便利さの追求

5月9日(木)

A先生が授業で使おうと思って、最近発売された聴解の問題集を買いました。近頃は、聴解の問題集でも、音声はCDではなくダウンロードするタイプのものが増えました。この問題集もその手のものでしたから、A先生は事前に内容を確認しておこうと思いました。ところが、ダウンロードしようと思っても画面が真っ白になってしまって、結局できませんでした。システムの不具合だそうです。「買う前に言ってよー」とA先生は嘆きましたが、私だったら「金返せ」と叫んでしまったかもしれません。

A先生は出版社に問い合わせのメールを送りましたが、なしのつぶてのようです。やっぱりCDのような現物があった方が安全確実なのでしょうか。ダウンロードの方が、何かと都合のいいことが多いですが、こういうトラブルに巻き込まれると、手も足も出せません。出版社側のシステムなど、私たちにとってはブラックボックスですからね。

昨日、JR東日本が、当分の間みどりの窓口をこれ以上減らさないと発表したと報じられました。以前、この稿に有楽町駅のみどりの窓口が閉鎖されていて驚いたということを書きました。しかし、外国人観光客をはじめ、みどりの窓口を必要とする人が多く、みどりの窓口が残っている駅が大混雑しているそうです。

もう一つ、チケットレス化が予想より進んでいないというのも理由に挙げられていました。スマホかカードを改札口にタッチするだけで座席指定車に乗れるのですから、便利なものです。でも、紙の切符の方が、安心感があるのでしょう。スマホをタッチした瞬間に改札口が閉じられてしまったら、パニックに陥る人もいるに違いありません。チケットレスもブラックボックスです。

A先生も、授業準備の段階でダウンロードがうまくいかないことがわかったからよかったようなものの、スクリプトだけ読んで授業に臨み、ダウンロードできないとなったら、平常心は保てなかったでしょう。授業に大きな穴をあけることにもなりますしね。

紙の切符を持って、CDウォークマンで音楽を聴きながら旅をしていたころが、人間の本能に一番負荷がかからなかったのかもしれません。

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