わかる、わからない

10月17日(月)

Wさんは理科系の学生です。午後、物理の問題がわからないと、私のところへ聞きに来ました。問題を見ただけでどこでつまずいたか見当がつきましたが、一応本人にわからないところを説明させました。ところが、この日本語がさっぱりわからないんですねえ。最終的には、私が見当をつけたところがわからないとわかったのですが、そこに至るまでに、Wさんも私もずいぶん苦労しました。

わからないところがわかってから、そのわからないところがわかるように説明しましたが、わかるように説明したつもりでも、なかなかわかってくれませんでした。Wさんはそんなに物分りの悪い学生ではありません。では、なぜなかなかわからなかったのかといえば、私が思うに、わからないことに焦りを感じて、1秒でも早くわかろうとして、かえってわからなくなってしまったのです。私がちょっと説明すると、わかったということを示したいのか、すぐ式を書いたり図を描いたりしました。でもその式は私の言わんとしたことと違っていましたし、図は的を射ていませんでした。

Wさんがわかったという顔をすると、ホッとするのと同時に、じっくり話を聞いてくれれば半分か三分の一の時間で済んだのにという気持ちが交錯していました。EJUまで4週間を切り、焦るなと言うほうが無理かもしれませんが、こんな調子じゃ実力の伸ばしようがないじゃないかと思いました。急いてはことを仕損じるという言葉通り、こういうときこそじっくり腰を据えて、落ち着いて問題文を読む、考える、人の話を聞くということが、何より重要なのです。

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