Category Archives: 成績

経験者は強い

10月15日(火)

日本語プラスが始まりました。午後から、11月のEJUに向けた授業をしました。

まずは記述。初めて記述に挑戦する学生もいましたから、記述の全受験生平均は33点だから、最低でも35点は取れなどという目標点数と、文章構成を説明しました。制限時間30分で400~500字の文章を書くのですが、やはり経験者は早いですね。書き上げてあまりに暇そうにしていましたから、間違いがないかどうか、もう一度読み直せと指示を出したほどです。

次は理科。こちらも2科目で80分という制限時間内でどんどん答えていかなければなりません。各問は決して難しくないのですが、1問2分程度で答えを出さなければならないところに難しさがあります。5分かけても答えが出せなかったらとりあえず後回しにしろという指示を出して、問題を解かせました。60分ほどで初挑戦組の1名がギブアップしました。知識が足りなかったと言っていましたが、問題文の日本語の読解ができなかったというのが最大の要因ではないかと思います。

さて、記述を採点してみると、やはり上級の学生は50点に近い成績でした。中級になると、35点がやっとぐらい。初挑戦組は400字に達しないというか、結論に至らなかった学生もいました。来週は、そういうあたりをフィードバックして、書くスピードを上げるようにしていきます。

理科も、経験者組が圧勝でした。ケアレスミスを犯さなければ、本番でも高得点が期待できます。経験者組は「国立」と言っていますが、十分可能性があります。

本番まで1か月足らずの短期決戦です。こちらも油断なく身構えて行かねばなりません。

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点数は正直

10月4日(金)

先学期の担当クラスのデータチェックをしていたら、会話の中間タスクと期末タスクの成績が未入力でした。これでは学生に成績表を渡せませんから、急いで入力しました。

中間タスクはペアでのロールプレイ、期末タスクはグループで調べたことの発表でした。中間タスクは普通体でのくだけた会話、期末タスクは丁寧体でのわかりやすい説明を見たことになります。どちらもコミュニケーション力を構成する太い柱です。だから両方ともできてほしいのですが、そういう学生はなかなかいません。唯一、Lさんが中間も期末も高得点でした。Lさんは授業中の発言も多く、同国人にも母語を使って話すことはありませんでした。やっぱりねという感じでした。

次はHさんとPさんでしょうか。Lさんよりは発言が少なかったですが、普段から話すときは単語や単文止まりではなく、勉強した表現も織り込んで、考えたことを伝えていました。CさんやGさんは、会話よりも発表が高得点でした。この2人はおとなしいので、会話のキャッチボールよりは自分のペースで調べたことを語る方が性に合っていたのでしょう。逆に、ZさんやJさんは、会話の方が振るっていました。調べたことを原稿にしたまではよかったのですが、それを棒読みしてしまったことが響きました。

Wさんは、どちらもお情けで合格という点数でした。指名されたとき以外はしゃべらないし、しゃべっても単語を並べるだけでした。おそらく、学校外では日本語を使っていないのでしょう。KCPを出た後、日本社会でうまくやっていけるのか、心もとない限りです。

学生の特徴を意識して採点したわけではありませんが、成績には学生の特徴が現れるものだと、妙に感心してしまいました。

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現状打破

9月10日(火)

Fさんは来春大学進学を狙っている学生です。志望校としてH大学、O大学、Y大学を挙げましたが、出願締め切り日も試験日も合格発表日も、何も調べていませんでした。しかたがないので、一緒にネットで調べました。しかし、その結果をメモするわけでもなく、「はあ」とか言いながら画面を見ているだけでした。

6月のEJUの成績も、あまりパッとしませんでした。Fさんの成績で合格の可能性があるのは、上記3校のうちO大学だけです。そういうことを伝えても、さほどショックを受けた様子は見られませんでした。

毎日、学校以外で勉強している時間を聞くと、たったの1時間でした。この時間でKCPの授業の予復習と受験勉強までしていると言います。これでは、していないのに等しいです。

だから、中間テストも目を覆わんばかりの成績でした。教科書を見ていいから間違えたところを直せと言って、しばらく経ってから見に行くと、教科書を見ても正答にたどり着けていませんでした。

Hさんも来週大学進学組です。しかし、こちらは志望校についてきちんと調べていて、出願が一番早いのはK大学で、来週からだとわかっていました。B大学は小論文があるから自信がないなど、独自試験の科目まで押さえていました。

中間テストは、Fさんよりはいくらか点を取っていますが、多少ましだという程度です。Hさんの問題点は、間違えたところをみんなケアレスミスだとしてしまっている点です。確かにそういう誤答もありますが、大部分はポイントをつかんでいないから犯した間違いです。この点を直視しない限りは、これ以上伸びないでしょう。

Fさんは、まず、現状の無気力状態から脱することが必要です。Hさんは最後まで確実に勉強する癖を身に付けなければなりません。2人とも、どうにかして思考回路をつなぎ直さないと、卒業式の頃でも無所属新のおそれがあります。

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6割

9月9日(月)

金曜日に出した宿題を集めました。提出率は6割。金曜日の授業中に口頭でも伝え、板書もしたし、授業後にメールで改めて連絡しました。だから、金曜日に欠席したRさんも提出しました。その一方で、金曜日はしっかり出席していて私の話を聞いていたはずのMさんやCさんが提出しませんでした。

提出しなかった学生は、今学期の宿題提出率が押しなべて低いです。Mさん、Cさんに至っては、27%です。よく見ると、今回の宿題を提出したかしないかは、ものの見事に今までの提出率で二分されました。提出した学生は提出率上位、提出しなかった学生は提出率下位で、逆転現象は全くありませんでした。

提出した学生は、授業の予習課題なども毎回きちんとやっています。それに対して、MさんやCさんは、そちらもいい加減です。当然、成績も推して知るべしです。この調子でいくと次学期に進級できるか危ないですが、授業態度を見ても、宿題提出率からも、そういう危機感を持っているとは思えません。

宿題提出率、予習課題実施率と成績が比例するかというと、必ずしもそうとは言い切れませんが、グラフ化すると相関係数が高いのではないかと思います。やる気のある学生、きちんと勉強している学生は力を伸ばし、そうではない学生は伸び悩んでいるという、実にまっとうな結論が得られます。

私が受け持っているもう1つのクラスでも同様の傾向が見られます。こんなことはわざわざ調べるまでもないことであり、予習をしろ、宿題を出せと言い続けてきた私たち教師は決して間違っていなかったというわけです。この簡単な原理を、どうすれば学生に浸透させることができるのでしょうか。それが問題です。

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結果発表

7月24日(水)

昨日の帰り際、Tさんが「先生、EJUの点数はもうわかりますか」と聞いてきました。成績発表は7月24日とEJUのページにしっかり出ているのに、心配で心配でたまらなかったようです。もちろん、昨日の時点では発表されていません。「明日まで待っててね」と答えるほかありませんでした。

今朝、8時頃。Sさんが「先生、EJUの点数はもうわかりますか」と聞いてきました。EJUのページを見ましたが、発表された形跡はありません。「もうちょっと待っててね」と言って自分の仕事に取り掛かりましたが、Sさんは帰る気配がありません。「ちょっと待っててね」と受け取って、私が仕事を中断して点数を見つけ出すのを待っていたのです。こちらも言葉が足りませんでした。「発表、まだみたいだから…」と付け加えればよかったのです。

その後、授業に出てしまい、10:30の休憩時間に戻ってくると、発表されていました。12:15の授業終了後、大急ぎで結果を取りまとめ、先生方に知らせました。

そんなことをしていると、ゆうべ騒いだTさんと、RさんがEJUの成績を基に進学相談に来ました。2人とも、思ったよりも点が取れたようです。少し強気な大学名も出てきました。それはいいのですが、2人の課題は発話力です。今の話し方だったら、EJUの成績がよくても面接で落とされるでしょう。しかし、そういうことを注意しても、2人は成績が良かったことに浮かれて、私の言葉など聞いちゃいないようでした。こういうパターンが一番心配なんですよね。Rさんに至っては、早く合格して楽な生活がしたいと言い出す始末です。

Qさん、Pさんなど、進学相談を待ち構えていそうな学生が何人か思い浮かびます。忙しくなりそうです。

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悩める子羊

12月25日(月)

夕方、先週A大学に出願したPさんが進学相談に来ました。先週末に発表された11月のEJUの結果から、新たな出願校を考えたいということでした。でも、Pさんの成績は6月とほとんど変わりませんでした。それだったら、今までに話してきた大学の中からどこか1校か2校選べばいいのにと思いながら話を聞きました。

よくよく話を聞くと、11月の成績から30点ぐらい下の点数でも入れそうな大学を教えてくれということでした。30点ぐらいの差なら、面接でも逆転可能な場合が多いです。ですから、そんな大学を調べて出願しても、滑り止めになるとは限りません。11月と6月と、点数がほとんど変わらないのですから、すでに出願したA大学に確実に合格できるよう手を打っていくべきです。

そういう話をすると、心配の種が今度は面接の受け答えに移りました。Pさんが出願したのはS学科ですが、N学科の勉強もしたいと面接で言ったら印象が悪くなるだろうかとかと言い出しました。どちらにするか出願の際に悩んだことは確かですが、S学科の方が自分の将来の勉強に役立つと考えて、S学科に出願したのです。今更そこまで立ち帰って迷っても、どうしようもありません。S学科の先生方に、自分はどうしてもS学科で勉強したいと訴えることが肝心だと私が何度言っても、N学科の勉強も必要だという方向に考えが行ってしまいます。私が何か言うと、その瞬間は納得するのですが、いつの間にか考えが一周してN学科に戻ってしまいます。

S学科もN学科も同じ学部ですから、S学科の必修と授業時間が重なりさえしなければ、N学科の授業だって取れます。自分で勉強して、どうしてもわからないことがあったらN学科の先生に聞きに行くことだってできるでしょう。そういう話をしても。Pさんの心配は一向に解消されませんでした。

帰り際にはS学科に受かるための面接の受け答えを考えるということで納得した体ではありましたが、うちへ帰って一人で考えているうちにどう変わるかわかったものではありません。

この間2時間。作文の採点を終わらせようと思っていたのですが、5人分残ってしまいました。

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職権乱用

11月21日(火)

中間テストからちょうど1週間たち、各クラスの採点結果が出そろいました。日本語プラスや以前受け持ったクラスなどの学生や、問題ありで目を付けている学生、逆に希望の星として追いかけている学生、そんな学生たちの成績をこっそりのぞき見するのが、この時期の私の楽しみです。

「目標は東大です」と言い切った新入生のTさんは、残念ながら不合格の科目があります。テスト形式に慣れていなかった面もあるかもしれませんが、暗雲が漂い始めています。勉強のしかたが悪いとなると、今後無駄な努力を積み重ねかねません。早く手を打ちたいところです。

先学期レベル1で私のクラスで優秀な学生だったFさん、Pさん、Wさん。今学期も素晴らしい成績です。この勢いだと、中級か上級でまた教える時期も、案外早く来るかもしれません。変なものにつまずかないで、順調に伸びていってください。病欠がきっかけで崩れていった例が山ほどあります。健康に気を付けてください。

日本語プラスでお世話しているDさんとLさんは、まあまあの成績でしょうか。日本語力がついてくれば、受験勉強も弾みがつきます。2人とも理解力がありますから、何でもどんどん吸収していけるはずです。来年6月のEJUに照準を合わせていますが、大いに期待が持てます。

Kさん、Sさん、Aさんは、成績が入力されていません。中間テストの日に欠席し、追試も受けなかったのでしょう。来学期進級できないことがほぼ決定です。進学の方もうまくいっている気配はありません。こういう何にもしようとしない学生に限って、最後にこちらを頼るんですよね。KCPの教師は阿弥陀如来ではありません。

あ、そうだ。選択授業のクラスの学生たちを忘れてた…。

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鉄の団結

11月20日(月)

私は、先週の中間テストで、月曜日のクラスの文法と作文の採点を担当しました。文法の結果はかなり悲惨なもので、クラス平均がかろうじて合格点を上回ったという程度でした。満点に近い学生がいる一方で、合格基準点に遠く及ばなき学生も何名かいました。

答案用紙を返却し、まず、ノートや教科書を見てもいいから、間違えたところを自力で直せという指示を出しました。そうはいっても隣の友だちと相談したくなるのが人情で、クラス内あちこちから「ここはこういう答えだったのか」といった声が聞こえてきました。しかし、教室のある一角からはそんな声も上がらず、学生たちは黙って自分の答案用紙を見て言いました。まじめな学生たちかと言ったら、さにあらず。その一角に点の悪い学生が集まっており、お互いを参考にしようにも全く参考にならないという、お恥ずかしい一団だったのです。

頃合を見計らって、全体の答え合わせをしました。やる気のある学生からは、自分のこの答えはなぜ×なのかといった質問が飛んできましたが、“一団”はスマホいじりに余念がありませんでした。答え合わせが終わったところで、「じゃあ、答えを直した答案用紙を回収します」というと、“一団”は青くなって一団外の学生の答案用紙をどうにか手に入れて、必死に写していました。こんないい加減なことをしているから点が取れないのであり、実力も伸びないのです。

何より、“一団”で行き先が決まっているのはわずかに1名。類は友を呼ぶとはよく言ったものです。でも、のん気に構えている暇はありません。今学期中に目鼻を付けなければならないのですから。

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ワンツーフィニッシュ

11月2日(木)

みなさんはJPETをご存じでしょうか。Japanese Proficiency Evaluation Testの略で、JLPTほど有名ではありませんが、外国人の日本語能力を測定するテストの1つです。JPETは、合否方式のJLPTとは違って、結果がスコアで表されます。そんなこともあり、KCPではここ数年、自分の日本語能力を知るために、その能力を証明するために、学生にJPETの受験を勧めています。

今年の夏に実施されたJPETで、KCPのCさんとSさんが、全受験生の中で得点の1位と2位になりました。しかも、JPETの実施団体からは、3位に大きな差をつけての抜群の成績だったと聞いています。また、そこからいただいたデータによると、Cさんは上級レベルの問題の正答率がほぼ100%で、Sさんは初級中級の問題がほぼパーフェクトでした。どちらにせよ、誤答が数えるほどしかないすばらしいスコアでした。どういう見方をしても、外国語レベルの国際的な評価で言えば最高ランクのC2になります。

午前中の授業の後、2人の表彰式をしました。実施団体から届いていた賞状と記念品を渡しました。本当は全校学生を集めて行いたいところでしたが、なかなかそういう機会は作れないので、クラスの学生の前でささやかな晴れ舞台を設けました。

CさんとSさんに晴れがましい思いをしてもらいたいことはもちろんですが、それ以上に、そういう優秀な学生と一緒に勉強しているんだということを、クラスの他の学生にも感じてもらいたいです。自分だってCさんやSさんに勝るとも劣らぬ日本語力を持っていると思った学生もいたことでしょう。次は、それを目に見える形に表してほしいところです。さしあたり、12月のJLPTのN1で180点満点を取ることを目指してもらいたいです。

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相談事

8月31日(木)

このところ、「EJUの点数が足りないんですが…」という相談がよく来ます。それなり以上の成績だった学生は、私になど相談せずに自分の行きたいところに出願するでしょうから、必然的に、不成績だった学生や、そういう学生の相談を受けた教師が私の周りに集まるわけです。

入学したばかりの初級の学生や、今まで好き勝手なことばかりしてきた学生が思わしくない成績表を見て頭を抱えるのは、ある意味しかたのないところです。後者は自業自得と言ってもいいでしょう。しかし、きちんと勉強してきた学生が平均点にも及ばぬ点しか取れなかったとなると、どうにか救いの手を差し伸べたくなります。

11月に勝負をかけることもそうですが、今の持ち点で受けられるところ、勝ち目のありそうな大学を探さなければなりません。EJU不要の入試方式がある大学が見つかれば、まずそこを考えます。データを見て、EJUよりも大学の独自試験を重視していそうな大学にも、目を付けておきます。そういった大学の中から、その学生の個性に合い、人生を豊かにできる勉強ができそうなところを選びます。

さらに、6月のEJUを受けませんでしたという学生もいます。Lさんもその1人です。6月のEJUの出願はKCP入学前でしたから、私たちの指導が行き届きませんでした。しかし、11月も、日本語しか出願しませんでした。文科系志望の学生にとって、絶望的なピンチです。総合科目は、受験することに意義があるのです。たとえ最低点でも、受けたという事実が必要な大学が少なくありません。「冗談でもいいから総合科目も」と言い続けてきたんですが、Lさんには届いていなかったんですね。

明日から9月、留学生入試のシーズンです。

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