ちょっとした隙に

5月9日(火)

会話の授業で、連休中にどんなことをしたか聞きました。本栖湖へ行ったとか、かつてのホストマザーを訪ねたとかという学生は滑らかな日本語で私の問に答えてくれました。一方、ずっと勉強していたとか、ゲームばかりしていたとかという学生は、たどたどしい日本語に戻っていました。大遅刻で入室したEさんに至っては、遅刻の理由を聞くと、「アラームが起きませんでした」と意味不明の回答をしてくれました。Eさんも連休中は引きこもり状態だったそうです。たった1週間足らずですが、日本語から離れてしまうと、こうもできなくなるものかと驚かされました。

それでも、“友達から連休中の様子を聞き出す”という課題を与えて、強引に会話の授業を進めました。最初は調子が出なかった学生も、スマホの写真を見せたり見せてもらったりしながら、自分の連休を語ったり友達の話にツッコミを入れたりするほど復活してきました。日本を離れていたTさんも、連休の思い出話で友達を笑わせたり感心させたりしていました。

その一方で、Yさんのグループは黙り込んでしまいました。あまりに話が弾まないので、私が話の接ぎ穂を拾い出して学生に渡すのですが、教室をぐるっと回ってまた来ると、またみんなでスマホをいじっています。Yさんは国にいる恋人と毎日長電話、Sさんはひたすら勉強、Cさんはアルバイトでしたが使う日本語は限られていた、という調子で、日本語でコミュニケーションをとる生活は送っていませんでした。

毎日学校に通って直接日本語に触れることで保たれていたバランスが、この連休で日本語じゃない側に大きく傾いてしまったようです。“日本語学校の存在価値を改めて感じた”などとのん気なことは言っていられません。すぐにどうにかしないと、このクラスの学生は悲惨な運命に襲われるでしょう。

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