Category Archives: 社会

停電?

3月22日(火)

それにしても寒い1日でしたね。桜の開花宣言が出たと思ったら、みぞれです。普通の日なら最高気温が出る時間帯に、最低気温を記録しました。しかも、真冬並みの気温で、東京近辺はどこもかろうじて0度を割らなかった程度という、気合の入った寒さでした。私も真冬の装備に逆戻りで出勤しました。

そんな中、電力需給逼迫警報なるものが出されました。この寒さで暖房用の電力が増し、この悪天候で太陽光発電が見込めず、先日の地震で一部の発電所が停止しているとあって、需要増の供給減という状況に陥ってしまいました。

タイミングが悪いことに、KCPでは、「まん延」が解除されたので、今週は対面授業としました。でも、20名の学生が個々に暖房をつけるより、1つの教室に集まってみんなで暖房に当たっているほうが、消費電力は少ないかもしれません。教師も、生の学生を目の前にして、身も心も温まったことでしょう。

私のうちは、エアコンはありますが、あまり使いません。狭い部屋を密閉すれば極端に寒くなることはなく、厚着をすればどうにかしのげます。また、私は夜更かしをしませんから、風呂から上がったらそのまま寝てしまいます。だから、逆に、電力需給逼迫警報を出されても、節電の余地がありません。

午後から、チリと米国のペンシルバニアの学生と、オンラインで話をしました。2人とも真夜中ですが、元気に話してくれました。ペンシルバニアも寒く、雪が数センチ積もっているそうです。でも、明日あたりは暖かくなり、雪は解けるだろうと言っていました。チリは、南半球ですから、もうすぐ木の葉が黄色くなる時期だそうです。

こんな話を聞くと、たった1日の寒さぐらい丸まって過ごしてしまえばと思えてきます。2人とも、もうすぐ日本へ来ます。その頃は、寒の戻りと言っても、ここまで厳しい寒さにはならないでしょう。そうですよ、もう桜が咲いたんだもんね。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

来る人、来ない人

3月19日(土)

Kさんはオンラインの学生ですが、受験講座も含めてきちんと出席してきました。卒業式後は最上級クラスです。また、行事にも積極的に参加してくれました。オンラインの節分では、おいしそうに料理を食べてましたっけ。

私も、そんなKさんが来日して、生で会えるのを楽しみにしていました。しかし、Kさんは軍隊に行きます。兵役を済ませてから、改めて進学の準備をして、後顧の憂いなく大学で勉学に打ち込むのだそうです。それも1つの決断です。大学に進学してから休学して入隊する人も多いですが、入学が遅れることよりも勉強を途切れさせないことを優先したというわけです。

もうすぐ「まん延」が終わります。通常の生活に戻る第1歩となるはずですが、感染者数最高を記録している県も毎日にようにあります。東京だって、ピークは越えていますが、感染者数の絶対値は相当なものです。留学生が来てくれるのはうれしい限りですが、感染が沈静化したとは言い難い国で暮らし始める留学生自身はどんな心境なのでしょう。「ウチの国よりましだよ」なんて思っている人もいるのかな。

そんなことより、入国できるときに入国しておきたいという気持ちが勝っているのかもしれません。日本は前科がありますからね、一度閉ざしたら貝のごとく絶対に開かないという。だから、Kさんが敢えて来日を見送ったというのは、非常に勇気ある決断だと思います。しかも、今、Kさんの国は日本よりひどい感染状況ですから。Kさんが兵役を終えるころには、かつてのような自由な国際往来が復活していることを願うばかりです。

来週以降、オンラインの学生やら新入生やらが三々五々入ってきます。万里の波濤を飛び越え、隔離という最後のハードルもクリアして、ようやく新宿までたどり着く学生も出始めます。この学生たちに幸多かれと祈っております。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

しっかり身構えて

3月17日(木)

寝入りばなを襲われました。ミシミシという音とベッドの揺れで目が覚めました。あ、地震だと思って、時刻を確認しました。異常事態が発生したら、まず時計を見ます。何時何分と確かめることで、落ち着きを取り戻すのです。

程なく揺れのピークは過ぎ去りましたが、揺れが収まるまでにはしばらく時間を要しました。しかし、物が落ちたとか倒れたとかという気配は感じませんでしたから、震度2か3かなと思いながらそのまままた寝てしまいました。

朝起きて家の中を改めて見てみると、いつも開け放っておくドアが半分閉まっていました。1階まで新聞を取りに行こうとエレベーターホールまで出たら、「地震」という表示が出てエレベーターが止まっているではありませんか。私が寝ぼけた頭で感じたよりはるかに激しく揺れたようでした。

新聞を読みながら朝食を取るのが日課なのですが、新聞を取りに行けないのでテレビをつけました。すると、「宮城・福島震度6強」「津波注意報」という言葉が躍っているではありませんか。慌ててネットで調べたら、私のうちのあたりは震度4でした。エレベーターが止まってもおかしくはありません。LINEを見てみたら、地震の直後にKCPの先生方は連絡を取り合っていたようでした。

1階まで階段で下りるなんて朝からしんどいなあと思いつつ、早めに家を出て非常階段に向かうと、エレベーターが復旧していました。おかげで、エントランスのベンチに腰掛けて新聞を読む時間すらありました。

東京メトロは平常運転で、四ツ谷で外に出た時、空の明るさに驚きました。このところ、朝曇っているパターンが続いていましたからね。学校の中は異状なしでした。

3.11に比べれば桁違いに少ないとはいえ、犠牲者や負傷者が出たことには胸が痛みます。日本で暮らす限り、1日たりとも油断はできません。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

何を鍛える?

3月16日(水)

"塩少々“と言ったら、どれぐらいの量を想像しますか。もちろん、どんな料理か、何人前作るか、口にする人の好みなどによって左右されます。しかし、そういう条件が決まれば、このぐらいという勘が働くのではないでしょうか。そんな感覚が全然わいてこないという人は、料理をし慣れていない人です。

料理に限らず、私たちは日々の活動すべてに、ほとんど無意識のうちに、勘を働かせているものです。雨が降っているから少し早めにうちを出ようとか、車の運転ならブレーキの踏み方とか、日本語教師だったらどんな練習にどのくらいの時間が必要かなどというのも、このうちでしょう。

こういった勘が働かないと、うまくいかないとまでは言いませんが、スムーズに事が運ばないことが多いです。誰でもそこそこできるようにと、この勘の部分にAIを導入しようとしているのが昨今の社会の流れだと言ってもいいでしょう。数年後には多くの勘がAIに代替されているかもしれません。

しかし、AIには代替されない勘もあります。それは受験における勘です。例えば、数学の問題を解くときに、こういう道筋で考えれば答えが得られるという勘、得られた答えが合っているかどうかという勘、そういった勘は受験生が地道に養っていくほかないものです。これは、ある程度までは口伝も可能ですが、それ以上は受験生自身の努力と訓練によってのみ育てられるのです。

そういう点、理科系の受験講座の学生たちは、まだまだですね。これから相当鍛えていかないと、6月のEJUに間に合いません。あと3か月と3日です。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

使いすぎが懐かしい

3月15日(火)

外国人の日本語会話力を測る方法はいろいろあるでしょうが、私は、「んです」の使い方で判断しています。例えば、間垣親方(元横綱白鵬)や照ノ富士など、幕内の、しかも上位まで昇進したり、ある程度以上長期間相撲界に身を置いていたりする外国人力士は、ほぼ例外なく「んです」を過不足なく使っています。高見山や小錦も自然に使いこなしていましたから、この基準は信用できると思います。

この基準に則ると、KCPの学生は、総じて会話力があまり高くないです。JLPTのN1のスコアを比べれば、上述の(元)力士たちよりKCPの学生たちの方が高いでしょう。しかし、インタビューに答えたり、大勢の人々を前にしてまとまった話をしたりする力は、力士たちの方が桁違いに高いでしょう。要するに、KCPの学生は話し慣れていないのです。丸暗記した志望理由を述べ立てるだけでは、会話力は伸びません。

もちろん、KCPにも「んです」を上手に使う学生がいます。あまりじっくり話したことはありませんが、卒業生のCさんなんかは、話が違和感なく頭の中まで入ってきました。うっかりしていると、どこで「んです」を使ったかわからないくらい自然です。こういう学生は、進学先でも周囲から多くのことを学べるのだろうと思います。

一昔前は、「んです」を使いすぎる学生が目立ったものですが、最近はそういう学生がいなくなりました。みんな机に向かう勉強が中心で、日本語で話す相手は教師ぐらいしかいないのでしょうかね。オンラインでそういう傾向が深化したのだとしたら、他の授業を犠牲にしてでも何か手打たなければなりません。

今週中にも海外にいる学生が入国してきます。長い時間待たされてきただけに、期待も大きいでしょう。「んです」を鍛えて、日本まで来たかいがあったと思わせたいです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

何を学んだ?

3月11日(金)

あの年も、3月10日(木)が卒業式でした。あの日は、前夜多くの卒業生と語り合ったので、若干疲れ気味の体を引きずって出勤しました。8時ごろ、授業の準備をしていたら、午後の便で帰国するという学生が挨拶に来てくれました。「元気でね」と言って、手を振って見送りました。卒業生がごそっと抜けた午前クラスは、大半がクラス消滅です。私は残った数少ないクラスの1つの授業をしました。

朝の授業に遅刻して文法テストを受けられなかった学生の追試をしていた時です、揺れが始まったのは。その学生は机の下にもぐり込んだものの、腰が抜けてしまったのか、揺れが収まっても立ち上がれず、ただ泣くばかりでした。朝の学生は、おそらくきわどいタイミングで日本を離れられたのではないでしょうか。成田あたりで足止めを食らっていたら、きっと困り果てて学校に電話をかけてきたでしょうから。

伊勢丹のレストランの招待券がありましたから、早めに仕事を終えておいしいものを食べようと思っていましたが、そんな予定は吹っ飛んでしまいました。津波の映像を見ながら、帰宅できなくなった午後クラスの学生とともに、学校で夜を明かしました。

その後の日本がどうなったかは、皆さんご存じのとおりです。東京であの日の傷跡を見つけるのは難しいですが、東北地方にはあの日から手つかずのままのところもあれば、大改造を施されて以前の姿が想像もできなくなっているところもあります。「塗炭」などという生易しい言葉では済まされないほどの苦しみを、今も味わっている方たちがいることを忘れてはなりません。

世界はどうでしょう。あの後、世界中から温かい支援の手が差し伸べられる一方で、日本全土が放射線で汚染されているかのような報道もなされました。そういった誤解も、だいぶ解けてきたように思えます。それだけに、原発に攻撃を加えようとしている大国のリーダーには怒りを禁じえません。彼は、FUKUSHIMAから、原発は据え置き型の核兵器だということを学び取ってしまったのでしょうか。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

喜んでいい?

3月9日(水)

ジェンダー格差が放置され、賃金が伸びず貧困層が増えつつあり、相変わらず自然災害が多く、イノベーションの機運が薄く、外国人への差別が厳然としてあり、しかも入国が非常に難しいとあっては、留学先として敬遠されて当然です。

政府もそういう点にようやく気付き始めたのか、来日できない外国人留学生の入国を積極的に推し進めると発表しました。5月くらいまでに在留資格認定証明書のある留学生がほとんど入国できる見込みだとしています。官房長官の発言ですから、いい加減なものではないでしょう。

先月あたりから鎖国に対する外圧が強まり、それに受動的に対応したという感じは否めません。しかし、外国人留学生の受け入れを優先的に進めるとは、心強い限りです。真に勉強したい人たちが来てくれれば、私たちとしては喜んでお迎えします。KCPに限らず、留学生を受け入れてきた学校は、どこも手ぐすね引いて待っています。お世話をしたくてうずうずしている教職員が、全国に大勢いるはずです。

そのお世話をしたい人たちも、変化が求められていると思います。留学先としての魅力が2019年以前のレベルに戻るかといえば、私たちが旧態依然だったら悲観的な予測しかできません。ミソをつけたというか信頼を失ったというか、留学生本人や、そのご家族をはじめ留学生に関わる方々の日本を見る目が厳しくなっていることは疑う余地がありません。それを跳ね返すだけの力を、こちら側は養っていけねば明るい未来は見えてきません。

もし、15万人いるとされている未来日の留学生のうち少なからぬ人たちが権利を放棄したとしたら、日本語学校ではなく日本国の未来が危ういということです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

一足お先に

3月5日(土)

先週の初めぐらいからでしょうか、朝出勤して御苑の駅からの道をこちらへ曲がると、空の下の方がかすかにオレンジに染まるようになりました。その染まり具合が、日々少しずつ大きくなってきています。もう、空がどれぐらい雲に覆われているかわかるほどになりました。朝が早まるのを毎日実感できる今ぐらいが、1年で一番楽しみです。逆に、朝がだんだん暗くなっていくのを感じさせられる10月下旬あたりは、寂しさが募ります。

もう少し経つと、丸ノ内線が外界に顔を出す四ツ谷で朝を感じるようになり、程なく桜がちらほら咲き始めます。東京の予想開花日は22日だとか。そんなニュースを耳にしたので、この前の日曜日、うちの近くのお花見の名所の桜の枝を、ちょっと背伸びをしてじっくり観察してみました。確かに花芽はついていますが、近くで見ても木肌色でしかありませんでした。気が早すぎたかな。明日、また見てみましょう。

今シーズンは大雪のニュースがよく耳に入ってきます。北海道や北陸、山陰などは交通機関がマヒし、日常生活に影響も出ています。東京も何回か雪に見舞われましたが、新千歳空港から身動きができなくなるほどの雪に比べたら、小雪にもならないでしょう。その北海道も、平年ならば今月下旬には、少なくとも都市部は、積雪が消えます。

東京は春一番が吹いたそうです。最高気温は17.9度、4月上旬並みでした。メートル単位の雪が積もっている地方のみなさんには申し訳ありませんが、東の空だけではなく、肌でも春を感じさせてもらいました。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

孤立を眺める

3月3日(木)

今朝の天声人語に、国連総会におけるロシアの孤立ぶりは、満州国建国時の国際連盟における日本の孤立ぶりに通じるものがあるということが書かれていました。松岡洋右のように国連を脱退してしまうことはないでしょうが、ロシアが窮鼠猫を嚙むような行動に出ないとも限りません。

現在のところ、KCPにはロシアからの学生はいません。もしいたら、どう対処すればいいでしょうね。今まで、これほどまでの事例ではありませんでしたが、紛争を引き起こしている当事国の学生がいたことはあります。ほとんど、国の政治家よりも冷静な判断をしていましたね。本音の本心はどうだったか、今となっては知る術もありませんが、国を離れると自国を相対化し、客観視できるようになるのでしょう。

だから、現校舎ができたばかりの頃教えたロシア人のAさんが今KCPにいたら、「プーチン、いい加減にしろよ」なんて言っていたんじゃないかと思います。こういうふうに、上から与えられた考えに染まることなく、独自の観点から物事が判断できるようになるのも、留学の意義の1つです。また、それが、大人になるということでもあります。

じゃあ、留学すればだれでもそういう視座が持てるのかと言ったら、決してそんなことはありません。同郷者のコミュニティーに守られて、外界との接触は極力避けるという態度だったら、「プーチン、頑張れ」と声高に訴えているかもしれません。

1日の入国者が7000人になるそうです。その一方で東京の「まん延」は延長されました。入国しにくい現状は簡単には打破できないでしょうが、列をなして待ち焦がれている日本留学予備軍のみなさんが1日、いや、半日でも早く入国できるよう、KCPは学校を挙げて動いてます。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

84万-145万

2月26日(土)

去年の日本の出生数は84万人で、死亡数は145万人だったそうです。人口の年間61万人減も大変な数字ですが、死亡数が出生数の1.7倍という方がショックです。感染症の影響で今年も生み控えが続き、その感染症によって毎日200~300人死亡数が上乗せされるとしたら、今年はダブルスコアになってしまうかもしれません。

リモートワークの広がりによって東京の人口が減りましたが、札幌も人口が減り始めたそうです。札幌はリモートワークによって人口が減ったとは考えにくいですから、こちらも自然減の拡大によるのではないでしょうか。もはや、日本中、人口が増える要素のある町はないのではないでしょうか。

この日本を上回る勢いで人口が減りそうなのが韓国です。出生率が0.81といいますから、あっという間に子どもがいなくなってしまいそうなペースです。中国も、国民の自主的な一人っ子政策が続いています。こちらも早晩人口減に転じるのは確かなようです。遠からず、人口世界第一位の座をインドに明け渡すことでしょう。

韓国や中国に限らず、日本語学習者の多い国々は少子化が進展しつつあります。そうなると、日本留学のお得意さんが軒並み市場縮小ということで、感染症に関して2019年以前に戻ったとしても、日本語教育界は明るさを取り戻せないかもしれません。

しかも、鎖国政策で世界中の若者の日本留学に対する意欲が衰えています。日中は春を思わせる暖かさでしたが、ちょっと先を見通すと、日本語学校の冬は当分続きそうです。86年前の雪の日のような…。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ