よかったね

9月4日(木)

Sさんは、去年、新入生の学期に初級のレベル2で受け持った学生です。とてもやる気に満ちあふれていて、自分でどんどん勉強を進めていきました。語学のセンスもあったのだと思いますが、レベル2のテストは毎回満点に近く、次の学期はレベル4に、その次の学期はレベル6に上がりました。また、日本語プラスの受験科目の教師をつかまえては、あれこれ質問していました。

EJUでもしかるべき成績をあげ、去年の秋ごろから受験に臨みました。しかし、Sさんの志望する歯学部はどの大学も留学生をあまりとらないため、25年4月入学の入試はすべて失敗でした。理学部や工学部など普通の学部なら十分合格できたはずなのですが、一敗地に塗れることとなってしまいました。

そこでSさんは方針を変えました。何が何でも歯医者さんにならなければならないわけではありませんから、Sさんのしたい勉強ができて、留学生も入学しやすい学部を選ぶことにしました。そんな相談を受けたのが、先学期の中頃だったでしょうか。いくつか候補の大学を挙げ、Sさんに考えてもらうことにしました。

その中で、SさんはK大学を選びました。先週入試でしたから、夏休み直前に面接練習をしました。受け答えが今一つまとまっていませんでした。こうしたほうが印象が良くなる、簡潔ですっきりした答えになる、面接官の気を引くなど、山ほどコメントしてしまいました。

12:15に午前クラス終業のチャイムが鳴ると、選択授業のクラスの学生たちは帰っていきました。最後に残ったSさんが、帰り支度をしている私に「先生、K大学に合格しました」と報告してくれました。報告だけではなく、もうすぐ出願のY大学も受けたほうがいいかどうかという相談も兼ねていました。

1年遅れではありますが、まずはよかった、よかった。受験すべきかどうかは、どちらの大学のほうが、Sさんの勉強したいことが勉強できるかにかかっています。そういうヒントを出しておけば、Sさんならきっと最善の道を選び取ってくれるでしょう。

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