Category Archives: 自分自身

ご無沙汰してました

7月6日(月)

前回の出勤が6月23日ですから、実に13日ぶりの出勤です。去年の10連休以上に休んでしまいました。厳密にいうと、7月2日に病院へ行く道すがらちょっとだけ顔を出しましたから、この間まるっきり学校に近づかなかったわけではありません。

さて、再起動最初の仕事は養成講座の講義でした。私が担当しているのは演習や実習ではなく講義形式ですから、オンラインです。オンラインだとマスクもフェイスシールドも必要なく、鬱陶しい思いをしなくて済みます。窓も開けなくていいので、隣のビル工事の騒音にも悩まされません。ZOOMの使い方にも慣れてきましたから、椅子に腰かけてのんびり授業ができるようになりました。

日本語の先生になりたいというくらいの方たちですから、けっこう活発に意見や質問が出てきます。日本語に対する勘もよさそうで、5月までの講義は予想以上に進みました。ですから、今月からの講義はあれこれ考えてもらうパートを増やし、私の話が上滑りしないように、3歩進んで2歩下がるくらいの構えでいこうと思っています。

次の講義はあさってです。休みの前に集めておいた資料を読み込んで、受講生の知的好奇心を触発するような講義を作り上げたいと思っています。だけど、次回は敬語が中心ですから、今までの経験からいうと、いかに優秀な受講生でも、講義を楽しむより敬語の忘れっぷりに愕然とすることが多いようです。ボコボコにならないように予習してくるように言っておきました。受講生のみなさんも巣ごもりの日々でしょうから、その暇つぶしに取り組んでくれるのではないかと期待しています。

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あさイチの冒険

6月13日(土)

関東甲信地方が梅雨入りしたおととい、朝、ちょっとした冒険をしました。最寄駅から3つ新宿御苑前寄りの駅まで約4キロを、マスクをしないで歩きました。“朝”といっても、みなさんの感覚よりもはるかに早い時間帯で、曙の頃です。ですから、人ごみの中を歩いたわけではありません。

新聞を読みながら朝食を済ませ、ちょうど4時ごろ出発。日の出は4:24でしたから、その約20分前で、上空の雲がどうにか途切れているのがわかる程度の明るさでした。だんだん明るくなっていく街を歩くと、なんだか希望が湧き出てきます。だから、私は好きですね。

こんな早い時間に歩いている酔狂な人などいないだろうと思っていたら、4キロの間に10人ぐらいいましたね。散歩とかジョギングとかの人もいれば、自転車に乗っている人にも出会いました。スーツにネクタイではありませんでしたが、半袖のワイシャツに大き目のかばんという私の姿は、そういう人たちの目にどう映ったでしょう。

マスクをしている人としていない人と、半々くらいでした。半径2m以内に人がいなければ、マスクをしなくてもうつしたりうつされたりする恐れはないと言いますが、すれ違う時でも十分それくらいの距離を取ることができました。そうです。私はマスクをしない日常に戻る第一歩を記したかったのです。速足で歩き、久しぶりに、外の空気を鼻から直接、マスクを通さずに吸いました。明け方なのに車が多い幹線道路に沿って歩きましたからおいしいとまでは言えませんが、早朝のしっとりひんやりした空気は、鼻にも肌にも心地よかったです。

目的地に着いたら、地下鉄駅の入り口でマスクを装着。冒険は40分ほどで終わりました。

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3か月ぶりの快感

6月5日(金)

オンライン授業の3か月間、私のペンケースに異常が見られました。赤ペンのインクがさっぱり減らないのです。1か月に1本か、もしかするともっと激しく使っていたかもしれませんが、最近はとんとご無沙汰しています。去年、うちの近くのホームセンターで値引きをしたときにたくさん買い込んだのですが、それが袋に入ったまま職員室の机の引き出しに陣取っています。

今週から対面授業が始まりました。宿題のチェック、テストの採点、例文の直し、作文の添削と、久しぶりに赤ペンを握る機会が増えました。インクが目に見えるほど減ったわけではありませんが、線を引いたり、〇を付けたり、思いっきりペケにしたり、学生が書いた字の上に書きこんだり、2月までと同じように活躍しています。

学生にとってはどちらがいいのでしょうか。Google form上で電子的に採点されたり直されたりするのと、紙の上でアナログ的に赤を入れられるのと。

教師としては、記録を取っておきやすいという面では、コンピューターで処理する方が便利です。学生間の比較もすぐできますからね。しかし、私のようなアナクロなアナログ人間は、赤ペンを握った方が直したという実感が得られます。また、コメントの文字を荒らげることで「何考えとるんぢゃ!」とかって、内心の怒りを表すこともできます。

昨日学生に書かせた作文の添削をしました。最初に読んだKさんのは、“おっ、なかなかやりよるのお”という感じでした。この調子なら楽勝かなと思ったのも束の間、次のCさんので失速沈没しました。でも、真っ赤に染まった原稿用紙を見ていたら、なぜか快感が湧いてきました。

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勝手が違う

6月2日(火)

調べてみると、オンライン授業を始めたのは2月28日でした。その前日は卒業認定試験でしたから、対面授業の最後は2月26日でした。それ以来、97日ぶりに、学生を前にして教室で授業しました。

中級までは口をはっきり見せた方がいいということで、マスクを取ってフェイスシールドを付けて、授業に臨みました。しかも、換気を考えて窓を開けて授業しましたから、外の雑音に負けずに学生に声を届けようとすると、腹の底から声を出さなければなりません。中級の授業なのに初級並みに疲れました。

それと、学生同士のペアワークは「密接」になりかねませんからできません。そのため、授業が“教師-学生”というやり取りに限定されてしまい、単調になってしまいました。コーラスも避けた方が安全だということで、ある学生に例文を読ませても、「はい、みんなで」という進め方ができません。私は、初級・中級では、全体コーラスでリズムを作って授業を組み立てていましたから、やりにくいことこの上ありません。

学生も、マスクもしているし、3か月以上ぶりで緊張もしているし戸惑ってもいるし、なんだかぎこちない授業になってしまいました。でも、オンライン授業は眠くなるけど、学校の授業は眠くならないと言ってくれた学生がいましたから、少し救われました。

気が付いたら、期末テストまでちょうど20日です。このクラスの学生の顔を覚える前に終わってしまいそうです。みんなマスクをしていますから、髪の色が変わってでもいないと、特徴がつかめません。今学期中級ということは、卒業まで私が面倒を見ることになるかもしれない学生たちです。大事に育てていきたいです。

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格調低く

5月19日(火)

先週発表された6月のEJUに続き、7月のJLPTも中止になりました。たとえ近々緊急事態宣言が解除されても、7月初旬に大勢を集めて試験をするというのはリスクが大きすぎます。まだまだ日本中が病み上がりみたいなものです。無理は禁物です。

そういう意味で、中止は妥当な結論だと思います。しかし、妥当じゃないのはその伝え方です。

2020年7月5日(日)に実施を予定しておりました2020年第1回日本語能力試験は、これまで試験実施に向けて準備を進めてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の現状は依然予断を許さぬ状況にございます。このような状況下で試験を実施することは、受験者の皆様の安全確保あと新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からも非常に困難であり、やむを得ず本試験の実施を中止することといたしました。

これは、JLPTの中止を受験生に伝える通知文の一部です。漢字にすべてふりがながついていた(この稿では省略しました)ということは、日本人向けではなく外国人向けです。しかし、この文章が理解できるのはN1受験生でも少ないのではないでしょうか。見出しが付いていますからJLPTが中止になったことは伝わるでしょうが、じゃあこの文章は誰のために書かれたのでしょう。

昨日、日本語教師養成講座で「やさしい日本語」を取り上げました。JLPT中止のお知らせはその対極にあると言ってもいいくらいの文章です。これを「やさしい日本語」にするにはどうしたらいいかという練習問題に使えそうです。まあ、このお知らせはワンクリックで英文が見られますから大勢に影響はないと、実施団体の日本国際教育支援協会は踏んでいるのでしょう。

こんな格調高い文章は、日本語がまだまだの外国人に情報を伝えるには向いていません。N5はともかくとして、N4ぐらいの人たちにも理解できる書き方をしなければならないと思います。と言いつつも、私も留学生相手に格調高い文章を書いてしまうことがあります。それは、数学や理科の問題の模範解答です。学生にわかりやすくと思って書き始めるのですが、いつの間にか難しくなっているのです。半世紀近く昔の学生時代にたたき込まれたパターンから抜け出せません。言葉を緩めると、解答の価値が下がるような気がするのです。JLPT中止のお知らせを書いた人も、同じ感覚だったのでしょうか。

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微小旅行

5月18日(月)

緊急事態宣言初日に大久保の病院まで健康診断に行って以来、ひたすら通勤定期の範囲を行ったり来たりするだけの毎日を過ごしてきました。直線距離1キロの新宿駅近辺すら足を踏み入れていません。

昨日、久しぶりに通勤定期の範囲外に出ました。遠出をしたわけではありません。うちからちょっと離れたスーパーまで買い物に行き、その帰りに隅田川沿いを歩きました。マンションのエレベーターホールの窓から、隅田川の対岸に遊歩道ができたのが見えていました。気持ちよさそうな道なので歩いてみたいと思っていましたが、今までstay home と言われていましたから、実際に歩くのは控えていました。きれいな青空で蒸し暑いというほどの陽気でもありませんでしたから、歩いている人も少なそうだったこともあり、足を延ばしてみることにしました。

私のうちの近くの隅田川には特別な名所があるわけでも、デザイン的に優れた橋が架かっているわけでも、川の水が特に澄んでいて変わった水生生物が見られるありません。漫然と川が流れ(いや、「よどみ」と言った方がいいかもしれません)、あまり見栄えのしない船が何隻か停泊しているだけです。でも、歩くと大いに気分転換になりました。間違っても清流とは言えませんが、水には人の心を和ませる何かがあります。

私なんかは毎日学校へ通勤していますから、家から一歩も出ないでいる人たちに比べれば自由があります。その私ですら、歩いていける範囲の遠征がこんなにまで気分転換になるのです。文字通りの巣篭りを続けている人たちはどれほど非日常の空気を吸いたいことでしょう。

これを気の緩みと咎められたらごめんなさいと言うほかありません。「解除」に向けて薄日が差してきました。もうひと我慢というところでしょうか。

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夢はYouTuber

5月8日(金)

今学期はずっとオンラインで受験講座をしています。今までもパワーポイントを利用して授業を進めていましたが、主役は生身の私自身でした。私が身振り手振り口振りで説明し、学生との掛け合いを通して理解度を探り、授業を形作ってきました。

しかし、今学期はパワーポイントが主役です。私の拙い操作技術では、画面に生身の私を再現することはできません。身振り手振り口振りを何らかで補わなければなりませんが、それをパワーポイントに担わせようとしているものの、なかなかそのレベルには至りません。

まず、先学期までのパワーポイントでは力不足です。補足資料のつもりで作っていますから、授業全体にわたってそれに頼ろうとするには無理があります。板書をしながら説明した部分がそっくり抜けていたり、体を張って説明していた部分を文字にすると長ったらしくなってしまったり、あらばかりが目立ちます。

しかも、そういうのが実際に授業をやっている最中に気づきますから、「学生たち、わからないだろうなあ…」と思いながら話を続けざるを得ません。事前にシミュレーションして足りない部分を補ったつもりでも、本番になると「しまった」の連続です。大急ぎで別の資料を引っ張り出してきたり、カメラのレンズに写真をかざしたり、ホワイトボードに計算過程を書いたりなど、冷や汗を流しながら応急処置をしています。

こういう授業を繰り返していると、YouTubeなどで公開されている授業はよくできていると思います。もちろん、かけているお金も時間も違いますが、自分の非力さを痛感します。私はYouTuberにはなれそうもありません。

ここのところ、新規感染者数が落ち着いてきました。このままフェードアウトしてくれたら、6月には対面授業ができるかもしれません。そうなることを、祈っています。

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買い物

5月6日(水)

先月半ばから紀伊国屋が臨時休業中なので、本を買うことができません。うちの前にあるショッピングモールの本屋は、先週あたりから営業を再開しています。でも、KCPのラウンジぐらいの広さに本棚がたくさん並んでいて、しかもお客さんが詰めかけていますから、何となく入るのを躊躇してしまいます。

こんな時にこそ、紀伊国屋のウェブストアを使ってみようと思い立ちました。まだ本のストックはありますが、非常事態宣言がさらにもっと延長されたら読み尽くしてしまわないとも限りません。活字中毒の私は、読むべき本がなくなったら精神に異常をきたしかねません。

そんな事情で、初めてパソコンを通して本を買うことに挑戦しました。しかし、買うべき本のイメージが明確になっているわけではありませんから、検索すること自体が非常に難しいです。漠然と「歴史」などというキーワードを入れても、ヒット件数ばかり多くて、読みたい本を選び出せません。受験講座の授業づくりの参考にと思って「高校物理」としてみても、どれが適当か全く見当がつきません。

私は店頭で実際に本を手にとって、あるいはタイトルや装丁に引かれて、買う本を選んでいたのです。そもそも、何か目的があって本を読むことはめったになく、電車の中や待ち時間に読むので、興味本位で本を選ぶのです。まさしく乱読ですから、コンピューターで検索しながら買うというのが最もふさわしくない人間です。

それでも、2020年4月出版の文庫とかって無理やり検索項目を決めて何冊か選び、発注にこぎつけました。何となく充足感を味わいながら紀伊国屋のサイトをよく見てみると、新宿本店は明日から営業再開と出ているではありませんか!!!

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名所案内

5月5日(火)

今年は行きそびれてしまいましたが、ここ15年ぐらい連休は毎年関西へ行っています。関西のどこがいいのかとよく聞かれます。安くておいしい食べ物がたくさんあることは確かで、お好み焼きは必ず食べます。でも、私はグルメじゃありませんから、それが目的で行くわけではありません。やはり、歴史でしょう。

じゃあ、歴史を感じるところでどこがおすすめですかと聞かれると、あれこれいっぱい思いついて、ちょっと困ってしまいます。

坂本の西教寺は、たぶん10年以上前に行ったと思いますが、姿のいいお寺で、ぜひもう一度行きたいと思っていました。お茶もおいしかったなあ。今年の大河ドラマの主人公・明智光秀ゆかりの寺ですから、しばらくは訪れる人が多いでしょう。

京都の西山も、再訪したいところです。阪急京都線の東向日駅からバスで20分ぐらいでしょうか。十輪寺、勝持寺、善峯寺、三鈷寺などをのんびりとめぐります。山から見下ろす景色が印象的でした。ただ、私が行ったときは高速道路の工事をしていましたから、今はそれが開通して、のどかな雰囲気が壊れてしまったかもしれません。

室津、龍野、篠山、出石、長浜、近江八幡といった、ツアーだったら1時間か2時間で通り過ぎてしまう街を、少なくとも半日かけてじっくり見て回るのもおすすめです。どこも歩いて回れる程度のお手頃サイズで、街の隅々にまで行き渡っている歴史に対する誇りを感じるのが、これらの街の醍醐味です。

それから、山の辺の道や竹内街道、柳生街道など、歩く旅も捨てがたいですね。光秀ブームに乗って、老ノ坂から洛中に入るのコースあたりが今年のはやりかなと思いましたが、果たしてどうでしょう。

来年は5月1日から5日まで5連休ですから、絶対に今年の仇を取りますよ!

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心ここにあらず

5月2日(土)

今ごろ羽田空港、今は琵琶湖を見下ろしている頃、今は三宮から姫路に向かう電車の窓から淡路島が見えている頃、姫路城の天守はどうなっているだろう、…朝からずっと、計画していた関西旅行の旅程を追いかけています。初日は朝1番の飛行機で神戸空港に降り立ち、電車で姫路に向かい、姫路城を見学する予定でした。平成の大修理の最中に、足場で囲われた「天空の白鷺」を見に行って以来ですから、7年ぶりか8年ぶりに対面するはずでした。姫路は朝からずっと晴れているようですから、青空に浮き立つ白鷺が美しいことでしょう。

死んだ子の年を数えるのとはちょっと違うかもしれませんが、中止を余儀なくされた旅行の跡をたどるのは悲しいものです。明日も明後日も、連休が終わるまでずっと、今ごろ繖山とか福原京の跡を歩いている頃とか思い続けるんでしょうね。未練がましいですが、私はそういう性分です。でも、去年は10連休でしたから、2年分休んじゃったんですよ。いや、そう思ってもやっぱり残念だなあ。

連休の予定は、去年のうちに骨格を決めて、足と宿を予約し、年が明けてから詳細を練り始めていました。そのうちにだんだん雲行きが怪しくなり、始業を遅らせる代わりに連休も授業と決まり、やむなくあきらめました。今は夏休みにかけていますが、これも指をくわえるような仕儀に至ったら、いったいどうしましょう。

4・5・6日も、世間一般は休日ですが、私は学生たちと一緒にEJUの準備に励みます。北摂や南都へ飛んで行きたがる心を押さえつけて、授業の準備をしました。

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