Monthly Archives: 6月 2022

研究方針

6月2日(木)

朝、昨日に引き続きEJUの問題を解いていると、M先生から「先生、午後、お時間ありますか」と聞かれました。「はい。5時から進学授業ですが…」「じゃあ、午前の授業が終わったら、Kさんを送り込みますから、相談に乗ってやってください。大学院の出願がもうすぐなんですが、言ってることがわからないんですよ」

…ということで、M先生からKさんが書いた提出書類のコピーをもらいました。読みましたが、理解するには想像力を目一杯たくましくしなければなりませんでした。“データをブザーに輸出する”ってどういうことだよ! などと文句をたれながら下読みをしました。

昼休みに職員室で待ち構えていたら、Kさんは12時半過ぎにやって来ました。そこから事情聴取が始まります。私がKさんの文章から読み取った(理解した)ことを伝え、それがどこまで合っているか、Kさんに確認しました。理科系の研究内容ですから、大筋では予想通りでしたが、Kさんの文章が言葉足らずで誤解していた部分もありました。Kさんにしてみると、思ったことを日本語で表現できなかったから、書こうにも書けなかったようです。

そういうやり取りの中で、「はい、そうです。そういうことを大学院で研究したいんです」と、Kさんは何回か言いましたが、それじゃあ困りますね。今回はこうして私が手を貸してあげられましたが、ここから先は頼れるのは自分だけです。自分で自分の頭や心の中身を表現できなかったら、アイデアも発想も持っていないのと同じです。Kさんの研究内容は面白そうですが、それが実現できるかは、Kさんの日本語力にかかっています。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

惜しい問題

6月1日(水)

昨日から、去年の11月に行われたEJUの理科の問題を解いています。本来ならもっとずっと早い時期に済ませておくべき仕事なのですが、今学期は他に優先すべき仕事があるため、次のEJUが迫ったこの時期になってしまいました。受験講座で使いますから、これ以上先延ばしはできません。

私の場合は、ただ単に答えを出せばいいというわけにはいきません。答えにたどり着く道筋や、答えに関連した事柄にまで触れた、解説書を作ります。そのためには、学生には40分でやれと言っている問題に、その何倍もの時間をかけることになります。ですから、下手にこちらに取り掛かると、他の仕事が滞りかねないのです。

さて、解いてみると、今までには見られなかった、新しいタイプの問題がいくつかありました。新しいタイプというか、試験範囲には入っていても、出題されたことのなかった項目が見られました。重箱の隅をほじくるような内容ではなく、むしろ、今までどうして出なかったのだろうということが聞かれていましたから、好ましい変化です。この問題の解説の際にこういうことも触れておこうという展望が開ける感じです。

でも、いや、だからこそ、マークシート形式にしてしまうのは惜しいなと思いました。外国人留学生相手ですから、日本語での答案の書き方は脇に置いておくとして、論述式にするだけで力の差が見えてくる内容でした。そういうプレッシャーがかかると、みんな今まで以上に力を込めて勉強するようになると思います。

万余の受験生の答案を採点するのですから、マークシートもやむを得ないでしょう。だったら、解説を充実させて、学生の力をより伸ばす授業をしていきましょう。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ