入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。世界中の国々の、このように多くのみなさんが、KCPを留学の場として選んでくださったことをうれしく思います。

今学期、KCPはコトバデーを開催します。この後すぐに紹介しますが、コトバデーとは、簡単に言うと、全ての学生が日本語を「話す」いろいろなタイプの発表に携わるイベントです。

言語には音声言語と文字言語がありますが、人類が最初に得たのは音声言語です。コンピューターのプログラム言語のような人工的な言語は別として、日本語も英語も韓国語も中国語もフランス語もスペイン語も、自然言語は音声言語あっての文字言語なのです。コトバデーは、KCPで学ぶ学生も、教える教師も、言語の原点、「話す」ことに立ち帰る、全校挙げての活動です。

このコトバデー、実は昨年が第1回でした。3年前から全世界を襲ったパンデミックによって、KCPも授業形態を大きく変えることを余儀なくされました。当時の学生も教師も全力を尽くしましたが、一番大きな影響を受けたのが、学生の話す力でした。教師は、オンライン授業で学生の話す力を伸ばすことの難しさを痛感させられました。学生の日本語を話す力を取り戻すにはどうすればよいか、そのための第1歩が、コトバデーでした。

これから始まるコトバデーに向けた活動を通して、みなさんに何よりも味わってもらいたいのは、日本語を話す、日本語で心の内を語る、考えを述べる、コミュニケーションを取ってお互いを知り合う、そういったことの楽しさです。日本語というみなさんにとっての外国語によって、相手に理解してもらえた、相手のことが理解できた、その瞬間の喜びです。その喜びをさらに深めるために勉強を続けていけば、自ずとみなさんの日本留学の目的も達せられることでしょう。

今ここにいらっしゃるみなさんのKCPで日本語を勉強する目的は何ですか。大学の単位を取るため、日本で進学するため、日本で暮らすためなど、各人各様でしょう。もちろん、みなさんそれぞれの目的に向かって進んでいってください。ですが、もう一つ、1人の日本人としては、日本語を学ぶことによって日本や日本人を知るということも、2番目か3番目の目的に付け加えてほしいところです。日本で生活し、日本語で日本人とコミュニケーションを取ることで、日本とはこんな国なんだ、日本人ってこんな考え方をするんだなどということを、実感を持って理解していってもらいたいのです。そして、親日家にはならずとも、知日家にはなってほしいと思っています。

単に日本語を勉強するだけなら、わざわざ日本へ来る必要などありません。日本で、生身の日本人教師から直接日本語を習う意義を再認識し、この留学をより一層有意義なものへと作り上げていってください。みなさんは、非常にラッキーなことに、入学してすぐ、コトバデーという、日本語を掘り下げるチャンスがあります。これも有効に活用してください。そのためなら、私たち教職員一同、喜んでみなさんのお力になります。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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