話しながら

5月26日(木)

今年のアートウィークの目玉は、似顔絵コーナーです。美術系の大学・大学院への進学を目指す学生が似顔絵師となって希望した学生の似顔絵を描くのです。

Hさんはその似顔絵師の1人です。待ち構えていたところへCさんが来ました。アクリル板の向こう側にCさんを座らせ、小ぶりのスケッチブックを広げて描くのですが、世間話をしながらなんですね。縁日なんかでお店を開いている絵描きさんと同じ雰囲気でした。話に夢中になっているからなのか、絵を丁寧に描いているからなのか、時間はかかっていましたが、出来上がった似顔絵は、Cさんの特徴を余すところなく捕らえていました。「Cさん、悪いことできないね。Hさんの絵はモンタージュ写真よりよくできているから、それ、貼り出されたら一発で捕まっちゃうよ」なんて、言われていました。

Tさんは、盛るのが上手です。こちらは捜査には使えませんが、描いてもらった女子学生は、みんな喜んでいました。瞳がキラキラした似顔絵を見ている学生の瞳が、本当にキラキラし始めました。Tさんもまた、世間話をしながらでした。お客さんとやり取りしているほうが、特徴をつかみやすいんでしょうかねえ。あるいは、コミュニケーションを通して、お客さんのいい顔を引き出しているのかもしれません。

芸術家は、やっぱり、人の心をつかまないと、人の心を動かす作品は創作できないのでしょう。HさんとTさんは、そんな術が自然と身についているのかな。私みたいな芸術性のかけらもない者のうかがい知れない何かを持っているのですよ。

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