名所案内

5月5日(火)

今年は行きそびれてしまいましたが、ここ15年ぐらい連休は毎年関西へ行っています。関西のどこがいいのかとよく聞かれます。安くておいしい食べ物がたくさんあることは確かで、お好み焼きは必ず食べます。でも、私はグルメじゃありませんから、それが目的で行くわけではありません。やはり、歴史でしょう。

じゃあ、歴史を感じるところでどこがおすすめですかと聞かれると、あれこれいっぱい思いついて、ちょっと困ってしまいます。

坂本の西教寺は、たぶん10年以上前に行ったと思いますが、姿のいいお寺で、ぜひもう一度行きたいと思っていました。お茶もおいしかったなあ。今年の大河ドラマの主人公・明智光秀ゆかりの寺ですから、しばらくは訪れる人が多いでしょう。

京都の西山も、再訪したいところです。阪急京都線の東向日駅からバスで20分ぐらいでしょうか。十輪寺、勝持寺、善峯寺、三鈷寺などをのんびりとめぐります。山から見下ろす景色が印象的でした。ただ、私が行ったときは高速道路の工事をしていましたから、今はそれが開通して、のどかな雰囲気が壊れてしまったかもしれません。

室津、龍野、篠山、出石、長浜、近江八幡といった、ツアーだったら1時間か2時間で通り過ぎてしまう街を、少なくとも半日かけてじっくり見て回るのもおすすめです。どこも歩いて回れる程度のお手頃サイズで、街の隅々にまで行き渡っている歴史に対する誇りを感じるのが、これらの街の醍醐味です。

それから、山の辺の道や竹内街道、柳生街道など、歩く旅も捨てがたいですね。光秀ブームに乗って、老ノ坂から洛中に入るのコースあたりが今年のはやりかなと思いましたが、果たしてどうでしょう。

来年は5月1日から5日まで5連休ですから、絶対に今年の仇を取りますよ!

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過多

5月4日(月)

緊急事態宣言が5月末まで延長されました。当然の判断でしょうね。…と、東京にいるとそう感じますが、いまだに感染者がゼロの岩手県の人はどう感じているのでしょうか。東京から大挙して避難民やら観光客やらが凝られちゃ困ると思っているのか、感染者がいないから経済のことも考えて岩手県だけ宣言を解除してほしいと思っているのか、どうなんでしょうね。

全国の新規感染者の半数近くかそれ以上を東京が占めている状況が続いています。このままいったら、月末には東京だけ宣言が解除されず、他は段階的にではあれ解除に向かうなんてことにもなりかねません。東京の人が東京の外に出たり、東京以外の人が東京に入ったりするのは“自粛”で、それ以外の移動は、例えば青森の人が鹿児島へ行くなどというのは、東京を経由しない限り認められるとかってなるかもしれません。

東京の新規感染者数が思うように減らないのは、東京一極集中のしっぺ返しです。東京一極集中は、経済効率を考えたら、日本にとって理想的なのでしょう。それがもたらす弊害は、東京の出生率の異常な低さや精神面での荒廃など、多くのことが今まですでに指摘されてきました。今回、感染症に弱いことも露呈しました。オリンピックは来年になりましたが、現状からすると、都民がよほどの奮起をしない限り、世界中の選手や観戦客のみなさんに安心しておいでいただける状態にならないのではないでしょうか。

昨日、うちの前のショッピングモールで異様な光景が見られました。2階の通路にかなりの長さにわたって、1.5m間隔ぐらいの列ができていました。100円ショップに入る人が並ばせられていたのです。店内に入れる人数を何人に設定したかはわかりませんが、入店までかなり待たされたんじゃないでしょうか。やっぱり、人が多すぎるのです。これを解消しない限り、新たな伝染病が発生するたびに同じことが繰り返されるでしょう。

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心ここにあらず

5月2日(土)

今ごろ羽田空港、今は琵琶湖を見下ろしている頃、今は三宮から姫路に向かう電車の窓から淡路島が見えている頃、姫路城の天守はどうなっているだろう、…朝からずっと、計画していた関西旅行の旅程を追いかけています。初日は朝1番の飛行機で神戸空港に降り立ち、電車で姫路に向かい、姫路城を見学する予定でした。平成の大修理の最中に、足場で囲われた「天空の白鷺」を見に行って以来ですから、7年ぶりか8年ぶりに対面するはずでした。姫路は朝からずっと晴れているようですから、青空に浮き立つ白鷺が美しいことでしょう。

死んだ子の年を数えるのとはちょっと違うかもしれませんが、中止を余儀なくされた旅行の跡をたどるのは悲しいものです。明日も明後日も、連休が終わるまでずっと、今ごろ繖山とか福原京の跡を歩いている頃とか思い続けるんでしょうね。未練がましいですが、私はそういう性分です。でも、去年は10連休でしたから、2年分休んじゃったんですよ。いや、そう思ってもやっぱり残念だなあ。

連休の予定は、去年のうちに骨格を決めて、足と宿を予約し、年が明けてから詳細を練り始めていました。そのうちにだんだん雲行きが怪しくなり、始業を遅らせる代わりに連休も授業と決まり、やむなくあきらめました。今は夏休みにかけていますが、これも指をくわえるような仕儀に至ったら、いったいどうしましょう。

4・5・6日も、世間一般は休日ですが、私は学生たちと一緒にEJUの準備に励みます。北摂や南都へ飛んで行きたがる心を押さえつけて、授業の準備をしました。

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朝のお勤め

5月1日(金)

人通りは減っているはずなのに、一向に減らないのが投げ捨てられた吸い殻です。今朝は5本も拾いました。毎朝出勤したらまず学校の前に変なものが落ちていないか点検しますが、吸い殻が0本になる日は最近めったにありません。風邪で吹き寄せられたとは考えられませんから、学校の前の道を歩いていた人がポイと捨てたに違いありません。

マスクをしたままたばこは吸えませんから、あごマスクかなんかの状態で吸ったはずです。たばこは煙とともに息も吐き出しますから、吸っていた人が無症状感染者だったらウィルスもまき散らしたことになります。ポイ捨てした人全員が無症状感染者だったとは思いませんが、あまりいい気持ちはしません。私の想像力はたくましすぎるでしょうか。

志村けんさんが亡くなったのも、ヘビースモーカーだったため病気の勢いが増したためだと言われました。自分の命を削っていることに気が付かないのでしょうか。きっと依存症なのでしょうね。だから、健康を害することになりかねないことにもお構いなしに吸い続け、しかも吸殻をポイ捨てして恥じるところがないのです。新宿区は条例で路上喫煙を禁止しています。それにも触れています。罰則こそありませんが、条例違反は取り締まりの対象です。

受動喫煙禁止法で、4月から屋内での喫煙が禁止され、たばこは外で吸わざるを得なくなったため、路上喫煙禁止条例など意識の外になり、こうした状況になってしまったとも考えられます。依存症だとしたら、そういう思考回路であることもうなずけますね。明日からも地道に学校前をきれいにしていくほかありません。

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教室を使わせてください

4月30日(木)

KCPはオンライン授業を続けていますが、TOEFLも受験者を会場に集めて試験を行う方式をやめて、受験生の自宅で受験ができうるようにしています。しかし、どんな場所でも受験できるのではなく、受験環境にある一定の基準を設けています。そりゃそうですよね。カンニングし放題だったら試験の意味がありませんから。

お昼過ぎ、CさんがTOEFLを受けに学校へ来ました。Cさんも自宅で受験しようとしたのですが、TOEFLの基準を満たしていないため、学校の教室を借りて受験することにしたのです。誰もいない学校の教室なら、TOEFLから文句を言われず(まあ、なんたって試験を受けさせるのが学校の仕事ですからね)、それにwifiも使えます。また、学校はGさんのうちから歩いて数分ですから、こういうご時世でも許してもらえそうな範囲であり、しかも使い慣れた場所ですから余計なプレッシャーもかかりません。だから、受験に絶好の場所なのです。実は、上述のTOEFLの話は、Cさんから聞いたものでした。

どんなふうに試験を受けるのか見てみたい気もしましたが、それじゃあCさんはたまったもんじゃありませんから、設定にだけ付き合って職員室に引き上げました。きっと遺憾なく力を発揮してくれたことでしょう。

EJUは、先ほどサイトを確認しましたが、予定通り6月21日に実施すると言っています。6月のEJUは、おそらく日本でいちばん早い大学入試でしょう。諸々の事情で6月の第3日曜日となっているのでしょうが、今年はそれが非常な重荷になっています。近日中に発表される緊急事態宣言の今後によっては、9月入学への動きも含めて、留学生と私たちに多大な影響を及ぼすかもしれません。

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引き際

4月29日(水)

昭和の日です。でも、KCPは普通通り授業がありました。この後、来週の月火水も、授業です。今学期の始業を遅らせたため、連休も休まずに授業なのです。学生にしたって、どうせどこも行くところがないのですから、授業で1日のリズムを作ったほうが、生活が乱れないはずです。私は、緊急事態宣言が引っ込んだら、連休の分を休ませてもらいます。

来週の水曜日は5月6日、安倍さんが緊急事態宣言の区切りとした日です。現状では、5月6日までに新規患者の数が落ち着くとは思えません。たとえ落ち着いたとしても、そこですぐに解除したら、また増えだすことは明らかです。緊急事態宣言は解除されないと見て行動した方がいいでしょう。

緊急事態宣言は、出すのは、ある意味、簡単です。そりゃあ、罰則はなくても国民の行動に縛りを設けるのですから、軽くはありません。でも、出すことによって病原体の広がりを抑える方向に向かわせられます。確かに、広範囲にわたって経済的な打撃を受けます。しかし、感染拡大を防ぐという効果は確実にあります。だから、出すのが遅いくらいだという批判もあったのです。

しかし、解除するタイミングを計るのは非常に難しいです。経済的観点からすれば早く解除するのが望ましいでしょうが、疫学的観点からは慎重であるべきです。早く解除して感染の第2波をかぶってしまったら、元も子もありません。安倍さんは、また「責任はあるけど取らない」という不思議な論法を振りかざして逃げてしまうのでしょうが、そうなってしまったら経済的にも極めて重大な悪影響をこうむります。

解除されたらみんな一斉に遊びに出るでしょうね。日本中が3密だらけになりそうです。夏休みが危ないです。そうならないような手じまいのしかたが難しいのです。

連休の分を、いつ休みましょうか。のびのびと休める時期に休みたいものです。

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突然の雷鳴

4月28日(火)

教室で、一人でオンラインの受験講座をしていたら、突然、ものすごい雷鳴が聞こえました。思わず説明の声を止めて窓の外に目をやると、薄暗くなっていました。稲光はあったのでしょうか。“ピカッ”はなかったようですが、至近距離に雷が落ちたのでしょう。学生たちのうちの近くはどうだったか聞いてみましたけれども、特に反応はありませんでした。

ごく狭い範囲の雷だったようです。受験講座が終わるころには青空になっていました。気象庁の観測データによると、ちょうど私が授業をしていた頃に新宿のやや北側を雷雲が通り抜けていったようです。アメダスの隙間を抜けていったのでしょうか、練馬、府中、世田谷、東京(丸の内)、いずれも大した雨量は記録されていません。これのさらに強力なのが、ゲリラ豪雨なのです。

最近、上空に寒気が流れ込んでいるのか、よくにわか雨が降ります。今年はSTAY HOME週間です。へたにいいお天気になるよりも、雨でも降っていた方が、恨めしくならなくて精神衛生上よろしいんじゃないでしょうか。出かけるはずだった人々も、その人たちを受け入れる立場の人たちも、「どうせ雨だったんだから…」と、多少はあきらめがつくでしょう。

今年は、官公庁に合わせて、KCPも5月1日から上着・ネクタイを外してもいい夏装束としました。最近気温が平年よりも低めに推移しているので、ちょっと早まったかもしれないと心配もしています。でも、週末は夏日になるという予報を出しているところもあります。それを信じていきましょう。

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不安を乗り越えて

4月27日(月)

今月の最初から続いていた日本語教師養成講座の講義が、とりあえず終わりました。オンラインで養成講座の授業をするのは初めてでしたから、やりにくさは最後まで拭えませんでした。

顔は一応見えているのですが、細かい表情を読み取ることは難しく、私の話がどこまで伝わったか、びくびくしながらの授業が最後まで続きました。受講生のみなさんは優秀なようで、こちらからの問いかけにはおおむね的確に答えてくれました。ですから、そこそこ理解が進んでいるのだろうと勝手に想像しています。

でも、ミュートが原則ですから、受講生のつぶやきが聞こえません。教室でやっていた時はそういう独り言を拾ったり受講生同士の会話を聞き取ったりして、理解の進み具合を測ってきました。今回はそれができなかったのがつらかったです。自分の授業が上滑りしているのではないかと、どこか不安を抱えながらの授業でした。

そういう引っ掛かりというかつまずきというか、うまく進まない要素が見えませんから、放っておくと教室での授業よりテンポよく進んでしまいます。それゆえ、意識して以前の内容に触れて、復習のきっかけを作りました。授業内容が相互に絡み合っているということが受講生に伝われば、教室での授業より効果が上がるかもしれません。

私の養成講座の授業はしばらくお休みですが、6月にまた何回かあり、7月は後半の授業も始まります。そのころまでオンライン授業が続いているかどうかわかりませんが、それに向けての対応は抜かりなく考えておかなければなりません。

受講生のみなさんは、明日、オンラインの会話の授業に加わります。実際に日本語学校の学生と話すのは、これが初めてではないでしょうか。うまくコミュニケーションができるだろうかと、なんだか緊張しているみたいでしたから、「わからない、伝わらないという経験も、学生にとっては大事な経験です」と、励ましました。

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早お昼

4月24日(金)

今学期は午後から受験講座というパターンがほとんどですから、昼食を早めにとるようにしています。12時台はどこも混みそうですから、12時前に戻ってこられるように出かけます。すると、どこの店も開店直後のため、少なくとも密集ではない状態で食事ができます。

ある店は、椅子の数を減らしました。まばらに配置して、客同士が比較なりすぎないようにしています。私のように1人で食べに行く者にとっては何ら影響ありませんが、2人連れなどというと微妙な距離感がぎこちなく感じられるのではないでしょうか。だから、会話も弾まず、密接にもならず、感染を防げるという計算もあるのかな。おしゃべりできないから店に長居せず、客の回転が速く、時間当たりの客数の減少を少しでも食い止める効果もあるのかもしれません。

お金のやり取りを直接手渡しでするのではなくトレイを介して行うのは、どこでもやっています。これなんかは、この騒動が終わってもずっと続き、標準化しそうな気がします。事務的過ぎて店員と客との触れ合いがなく、潤いのないやり取りにも感じますが、無人のコンビニが開発される時代ですから、数百円の買い物に触れ合いがなくても気にするほどのことではありません。

「小売店はサービス低下宣言を」という記事が日経に載っていました。「ポイントカードをお持ちですか」なんていうのは、確かに鬱陶しいですね。書店で「カバーをしてもよろしいでしょうか」と聞かれるのも、私にとっては時間の無駄です。カバーは紙の無駄でもあります。

そういう過剰なサービスをそぎ落とした形が、この騒動が収束した後の常識にしていくべきだというのが主張でしたが、椅子減らしもトレイも、その仲間に加えていいんじゃないかなと思いました。

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青い病原体

4月23日(木)

新型肺炎予防には3密を回避することが必須とされています。個々人がばらばらに存在することが求められます。SNSでつながっているとは言いますが、基本的には孤独な戦いを強いられています。東日本大震災の時には「絆」がキーワードになり、精神的にも物理的にも一致団結して難局を乗り切りました。それと比べると、力を合わせてという気持ちになりにくく、これがゆえに安倍さんが叫び続けている8割削減に届かないのかもしれません。

それから、みんな他人に対して疑心暗鬼になっています。自分のそばにいる人が無症状感染者かもしれないという前提で接し続けています。親しき中にもマスクありで、顔の過半を覆い隠し、しかも1.5mとも2mとも言われるソーシャルディスタンス(最近はフィジカルディスタンスと言い換える向きがありますが…)をあけてコミュニケーションを取らなければなりません。信頼とか親密とかよりも、疑念とか距離とかが優先されます。

病原体がはっきり見えないのがいけませんね。見えないから、まず疑ってかかれとなってしまうのです。青かびみたいな、誰にでもすぐわかる色がついていたら、お互い信じ合える生活ができたんじゃないかと思います。電車の中の空気が青いから乗るのをやめようとか、ドアのノブが青いから除菌しておこうとか、あなたも私も青い息をしていないからもう少し近づいて話しましょうとか、そういうことができるでしょう。まあ、青い病原体だったらすぐに駆除されて、こんな大騒ぎにはならなかったでしょうけどね。

そんな夢物語を書き連ねても、緊急事態宣言は解除されません。孤独に地道にひっそりと、嵐の過ぎ去るのを待つほかありません。

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