覚える

2月24日(木)

入試問題を解くのは知識か知恵かと聞かれたら、どうお答えになりますか。

知識の範囲をどこまでにするかにもよりますが、知識がゼロではないでしょう。最近はマークシートの問題でも工夫が加えられてきて、知識の有無だけを問うような問題は少なくなりました。知恵を意識しすぎると、今年の大学入学共通テストのように、全受験生が団栗の背比べになってしまって、テストの用をなさなくなることもあります。

知恵といったって、その基礎をなす部分は、知識と無縁ではないでしょう。知恵は知識を組み合わせたところに生ずるものでもあります。そこには創造力や想像力も関与します。単に知識を堆積させただけでは、知恵は湧き上がってきません。知識と知識を結ぶネットワークを張り巡らすことが肝要です。

Dさんは真面目な学生です。6月のEJUに向けての勉強をしています。私もDさんの力になってあげたいと思っています。しかし、Dさんから来る質問に、「これは覚えなければなりませんか」という意味のものがあることに引っ掛かっています。暗記かそれに類する覚え方では、知識の有無を競う問題にしか答えられません。そうじゃなくて、知識を組み合わせるとかひとひねりしてから使うとか、応用力を問う出題にも対応できるようになってこそ、高得点に結びつくのです。それは同時に、進学してからの勉強にもつながります。

Dさんにそういうところまで見えているのか、気がかりです。知識は布石みたいなところもあり、入試には不要でも、将来、何かの拍子に、それがあることですべてがつながり、理解や興味が深まることだってあるのです。

昨日のうちに届いていたDさんからのメールを読みながら、そんなことを考えました。

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