Category Archives: 社会

不思議な物体

8月6日(金)

朝、学校に着いたら、地下駐輪場の入り口付近の路上にオレンジ色の何物かがぶちまけられていました。「やられた。ゲロだ」と背筋に寒気が走りましたが、近寄るとゲロにしてはオレンジ色が鮮やかで、ドロドロ具合が足りないように見えました。においも、ゲロ特有の、それこそ吐き気を催すようなものではなく、それよりは刺激が強いように感じました。断言はできませんが、キムチじゃないかとも思いました。

少なくとも、昨夜9:30少し前、私が学校を出たころには、“キムチ”はありませんでした。とすると、夜中に学校の前の道を通り、キムチを落っことしたのでしょうか。ゲロだとしたら、大酒を飲んで足元をふらつかせながらここまで来て、オエッとやらかしたのでしょう。いずれにしても、学校の前の、表通りとは言い難い道を真夜中に歩いていた人がいたということです。

確かに、夜遅い時間帯の地下鉄は、おととしあたりと比べたら、明らかに乗客が減っています。ロングシートに1人か2人ぐらいしか座っていないことだって珍しくありません。それを見ると、人出が減っているのだなと思います。しかし、本当に夜中に外を徘徊する人が減ったかと言ったら、そうでもないのかもしれません。飲む人は何があってもしっかり飲んでいるのです。日本選手の金メダル獲得なんか、格好の肴ではありませんか。

オリンピック期間中に、累計感染者数が約15万人増えました。開会式の頃の全国の新規感染者数が、今や東京都の1日分です。専門家の懸念が、そのまま現実化しています。それでも菅さんの頭の中では、オリンピック大成功なのでしょうね。

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はい上がるために

8月2日(月)

ついに、今学期も、全面オンライン授業に、私の感覚では、転落してしまいました。毎日3千人じゃ、限界ですね。海外に大事なお子さんを送り出している親御さんの気持ちを考えると、無理押しはできません。

今の学生たちは、入学以来どこかでオンライン授業を経験しています。だから、オンライン授業のやり方そのものや雰囲気や長所・短所といったことはわかっていると思います。長所を生かすことはもちろんですが、いろいろな形のオンライン授業を受けてきたのですから、短所をいかに補うかもしっかり認識しておいてもらいたいところです。私たちもより良い授業をと研究工夫を重ねてはいますが、私たちの力だけでは完璧にはなりません。学生も補完すべきところは補うことで、自分の受けた授業をより価値のあるものとすることができるのです。

文法で、「コロナが流行して以来、~するようになりました」という例文を作らせました。「~マスクをするようになりました」「~毎日手を消毒するようになりました」「~家で食事するようになりました」「~家で映画を見るようになりました」など、学生の生活がにじみ出る例文が出てきました。“家で”の例文からは、ステイホームが徹底されていることがうかがえます。

私だったら、マスクと消毒は学生に言われちゃったから、「~朝、電車に乗った時、窓を開けるようになりました」が一番かな。冷暖房の季節でも、換気が優先です。それに、朝、私が窓を開けておけば、その電車が車庫に入るまでずっと開いているでしょうから、感染拡大防止にささやかに貢献しているつもりです。

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早退

7月21日(水)

前半の授業が終わって、いったん職員室に引き上げようとしていると、「先生、早退してもいいですか」とBさんが聞いてきました。中級ぐらいの学生は、許可を求める場面で「~させていただけませんか」を使いたがります。そして、たいてい失敗するものです。しかし、Bさんは「~てもいいですか」という、初級の表現を使いました。よっぽど余裕がないのだろうと思いました。

いずれにしても、早退したいとは穏やかではありませんから、「どうしたの?」と尋ねました。「実は、昨日、予防注射に行って、たぶんそのせいで、頭が痛いんです。気分も悪くて…」とBさん。どうやら、少々強い副反応が出たようです。確かに、前半の授業中、机に伏せっている場面もありました。他のクラスで副反応により体調を崩した学生がいるという話は聞いたことがありましたが、自分のクラスの学生がそうなったのは初めてでした。明日からの連休の宿題を渡し、「お大事に」と言って帰しました。

この予防接種、若い人ほど副反応が出やすいと言われていますが、本当にそのようですね。身近なところで副反応により体調を崩す人を見ているからでしょうか、予防接種に対して漠然とした不安を感じている学生もいるようです。感染者数がかなりの勢いで増えているのもこわいし、感染を防ぐはずの注射でひどい目に遭わされるのも絶対避けたいし、学生たちは余計なところで気を使わされています。私みたいな年寄りは、予防接種もさらっと終わってしまうんですがね。

それでも、少しずつ、接種を済ませた学生が増えています。明るい兆しが感じられる日が近いことを信じたいです。

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一瞬で

7月19日(月)

T先生は痛くて腕が全然上がらないと言い、土曜日に打ってもらってから出勤してきたF先生も腕が重いと言っていました。私は、箸と鉛筆は右ですが、その他は左もよく使います。「利き腕じゃない方」と言われても、困ってしまいます。普通の人に比べて左手ですることが多い分、どちらかの腕が使えなくなると被害が大きいのです。

そんな不安を抱えながら、昨日、予防接種を受けてきました。会場はうちから歩いて10分ほどのところですが、昨日は梅雨明け10日の真夏全開でした。予約時間は11:30でしたが、暑くなり過ぎないうちにと、11時前に会場へ。あっさり受け付けてくれて、数分のうちに医師の予診。それが終わって待合室の椅子に腰かけると、待ち時間に読もうと思って持参した本を取り出す間もなく看護師さんが来ました。

「左腕でよろしいですか」「はい」「じゃあ、腕の力を抜いてだらんと垂らして…。アルコールでかぶれたりしたことはありませんか」「はい、全然ありません」などとやり取りをしていたら、もう絆創膏を張っているではありませんか。針の痛みを感じることなど全くなく、接種が終わってしまいました。私は子どもの頃病弱でしたから、注射も数えきれないほど打たれました。針が刺さる瞬間を見るのが趣味みたいなところがあるんですが、昨日はじっくり観察する隙もありませんでした。

それから経過観察の15分間、今度は本を読む時間がありました。全く何ら異状はなく、無事会場を後にしました。お昼過ぎまでかかるかもしれないと覚悟していましたが、うちへ戻ってもまだ11時半前でした。夕方になって、多少腕に違和感が出てきましたが、何かができなくなるほどではありませんでした。今朝は筋肉に痛みがないわけではないという程度でした。普通に授業も受験講座もこなし、今はもう全く何ともありません。

どうやら今回も、注射を打たれ慣れている私にとっては、荷が軽かったようです。副反応は2回目の接種の後で現れることが多いと言われていますから、まだ油断はできません。でも、乗り切れちゃう感じがしてきました。

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苦渋

7月9日(金)

7時過ぎ。養成講座の資料の手直しに集中していたら、ロビーから「おはようございます」と声をかけられました。業者さんが2階ラウンジの自販機の入れるおにぎりやパンを持って来ました。私の場合、学期休み中と学期中とで違うのは、朝、商品納入に来た業者さんのために2階の鍵を開けるかどうかというのもあるのです。

業者さんが来ると、まず、熱を測ります。といっても、熱があってお帰り願ったことは一度もありません。今朝はその時に、「また緊急事態宣言ですが、授業は普通通りにあるんですか」と心配されてしまいました。「学生の数は減っていませんか」というのも、商品を納入する立場とすれば当然の質問です。本気で日本で進学を考えている学生は、下手に帰国すると再入国が難しいですから、日本を離れるわけにはいかないのです。業者さん、ご懸念には及びませんよ。

お昼に入ったお店のテレビで、小池さんが悲壮な顔つきで記者会見をしていました。要するに、無観客になったけど、オリンピックの成功に向けて全力を傾けると語っていました。学校に戻ってパソコンを開くと、オーストラリアのテニスの選手が無観客で試合をしたくないということで、出場を取りやめたというニュースが出ていました。こういう選手がこれからどれだけ現れるかわかりませんが、バッハ会長ぐらいしか見ていないとなると、選手もやる気が湧かないでしょうね。

となると、このオリンピック、記録はあまり期待できないのかな、オリンピックを開催したけど記憶や記録に残る試合が少なかったとしたら、病原菌になすすべもなく敗れ去ったオリンピックとして、永遠に語り継がれることでしょう。小池さんは、そんなことまで考えたから、渋い顔だったのかもしれません。

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御苑の向こう側

7月7日(水)

熱海や山陰地方で線状降水帯が発生し、大雨が降りました。熱海では土砂崩れ、鳥取や島根では線路や道路が冠水しました。これから梅雨の末期を迎えます。全国どこでもこういう被害が発生するおそれがあります。

KCPは微高地にありますから、地下の駐輪場への入り口を死守すれば、学校の中にいるのが最も安全です。ただし、その裏返しで、付近のコンビニなどはKCPよりも低いところにありますから、早々に浸水して、食料の調達などに支障をきたすかもしれません。机の引き出しにお菓子ぐらい入れておいたほうがいいでしょう。

そういう目で国土地理院の3D地図を見ていたら、国立競技場って谷底にあるんですね。新宿御苑の千駄ヶ谷門の手前にある池から続く谷が国立競技場を通り、渋谷へと向かっています。そうです。千駄ヶ「谷」と渋「谷」を結ぶ谷筋が国立競技場をかすめているのです。

ということは、新宿付近に線状降水帯が現れたら、国立競技場はまっ先に沈没するということです。そこでオリンピックの競技をやっていたら、目も当てられません。いや、そんなやすやすと濁流の侵入を許すはずがありません。でも、備中高松城よろしく、水に囲まれて、選手・観客は外には一歩も出られないかもしれません。

そう思うと、1964年の東京オリンピックはうまい時期にやりましたよね。台風シーズンのピークをやり過ごし、秋晴れの季節を迎えていました。また、今回は、マラソンは、東京でするのは危険すぎるということで、札幌で行われます。前回は、国立競技場から飛田給まで、甲州街道を往復しました。

気象庁のページを見ると、島根県石見地方に強い雨雲がかかっています。何事も起こらないことをお祈りいたします。

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大きすぎる

7月6日(火)

エンゼルスの大谷が、31号ホームランを打ちました。松井の記録と並び、日本人大リーガー最多となりました。米国時間昨日の試合で“久しぶりに”単打を打ちました。この調子なら、単独トップに立つことは間違いありません。また、投打でMBLのオールスターに選ばれるという快挙も成し遂げました。

この大谷選手は、岩手県の水沢出身です。地元の中学を出て、菊池雄星が輝いていた花巻東高校に進学しました。甲子園では勝ち星に恵まれませんでしたが、プロに進んでからの活躍は多くの人が知るところです。

大谷選手が生まれ育った水沢は、高野長英、後藤新平、齋藤實といった、歴史ファンには見落とせない人たちの出身地でもあります。地学ファンなら、Z項発祥地であることも忘れてはなりません。

現在、この水沢は奥州市の一部となっています。2006年に付近の市町村と合併し、新しい市をつくりました。市域には、前沢牛で有名な旧前沢町も含まれています。

奥州市は、当然、岩手県に含まれますが、でも、奥州といえば岩手県が含まれます。地名「奥州」は岩手県の一部であると同時に、岩手県を包摂しているのです。言ってみれば、富山県あたりに北陸市ができたり、合併して栃木県東国市などと名乗ったりするようなものです。

大きすぎる地名を一地域の地名にしてしまったと思います。市域に旧江刺市があります。江刺は、岩手県南部の北上川東岸を指す地名で、水沢など西岸は胆沢(いさわ)と呼ばれていました。この両地方を合わせた胆江(たんこう)という地域名があります。これをいただいて、胆江市とするのが分相応だったと思います。

でも、胆江市では、“キモエシ”とか読まれかねません。だから、奥州市へと飛躍してしまったのでしょう。この際、大谷にホームラン50本、ノーヒットノーランでも成し遂げてもらいましょう。そういうビッグな選手が生まれ育った土地ならということで、大きな市名を認めてもらうのが、日本国民にとっても一番喜ばしい形です。

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身近なところに

7月5日(月)

土曜日の夜、駅の近くの小さなスーパーがやけに混んでいました。お惣菜の棚なんか、ほとんどすっからかんでした。よほどの目玉商品があったのだろうと思いながら家の近くまで来ると、何となく暗いのです。ショッピングモールの中核をなすスーパーが臨時休業でした。金曜日の夜は、ごく普通に営業していたんですけどね。

入口の張り紙を読むと、スーパー内の魚屋で陽性者が出たため、急遽休むことにしたとのことでした。今まで、私の親戚縁者、職場、友人など、親しい人に感染者はいませんでした。よく行く店がこういう形で臨時休業になるのも初めてでした(去年、最初の緊急事態宣言が出た時は、紀伊国屋書店が休業になり、大迷惑でしたが…)。ですから、私にとって、この魚屋さんが、一番身近な感染者となりました。

このスーパーに最後に入ったのは、確か先週の水曜日で、その時間にはもう魚屋は閉まっていました。ですから、私が濃厚接触者となる可能性はゼロです。でも、こういう心配をしなければならなくなったというあたりに、東京での感染の広がりを実感しました。

ここのところ、前の週に比べて1.2倍のペースで新規感染者が増えています。何としても有観客でオリンピックを開こうとしている菅首相を嘲笑うかのごとき増えようです。菅さんの夢を打ち砕くために苦しい思いをする新型肺炎にかかる人はいませんが、あたかもそうであるかのようにさえ見えます。都議選だって、前回が負けすぎですから多少は議席が増えましたが、到底勝ったとは言えません。

今週末から新学期ですが、学生たちも安全安心とは思っていないでしょう。

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活用法

6月30日(水)

「○○さん、アベノマスク、まだ持っていますか」「あったかなあ…」「こういう状況ですから、検査の最中もマスクをしてもらうことになっているんです。でも、鼻のところにワイヤが入っているマスクだと検査ができないんですよ。ですから、アベノマスクみたいな布のマスクが一番いいんです」

病院で、看護師さんが次回の来院時にMRIか何かの検査を受けることになった患者さんに話し掛けていました。久しぶりに「アベノマスク」という単語を耳にしました。こういうふうに使えば有効なんだと思いましたが、このような場面はめったに迎えることはありませんから、やっぱりアベノマスクは“引き出しの肥やし”に甘んじるほかないようです。私も、どこにしまい込んだやら、さっぱり思い出せません。

でも、この看護師さん、よどむことなく、布マスクの例として「アベノマスク」を出していました。この病院では、1年ぐらいからずっとこういう案内をしてきたのでしょう。そうです。去年の今頃はアベノマスクが来たとか来ないとか騒いでいました。今は、ワクチンを打ったとか打たないとか、接種の予約ができたとかできないとかが話題の中心です。利用価値のないマスクをどうするかという議論をしていたのに比べれば、感染の広がりを抑える方向に歩み出しているのですから、大きな進歩です。しかし、日々の感染者は1年目に比べたら3倍ぐらい多いですから、そういう面では退歩しているとも考えられます。

検査を受けなければならない○○さんも、基礎疾患をお持ちだということですから、感染が心配なことでしょう。うちの中を探して、アベノマスクを見つけ出したでしょうか。

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文化の違い?

6月24日(木)

レベル1のオンラインクラスの期末テストに、「テストです。消しゴムを借りてもいいですか」という問題を出しました。模範解答は、「いいえ、(借りては)いけません」を想定していました。

今までに何回も、この問題を出してきました。ただし、対面クラスで。ほぼ全員が、模範解答に近い答えを書いてきました。しかし、今回は様相が全く違いました。「はい、いいです」「はい、どうぞ」「すみません、ちょっと…」「すみません。今、使っていますから…」といった答えが続出しました。

対面授業では、テストの際に消しゴムの貸し借りは絶対してはいけないと、学期の最初に厳しく注意します。それでも貸し借りをした学生に対しては、教師は烈火のごとく怒ります。入試やJLPTなどで試験中に周囲の受験生に話し掛けようものなら、一発アウトです。そうならないようにしつけるのも、日本語学校の教師の役割です。

しかし、これは日本での常識に過ぎず、学生たちの国では必ずしもそうでもないのかもしれません。試験の最中であっても困っている人を助けるのが美徳だという考え方もあるでしょう。また、オンラインクラスの場合、試験中に消しゴムの貸し借りということ自体、ありえません。各学生が自室で受けるのですから。

ということで、この問題は、オンラインクラスにはふさわしくなかったのです。「はい、どうぞ」などの答えは、自分が話し掛けられたと考えての応答でしょう。作問者も、私を含め問題をチェックした教師も、こういった点に全く気付かずスルーしていました。意外な落とし穴にはまってしまいました。

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