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長い休み

5月1日(火)

学校の近くにあるH医院は、4月29日から5月9日まで休診です。日曜祝日と水曜日が休診日ですから、今週は火曜日だけ病院を開けてもしょうがないと思ったのでしょう。でも、来週の月曜日と火曜日はどうなのでしょう。勢いで休んじゃったのかなあ。それにしても11連休とは豪勢ですね。

来年の5月1日は、新天皇の即位日であり新元号の初日です。この日が正式に祝日となれば、祝日と祝日に挟まれた平日は休日とするという特例により、4月27日から5月6日までの10連休が実現します。そうなれば、私も遠出を考えたくなります。海外はパスポートも切れちゃってるし、飛行機代なども跳ね上がるでしょうから、とりあえず置いときます。国内も、北海道は高くなりそうですから、やっぱり関西でしょうか。関西は、新幹線との競争がありますから、連休でも航空運賃が比較的安いのです。

関西だとすると、宿も早く押さえなきゃ。私が関西の定宿としているホテルは、ここ2~3年、競争率が高くなっていますから、毎日ホームページを見て予約が始まったらすぐに取らなければなりません。関西は、行きたいところがまだまだたくさんありますから、宿さえ確保しておけば、行ってから退屈することはありません。私の場合、日本全国各地に、行きたいところ、見たいものがありますから、足と宿を確保しさえすれば10日ぐらいどうにでも過ごせます。

気が早いかもしれませんが、なんたって夏休みよりも長い連休になるんですよ。東京でボーっとしてるわけにはいかないじゃありませんか。まあ、休みにあれこれ予定を盛り込んで疲れ果ててしまうというのは、貧乏性の最たるものという考えもありますが…。

来年は、H医院は何日休みつもりでしょう。

朝のおしゃべり

4月26日(木)

職員室のお掃除に来てくださるHさんはとてもお話好きな方で、毎朝雑談に花が咲きます。今朝は…

「来週は月曜日がお休みなんですね。火曜水曜は学校があるんですか」「はい、カレンダーどおりです」「4月29日はえーと…」「天皇誕生日じゃなくて、みどりの日…じゃなくて、あ、そうそう、昭和の日」「そう、昭和の日ですね。でも、来年になったら、私も昭和、平成、それから新しいのはなんていうかわからないけど、三代生きちゃうんですからね、すごいことになっちゃいますね」「そうですよね。子供のころ、明治、大正、昭和を生きてきたなんていったら、とんでもないおじいさんおばあさんって感じでしたけど、来年になったら自分もそうなっちゃうんですもんね」

考えてみれば、今の私の年齢は、私が子どものころの明治末生まれに相当します。尊敬の対象であると同時に、敬遠すべき存在でもありました。自らを振り返るに、尊敬や敬遠とは程遠く、ずいぶん軽いなと思います。サザエさんの家族でいえば、カツオ君のつもりでいたのが、いつのまにか波平さんよりも年上になってしまいました。でも、波平さんほどの威厳もなく…。

平成元年生まれは来年30歳。もう中年に片足を突っ込んでいる年代です。「近頃の若いもんは…」などと愚痴をこぼしかねないお年頃です。高校野球の選手が平成生まれだといって驚いていたのがついこの前でしたが、今年は平成生まれの監督が甲子園で勝利を挙げました。平成生まれが社会のリーダーに取って代わりつつあるのでしょう。

不易流行といいます。私が若かった頃に明治生まれの方々から引き継いだ「不易」の部分を、平成生まれの学生たちにいい形で伝えて生きたいです。そこに「流行」を重ねていってくれれば、明るい未来が開けそうな気がします。

あるアルバイト

4月25日(水)

Rさんは、今学期、遅刻欠席が目立ちます。出てきても、こちらが油断すると居眠りを始めることがよくあり、精彩を欠く毎日です。聞くところによると、介護施設で深夜のアルバイトをしているということです。

Rさんは福祉関係の勉強をしようとしているわけではありません。純粋に生活費・学費を稼ぐためのアルバイトです。だから、飲食店やコンビニなど、留学生がたくさんいるアルバイト先でもいいのですが、おそらく給料の関係でこのアルバイトを選んだのでしょう。

仮眠時間は設けられていますが、介護施設ですから、入居者に呼ばれれば仮眠時間を割いても対応しなければなりません。それがほぼ常態化しているようで、だから学校で眠くなってしまうのです。飲食店やコンビニなど、留学生が大勢いるところに比べて、かなり厳しい条件のようです。

日本全国の介護施設がこうなのでしょうね。人手が足りず、でも介護施設としての責任を果たすために働き手にしわ寄せが来る――日本の福祉の脆弱な部分を見せ付けられているような気がしました。今後しばらくお年寄りは増え続けるでしょうが、そのお世話をする若者は減り続けます。Rさんのような外国人アルバイトに頼らざるを得ない場面が多くなっていくでしょう。

ふと、資格はどうなのかなと思いました。Rさんが介護に関する資格を持っているとは思えません。そういう資格を持っている人の監督の下で、限定的な業務なら無資格でも携われるのかもしれません。でも、それがなし崩し的に拡大解釈されていったら、いったいどうなるでしょう。

私はまだまだ介護施設のお世話になるつもりはありませんが、私がお世話になることはこの状況がさらに深刻化しているおそれもあります。今から足腰を鍛え、野菜や果物をたくさん食べ、死ぬ直前までピンシャンしていたいものです。仕事明けで電車の中でうっかり寝過ごしたという昨日のRさんの遅刻理由を聞きながら、そんなことを思っていました。

発音を厳しく

4月13日(金)

今学期は、金曜日がレベル1のクラスです。代講ではなく一番下のレベルに入るのは、もしかすると、新校舎になって初めてかもしれません。

教室に入ると窓が開いていました。ひらがなテストをしている間に閉めましたが、授業をしているとどんどん暑くなってきました。3時の休み時間に廊下に出ると、空気の冷たさがとてもさわやかでした。今学期のクラスはレベル1にしては静かなほうだと感じましたが、それでも自然に燃えちゃうんですね。学生たちの何でもかんでも吸収しよう、一刻も早く上手になりたいというエネルギーは、心地よい疲労をもたらします。ランナーズハイに通じるところがあるようにも思います。

ひらがなテストを見ると、このクラスは字が汚くてどうしようもない学生がいません。ひらがなを正確に覚えていなくて不合格になった学生はいますが、字が読み取れなくて思いっきり×をつけたくなるような学生はいませんでした。「な」とか「む」とかに変な癖がなく、読みやすい字を書いてくれます。

授業が終わって職員室に戻ってきてテストの採点をしていると、D社から電話がかかってきました。どうやら外国人社員がかけているようです。発音に癖があって、私のような外国人の日本語に慣れている者には聞き取れますが、普通の日本人には厳しいかもしれません。

私にしたって、聞き取れると言っても、複雑な話をじっくり聞いてやろうという気は起こりません。やっぱり、日本で働くなら日本語力が最重要なんですね。初回から、クラスの学生たちの発音をもっとバシバシと注意してあげればよかったかなと反省しました。

発見

4月10日(火)

先週末から新入生のオリエンテーションが続いています。日本語がわからないという前提ですから、母語ごとに分かれて、その言葉を話す事務職員が直接話すか、教師の言葉を通訳するかして進めます。日本人が日本の学校に入るのと違って、ビザの問題や母国との習慣の違いや親元を離れて暮らす際の注意など、こまごまとしたことまで意識をめぐらしてもらおうと思っています。

しかし、学生にとっては辛い時間のようです。学生がだれていたなんて愚痴をこぼす図も、毎学期おなじみの風景です。異国での生活が始まったばかりという緊張した雰囲気に包まれていたとしても、集中力が持たないでしょうし、気をつけなければならないことがあまりに多くて、頭がオーバーフローしてしまうかもしれません。私が学生でも、半日間の座学というのは相当こたえるでしょう。

だからかどうかわかりませんが、昨日タバコの吸殻が非常階段や駐輪場入口付近に落ちていました。タバコは喫煙所でという話も当然あったはずですが、いきなり破られていたわけです。タバコが吸える場所は、世界中どこでも非常に限られています。日本は緩いほうだとは思いますが、階段でタバコを吸って、なおかつ吸殻をそのまま捨てるとは、その日本ですら非常識極まりない行為です。

明日は始業日です。在校生も含めて学校のルールを再確認します。全校の学生が教師の話に耳を傾け、それにきちんと従ってくれたら、私たちの心労はどんなに減るでしょう。校舎の掃除の手間だって、かなり省けると思います。学生の皆さん、是非、ご協力を。

マイナス10度

4月5日(木)

昨日は汗ばむほどの陽気だったのに、お昼を食べに外に出たときに肌を刺すような風に吹かれ、思わず身を縮めました。最高気温は昨日より10度以上低く、季節が2~3か月ほど逆戻りした感じです。近くの公園でランチを広げているグループがいましたが、話は盛り上がっているみたいでしたが、風邪ひいちゃわないかなあと心配になりました。

まあ、最近が暖かすぎたわけで、最高気温も3月下旬並みとのことですから、とんでもなく寒くなったとは言えません。でも、来週から薄手のスーツにしようかと思っていましたが、それは考え直したほうがいいかもしれません。新学期早々聞き苦しい声じゃ様になりませんからね。

先生方は来週のお天気を気になさっています。学期が始まったらクラス内の親睦を深めるために御苑へ行くのが恒例となっています。去年私が行った日は好天に恵まれ、御苑の芝生に車座になってあれこれ語り合いました。そのときの学生たちは、その後1年、クラスは分かれても、どこかで仲間意識を持ち続けたようです。雨が降ったらそもそも行きませんし、寒かったらそちらに気を取られて友達を作るどころじゃありません。ですから、始業日直後の来週木曜金曜のお天気は、KCPの先生方にとって重い意味を持つのです。

来週だと、ソメイヨシノはすっかり若葉となり、他の木に紛れているでしょうが、御苑には多種多様な桜がありますから、大いに華やいでいることでしょう。1週間先のお天気の予想は難しいですが、景気よく青空になってくれることをお祈りしましょう。

新年度

4月2日(月)

ついこの前卒業したKさんが、ビザの資料をもらいに学校へ来ていました。進学したD大学の学生カードを、少し自慢げに見せてくれました。Suicaもついているカードで、Kさんもそれを手にして大学に進学した実感が湧いてきたようです。これまでは、宿題は重荷だったかもしれませんが、これからは自分が本当に勉強したいことが勉強できるわけですから、宿題も楽しくなる…かもしれません。

同じく3月に卒業して就職したCさんは、入社式を迎えたはずです。社長の訓示をきちんと理解できたでしょうか。社会人ともなれば、学生時代とは違って、たとえ新入社員でも責任が伴います。「日本語はまだまだです」では済まされません。KCPで身に付けた日本語力を駆使して、日本人同期の上を行く有能な社員になってもらいたいです。そういう人物だと見込まれて、入社試験に合格したんでしょうけどね。

こういうふうに、KCPは留学生にとって通過点に過ぎません。KCPで日本語を勉強して上手になっただけでは、まだ半人前です。その日本語を使って何をするかに、それぞれの留学生の将来がかかっているのです。KさんがD大学を卒業した後どうするつもりか知りませんが、活躍の場は日本に限りません。Cさんだって、一生この会社で過ごすかといえば、おそらく違うでしょう。どこへ行っても、何をするにしても、日本語を軸に人生を考えてくれたら、KさんやCさんに教えた立場の人間として、この上に喜びです。

今週末には、また大勢の新入生がやってきます。この学生たちは、来年あるいは再来年の4月を、どこでどのように迎えるのでしょうか。

校庭で勉強

3月27日(火)

午前中、期末テストの試験監督をしながらふと外を見ると、校庭のテーブルで勉強している午後のクラスの学生が何人かいました。桜が満開でお花見真っ盛りなのですから、外で勉強するのもさぞかし気持ちがいいことでしょう。新学期になったら、校庭で語らう学生たちの姿が目立ってくるに違いありません。

期末テストの日は別れの日でもあります。大きな別れは卒業式で済ませていますが、アメリカの大学のプログラムで来ている学生の中には、期末テストを受けたその足で空港直行、そのまま帰国という学生もいます。慌しく修了証書をもらって、時間を気にしながら成田へ向かいました。

多少のリップサービスはあるでしょうが、アメリカのプログラムの学生はみんなまた日本へ来たいと言います。漢字や文法の勉強は大変だったけど、日本での生活は最高におもしろかったと満足げな表情で感想を述べてくれます。私はこうした経験を持った学生たちに、親日家とまでは言わないまでも、知日家になってほしいと思っています。ありのままの日本の姿を見て、それを世界に向けて発信してもらいたいです。日本人の売り込み下手なところを補ってくれたらと思っています。

私たちの仕事は日本語を教えるだけだとは思っていません。日本語を通して日本人のメンタリティーやそれを形作っている背景などにも踏み込んでいるつもりです。上級だけではなく、初級や中級でもそれぞれのレベルに応じて単なる日本文化ではない「日本」を教えています。

校庭のテーブルで勉強していた学生たちは、勉強の成果があったのでしょうか。今、採点なさっている先生のどなたかがこの学生たちの答案を見ていることでしょう。

早くも

3月26日(月)

先週、桜の満開宣言が出た東京ですが、私の観測ポイント・地下鉄四ッ谷駅は、私が通過する時は夜が完全に明け切っておらず、花を楽しむことができませんでした。しかし、今朝はほのかに桜色が目を楽しませてくれるくらいの明るさになっていました。今朝の東京の日の出は5:37、私がいつも乗っている地下鉄の四ツ谷発は5:36、まさに朝一番の桜を拝んだことになります。

お昼に外に出たら、御苑の駅付近にあたりをきょろきょろしている人が大勢いました。駅から出てきた人みんなが御苑へ行きそうな感じすらしました。朝お掃除に来てくださるHさんによると、昨日の御苑は芝生が敷物で埋め尽くされるほどの人ごみだったそうです。大木戸門から入ろうとする人が新宿門近くまで並んでいたとか。

今週は暖かい日が続くという予報が出ていますから、もうすぐ花吹雪で、今週末には葉桜でしょうね。そう考えると、ウィークデーの日中にもかかわらずこの人出というのもうなずけます。平年は開花が3月26日で、満開が4月3日ですから、今年はかなり気の早いお花見シーズンです。冬の寒さが厳しく、3月になってから暖かくなると、このように桜がハイペースで咲くそうです。

どうやら今年は期末テストの採点などをしているうちに、桜が終わってしまいそうです。花園小学校の桜も、急いで見ておかないと散ってしまいます。明日は期末テストですから、午前の試験監督が終わったら、お弁当か何かを買って、花を愛でながらお昼ご飯としましょうか。

雪に思う

3月22日(木)

それにしても、昨日は寒かったですね。雪もちらつくほどでしたから。でも、夕方の予報では「明日は19度」とか言っていましたから、コートはうるさくなるだろうと思い、今朝、スーツ姿でマンションの外へ。思わずブルッと震えてしまいました。その後も天気の回復が遅れ、結局、最高気温は14.5℃。平年並みでした。

そんな気温でも、アラスカ出身のBさんには暖かく感じるらしく、半袖のTシャツでした。1月の雪の日も、薄手のジャケットを羽織るだけで済ませたとか。国の家のそばにはクマが出現するらしく、クマの写真をたくさん撮ったとも言っていました。そのBさん、日本で一番驚いたのが朝のラッシュだそうです。2m近い身長のBさんにとっては、つり革をぶら下げるバーが邪魔くさく、天井が頭上すぐそばまで迫って気になるとか。

テキサス出身のAさんは、東京で生まれて初めての雪体験。ホームステイの家が駅から20分ぐらい歩くので、あの雪の日はかなり難渋しましたが、それもまた楽しい思い出になったようです。寒いのは大嫌いだけど雪は大好きという、わがまま極まりない好みを述べていました。日本留学で、思いも寄らぬ得がたい経験をしたようです。こちらは、Bさんとは違って、厚手のコートを着込んで厳重装備でした。

期末テストが近いこの時期、初級の学生の会話テストを担当することがあります。世間話をしながら会話力を見るのですが、その過程でこんなおもしろい話が聞けます。それが楽しみで、テストを引き受けている面もあるんですがね。