学生に鍛えられる

11月22日(火)

Oさんは今学期の新入生で、2024年に大学進学を考えている学生です。大学ではITの勉強をしたいと言っています。だから、理科系の受験講座を取っていますが、まるっきり基礎からの勉強になっています。理科系の学部に進学希望の学生は、国の高校で理科や数学の勉強をしてきて、ある程度の自信を持っているというのが通常パターンです。基礎から勉強したいと言っていても、本当にそうすると話が簡単すぎて飽きてしまう場合がほとんどです。そうならないように、高校では教えない小ネタを仕込んでおいて、興味をそらさないようにします。

しかし、Oさんは掛け値なしで基礎からのようです。「数学の授業は何をしていますか」と聞くと「三角関数をしています」と答えてくれますが、同時に「授業のスピードがちょっと速いです」とも言います。担当のS先生によると、Oさんに合わせてだいぶレベルもペースも落としているそうですが…。物理も化学も、一緒に受けている学生に教えてもらったり、説明を飛ばすととたんにわからなさそうな顔をしたりします。

教える側からすると、これくらい常識だろうと思っても油断はできません。論理的にきちんと積み重ねて説明しないと理解してくれません。逆に言うと、筋道を通した教え方をすれば、うなずいてくれます。こちらの話をしっかり聞いて、自分のものにしていこうという姿勢が感じられます。今は基礎の基礎レベルですが、時間をかけてこういう勉強を続けていけば、6月のEJUまでには頭の中に理系のネットワークが構築できるでしょう。

そして、私もOさんに鍛えられています。化学式を書けば通じるとか、図示すればわかってもらえるとか、そういう甘えは許されません。レベル1のクラスに入ったつもりで、物理や化学を教えています。

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