Monthly Archives: 3月 2018

シャチが暴れて

3月2日(金)

朝、御苑の駅から地上に出て、学校へ向かおうとすると、東の空が曙光に輝いていました。バス旅行は“天気よければ全てよし”ですから、思い出に残るバス旅行になりそうな予感がしてきました。

海ほたるからは、海越しに富士山が見えました。東京にいると、海越しの富士山を見る機会にはなかなか恵まれませんから、私も思わず見とれてしまいました。欲を言えば、雪をかぶった中腹以上だけではなく、裾野までくっきり姿を見せてほしかったですが、富士山がはっきり見える日は寒いですからね。海風に震えるような日和じゃ困ります。春霞ぐらいがちょうどいいです。

鴨川シーワールドへは今まで何回か行ったことがありますが、海の動物たちのショーをじっくり見たことはありませんでした。今回は学生引率にかこつけて、イルカ、シャチ、アシカのパフォーマンスを最初から最後まで見ました。何といってもシャチですね。イルカやアシカとはパワーが違い、実に豪快でした。わざと水しぶきを上げて、プールのそばで見ていた幼稚園の遠足の子どもたちをびしょびしょにしていました。びしょ濡れになった園児たちが、家へ帰ってから家族に興奮しながらこの体験を語っているようすがめに浮かびます。

KCPの学生にも“被害者”がいましたが、Kさん、Yさんは満足げでした。掃除のホースから出た水道水をかけられたら頭にくるでしょうが、シャチが暴れた海水をかぶっても、いいお土産になったって思ってるんじゃないかな。私は水しぶきが飛んでこないところで見ていましたからこんなのんきなことを言っていますが、当の本人はどうだったのでしょう。

帰りは海ほたるの駐車場が満杯で止められず、休憩なしで新宿駅西口まで帰ってきてしまいました。来週の金曜日は卒業式。私のクラスの大半がいなくなってしまいます。そういう寂しさをふっと感じながら、バスを降りました。

他人の振り見て

3月1日(木)

最近、Jさんを見かけると、挨拶はしてくれるのですが、違和感が残ります。目を合わせていないとか頭の下げ方がぎこちないとか、そういうしぐさそのものではありません。両耳からにょきにょきと突き出しているワイヤレスイヤホンが気になってしかたがないのです。

あれをしたままこちらの目を見て頭を下げられても、心ここにあらずみたいで、かえってこちらが落ち着かないのです。Jさんの笑顔が輝いているだけに、イヤホンが余計に目立ってしまいます。授業中だったら耳からむしり取りもしましょうが、ロビーで会っただけでいきなり耳に手を伸ばしたら、穏やかじゃありませんよね。

Jさんに限らず、電車内や街中でも耳にょき族を見かけます。私はヘッドホンとかイヤホンとかをしたまま歩く習慣がありませんから、そうまでして音楽だか語学レッスンだかに没入しようという気持ちがわかりません。本人は時間を有効に使っているつもりなのかもしれませんが、音による危険察知もできませんし、見栄えがいいとも思えませんし、まあ、独り善がりでしょうね。

…とここまで考えてみて、電車の中でひたすら本を読み、自分の世界に閉じこもっている私も、こういう人たちと同根かもしれないと思えてきました。文庫本などという前時代的なアイテムを手にしている分だけ、かび臭く思われるかもしれません。“ドアの前で本を読んでるオッサン、邪魔くさいで”とかってどつかれても、文句は言えません。私を見てにこやかにお辞儀するJさんのほうが、よっぽど愛想があるじゃありませんか。