大遅刻

2月20日(木)

10時2分、学生たちに文法の問題をやらせていると、ドアが開き、Yさんが入ってきました。1時間2分の大遅刻ですが悪びれる風もなく、空いていた席に着きました。学生たちが取り組んでいるプリントを渡すと、当たり前のごとくそれを受け取り、問題に取り組み始めました。

YさんがK大学に受かったのは先月のことでした。日本語ゼロでKCPに入学し、コツコツ努力を重ね、超級レベルに上り詰め、そして、名門大学に合格したのです。Yさんに関わったすべての先生が祝福し、Yさんも少しはにかみながらそれに応えていました。

しかし、Yさんが休み始めたのはそれからです。やや病弱なところがあり、それまでにも学校を休んだことはありましたが、平気な顔で遅刻したり、欠席理由が寝坊になったりし始めたのは、合格からです。受かるまでは、悲壮感を漂わせながら授業に食らいついていましたが、今はタガが緩み切った表情をしています。

毎年、志望校に合格してから株が下がる学生はいますが、Yさんの落差は屈指のものです。K大学合格までYさんを応援していた先生方が最近のYさんの姿をご覧になったら、さぞかし落胆なさるでしょう。私も初級でYさんを受け持ちましたが、今のYさんはまるで別人です。燃え尽きたというのとも違います。

HさんもLさんもJさんも株価低迷組です。人はどうして何かに挑戦し続けないと堕落してしまうのでしょう。ひたむきに挑む姿は美しいですが、望みがかなった後にこそ、その人の本性が現れるのだとしたら、汗の結晶の輝きはかえって罪です。

午後は年末までだらけていたWさんの3回目の面接練習でした。今までになく目が真剣でした。力が伸びてきている感じがします。期待していいのでしょうか。

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