣の学生がどこを読むか教えました。しかし、Yさんは一向に読もうとしません。時間の無駄ですから、別の学生に読んでもらいました。

文法の時間のグループ活動にも参加しようとしませんでした。同じグループになった学生も、誘おうとしません。クラスメートにも愛想を尽かされているようです。Yさんは、他の学生たちが楽しそうに語り合っている中、1人で漢字の教科書を開いていました。

卒業式までこんな生活を続けて、楽しいんでしょうかね。

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第1歩の2問

1月26日(月)

Sさんは漢字が苦手な新入生です。毎日の漢字復習テストでいつも不合格です。「漢字の意味はわかるけど、書くのはどうしても苦手で…」と言っていました。本人もどうにかしようと思っているのですが、どうにもならないのが現状です。

漢字の復習テストは、前回の漢字の授業で勉強した漢字(熟語)の読み書き各5問で構成されています。6問正解で合格です。教科書に出てきた漢字やその熟語をそのまま問題にしていますから、復習してくれば合格点は取れるはずです。しかし、Sさんは書き問題で点が取れませんから、合格点に手が届きませんでした。

授業後、朝一番でした漢字復習テストを採点してみると、Sさんは6問正解で合格しました。初めての合格です。読み問題4問と、書き問題が2問正解していました。

書き問題は捨てて、読み問題5問を確実に正解すること。書き問題には、読み問題の漢字が使われるので、読み問題のどの漢字と書き問題のどの漢字が同じかわかれば、1問か2問は正解するはず。

実は、先週、上のようなアドバイスをしました。それがようやく実を結んで、書き問題2問の正解に結びつきました。“ねむい”を“眠むい”と書いた惜しい間違いもありましたから、大いに進歩したと言えます。明日以降も期待したいところです。

強固な苦手意識を克服するのは、たやすいことではありません。Sさんにしても、これで苦手意識が消え去ったわけではないでしょう。でも、その第1歩は踏み出したと言えます。これを契機に、漢字を書くことにもお、お城さを見出してもらいたいです。

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デジタルネイティブの宿題

1月22日(木)

中級クラスでは、毎日、学習管理システム上に宿題を出し、学習管理システム上で提出することになっています。教師は自席のPCでだれがどんな解答を出したかわかるようになっています。私も中級クラス担当の日には宿題チェックを怠りません。間違えた学生が多い問題は、授業中に解説を付け加えます。

8:30現在で宿題提出者はクラスのやっと半分でした。うち1名は朝6時に嘔吐したので休むとメールしてきました。この調子だと、出席者中の宿題提出者が半分を切ってしまうかもしれません。そうなると、宿題のフィードバックも意義が薄れてしまいます。

授業中、学生がテストをしている最中に、授業用のタブレットでこっそり提出状況を調べてみましたが、提出者は増えていませんでした。宿題のフィードバックの際に、宿題提出者の名前を読み上げ、名前を呼ばれなかった学生は授業後残って宿題を提出してから帰るようにと指示しました。

授業が終わりました。「先生、さようなら」と言いながら、学生たちが次々と教室を後にします。「Aさん、宿題は?」と未提出の学生に声をかけると、「先生、大丈夫です」とにこやかに手を振って友だちと出て行きました。職員室で改めてチェックすると、Aさんは提出していませんでした。“大丈夫”にしてやられました。

学生の名誉を重んじて、未提出の学生の名前を呼び上げなかったのが敗着でした。未提出の学生にとって自分事になっていなかったのです。次回は情け容赦なく、名前を板書してやりましょう。

そして、ふと思ったのですが、紙の宿題だったら、ここまで提出率が悪かったでしょうか。現物を提出しなかったとなると、罪悪感が桁違いに強かったことでしょう。

デジタルネイティブの学生も意外とアナログ的なのか、デジタルネイティブだからこそごまかし方を心得ているのか…。宿題をしないと、テストで敵討ちされるんですよ。

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入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。世界の各地から、このように多くのみなさんがこのKCPに入学してくださったことをとてもうれしく思っています。

みなさんはいつ日本へ来ましたか。去年のうちに来た人は、お正月を迎える日本と日本人の様子を観察できたのではないかと思います。日本人は新年に何をするかというと、お節料理をつついたり、帰省先で親戚や友人に会ったり、家族連れで買い物に出かけたり、などということが一般的です。そして、忘れてはいけないのが初詣です。

日本には「一年の計は元旦にあり」という言葉があります。年が改まり気分も一新された元旦にその年の目標を立てれば、その目標に向けて気持ちよく歩み始められるという、昔の人の知恵、教訓です。その一年の計を立てた人たちが、目標の成就を神様や仏様に誓い、助力をお願いするために祈りをささげるのが初詣です。みなさんのように、日本語が上手になりたい、志望校に合格したいなどという学業成就をお祈りするなら、東京では湯島天神や亀戸天神へ行くことが多いです。

初詣に行くかどうかはともかくとして、KCPでの勉強を始めるにあたって、留学の目標とそこに到達するための計画は立てておくべきでしょう。昨年末、今ここにいらっしゃるみなさんの中の数名にオンラインでインタビューしました。その方たちはみなしかるべき目標を持ってKCPに入学しようとしていることがわかりました。しかし、目標は、実現してこそ、少なくとも実現のために努力してこそ、意味があるのです。立てるだけなら誰でもできます。何の努力もせずに実現してしまうような目標は、その人の成長に寄与しません。最大限の努力をもってしてようやく手が届く目標こそが、みなさんのこの留学に豊かな実りをもたらすのです。

かといって、高すぎる目標は、これまた有害無益です。挑戦しても挑戦してもはじき返され、敗北感に打ちひしがれてしまうかもしれません。負け癖がついて、“どうせ私は…”と最初から勝負を捨ててしまったり、失敗を糧にしようとせず、同じ失敗を平気で繰り返すようになってしまったりしたら、成長など望むべくもありません。“日本留学で覚えたことはあきらめることだけだった”などということのないようにしてもらいたいものです。

暦の上での元旦はだいぶ過ぎてしまいましたが、みなさんの日本留学の元旦は、今この瞬間です。新鮮な気持ちで志高く留学の目標を掲げてください。そして、そこに向かってたゆまぬ努力を続けていくことが、結局は目標到達への近道なのです。学問に王道なしです。今の苦しさの先に、その何倍、何十倍もの喜び、安らぎがあると信じて進んでいってください。

苦しくなったら、私たち教職員を頼ってください。私たちにはみなさんの先輩方を指導してきた経験という引き出しがあります。みなさんには、その引き出しをぜひ活用してもらいたいです。それがみなさんの留学目標の成就につながるのでしたら、私たちにとって、これ以上の喜びはありません。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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朝の合格

1月9日(金)

9時過ぎ、月曜日と火曜日に宿題の問題集を買って帰ったYさんが来ました。「問題集をやって、金曜日の10時に学校へ持って来る」という約束をしていました。こういう約束をしても、その時間に遅れてくる学生が大半なのに、30分以上早く来た点は認めてあげてもいいでしょう。

「はい、じゃ、宿題を見せて」「はい。2の問題集は難しいです」「2には、レベル1で勉強しなかった問題もあります。だから難しいです」なんていうやりとりをしながら、“難しい”という感想が出てくるということは、実際に解いてみたということでしょう。立派なものです。

持って来た問題集を見ました。最初の課は「わたし(   )チンです。ちゅうごく(   )きました。」なんていう程度ですから、できて当然です。最後の課は「あした、雨が(降ります⇒   )と思います。」なんていうのですから、きちんと勉強していないと、正解にはたどり着きません。Yさんはちゃんと答えていました。

全部のページを隅から隅までチェックしていたらとんでもなく時間がかかってしまいますから、間違えやすいページをピックアップして見てみました。×だった問題もありましたが、私が指摘するとYさんはその間違いに気が付いて自分で直せましたから、勉強はしています。

ということで、Yさんにはレベル2に上がってもらうことにしました。難しい方の問題集にはレベル2で勉強する内容も含まれていますから、レベル2の授業の復習も兼ねてやってもらえばいいでしょう。

そう伝えると、Yさんはにこやかに帰っていきました。でも、本当に苦しいのはこれからですよ。レベル1の2倍ぐらい勉強しないと、“宿題をして進級”にすらなりませんからね。

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