自転車通学

4月18日(木)

「大学には、自動車・オートバイで通学してはいけない」という本文に対して、「学生は大学まで歩いて来なければならない」という選択肢があったとしたら、みなさんは〇にしますか、×にしますか。

Pさんは〇にしました。ところが、正解は×でした。「自動車・オートバイは通学に使えないけど、自転車は乗ってきてもいい」と説明すると、「私の国では、大学の寮に住んでいる人以外で自転車で通学する人は0.00001%ぐらいしかいません」と、納得がいかない様子でした。

かつては、坂の街・長崎は自転車がない街として有名でした。しかし、昨今は電動自転車が普及し、市街地のいたるところにある急坂をものともせず、市民の足として定着しているようです。長崎に限らず、坂の多い街でも自転車は住民に愛用されるようになりました。

Pさんの語るところによると、Pさんの国には一般庶民が自転車に乗る習慣がないようです。スーパーマーケットにも、駐車場はあっても、駐輪場はないそうです。東京のような大都市で、駅前にもちょっとしたお店にも区役所のような公共機関にも、駐輪場・駐輪スペースがごく当たり前にあるのに驚いたと言っていました。

もしPさんの言っていることが本当だとしたら、この問題は読解の問題として適切でしょうか。日本人にとっても若干トリッキーな感じがしないでもありません。自転車という乗り物は知っていても、それを通学に使うという発想自体がない人々は、筆者または作問者の意図をつかむことなどできません。文化の違いが読解を妨げていると言ってもいいでしょう。

だとしたら、私が今まで作ってきた読解問題の中にも、好ましくない問題があったかもしれません。恐ろしいものです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です