口先と実行

1月23日(火)

超級クラスの短作文の問題です。(   )に適当な語句を入れて文を完成させてください。

口先だけで何もやらないのは信用されない。何事もただ(   )のみです。

…いかがでしょう。これをお読みのみなさんは、どんな言葉を入れましたか。

超級クラスの学生たちは、いろいろな答えを出してくれました。行動する、やる、実行する、行うのような、英語で言えば“do”っぽい答えが多かったですが、「言葉」的な答えも数名いました。

この問題を作った先生も、私も、前者の系統の答えを求めていましたが、決して成績の悪くない学生たちが後者を書き入れていました。口先だけで何もやらないのは信用されない。何事もただ言葉のみです――うーん、理解できません。どういう発想でこの答えが出てきたのか、わかりません。

そこで、学生たちの話をよく聞いてみると、「“口先だけで何もやらない”のは、すなわち、言葉のみで実行が伴わないということだ」と言いたかったようでした。確かにそういう解釈も成り立ちます。多少強引な気がするのは、私がこういう解釈に不慣れだからでしょうか。

もちろんこれでは日本社会において通用しませんから、「口先だけで何もやらないのは信用されない。それではいけないので、言葉にした事柄は必ず実行しなければならない」という解釈を伝えました。学生たちはこの考えを理解しましたが、心からは納得していない顔つきでした。

最近は、「犬も歩けば棒に当たる」にも2通りの解釈があると言います。だとすると、この問題にも2通りの答えがあってもいいのかもしれません。上述の解釈は、私のような年寄りの発想に基づきます。若い人の考えは、学生たちと同じかもしれません。なんといっても、言葉は生ものですから。

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