Category Archives: 健康

若いんだけど

2月20日(火)

午前の授業が終わって教室内の最終点検をしていると、Dさんが入ってきました。「先生、すみません。体調が悪くてこれから早退します。ですから、午後の日本語プラスには出られません」と、口頭で欠席届。義理堅く几帳面に申し出てくれたことはありがたいのですが、Dさんの場合はちょっと休みが多すぎます。

数学のS先生は、Dさんの才能を認めています。欠席の連絡をすると、「Dさんは飲み込みが早いから勉強すればできるようになると思うけど、休みが多いとねえ…」とおっしゃいます。国で理科系の数学をあまり勉強してこなかったようですが、教えるとすぐに理解して、できるようになるそうです。

私が担当している理科は、数学よりは苦戦していますが、本質を突いた質問をしてくるあたりに、才能の片鱗が感じられます。こちらの授業も欠席が多いので、知識と知識を結び付けて答える問題には弱さを露呈します。毎日物理や化学の授業ができれば、ぐんぐん伸びると思うのですが…。

留学生活は、心身の健康が何より重要です。健康面の問題で留学を断念せざるを得なかった学生をいやというほど見てきました。誰よりも本人が残念でならないでしょう。Dさんにはその名簿に名を連ねてほしくないのですが、どうなることでしょう。

Dさんは“心”の方は健康なようです。昨日も明るく授業を受けていました。しかし、“身”のほうは1日でガタッと来てしまうのですから、心配です。まだ私の1/3も生きていないのに、しっかりしてもらいたいです。理科系の希望の星ですから。

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少し復活

2月17日(土)

昨日、4週間ぶりにギプスが取れました。包帯で縛り付けるような感じから、サポーターで軽く足首付近を固める感じになりました。まだ足を全面的に自由に動かせる段階には至っていませんから、歩き方には若干不自然なところが残ります。でも、専用サンダルから普通の靴が履けるように戻ったのですから、大きな改善です。

ギプスの頃は、赤信号にならないうちにと一生懸命歩いて横断歩道を渡っても、小学校に入ったばかりくらいの小さな子供にあっさり抜かされました。しかし、昨日ギプスを外してもらった後、靖国通りの横断歩道を渡ったときは、普通の大人に置いていかれることなく渡り切れました。

とはいえ、骨折以前と同じようには歩けません。ゆうべだって、駅からうちまで歩いた時の疲れ具合が違いました。レントゲン写真を見た医者は、足の筋肉が衰えたため、骨がもう少ししっかりくっついたらリハビリが必要となるかもしれないと言っています。う~ん、結構な大けがだったんですね。昨日の時点で治ったと考えても全治4週間です。全治4週間と言えば、大けがの部類ですよね。

でも、リハビリが必要なら早くはじめて早く元に戻しておかなければなりません。5月の連休は関西遠征をし、飛鳥地方を1日20キロぐらい歩く計画を立てています。航続距離もさることながら、ある程度のスピードも要求されます。山越えのコースの日もありますから、足が動かないのでは話になりません。来週からは、エレベーターを使わずに、階段で教室まで行き来することにしましょう。

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欠席者多数

11月27日(月)

足のケガで受けられなかった中間テストの追試を先週の金曜日に受けると言っていたKさんでしたが、金曜日は欠席でした。その日は連絡が取れず、週末も行方不明のままでした。今朝も教室にはいませんでした。こりゃあ自宅訪問かなあと思っていたら、休み時間後にひょっこり現れました。教室に入るとすぐにマスクをしましたが、またすぐ外して鼻をかみました。月曜日の後半は作文ですが、作文を書きながら、ポケットティッシュ1個を丸々使い切るほど鼻をかんでいました。

授業後に確認を取ると、やはり金曜日から風邪で寝込んでいたとか。アルバイトもすべて休んだと言いますから、相当ひどかったのでしょう。30日に志望校の出願締め切りがあり、その出願について聞きたいことがあるので少し無理して出てきたそうです。

Kさん以外にも、Aさんもあまりたちのよくない咳をしていました。先週1週間欠席していたJさんは復活しましたが、マスクをしていました。おどろおどろしい病名の書かれた診断書を提出してきました。そのほか、欠席したCさんに電話をかけると、Cさんとは思えないような声が返ってきました。Mさんも同様です。電話線を伝わって菌がやってくるんじゃないかというような咳もしていました。Yさんはお腹を壊したようでした。他のクラスも、こういった欠席者が多かったようです。

私も確かに風邪をひきましたが、学校を休む手前で踏みとどまりました。どうして学生たちは踏みとどまれないのでしょうかね。無理のしかたがわからないのかもしれません。こういう経験を通して健康の大切さを身にしみて感じてもらうのも、留学の成果の1つだと思うほかありませんね。

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軽さゆえの?

11月7日(火)

先週のこの稿に書いた風邪がなかなか抜けません。熱は出ないのですが、咳が完全には止まりません。のどもじわじわと痛痒いようないがらっぽさが続いています。龍角散では太刀打ちできないと見て、昨日、学校の近くの医者に診てもらいに行きました。

そこは10年ぐらい前に通って以来ですから、診察券が使えるかどうか心配でした。診察券は受け付けてもらえましたが、感染症予防のためとのことで、待合室から外に出されてしまいました。例年の11月ならちょっと耐えられないでしょうが、今年はちょうどいい陽気ぐらいの感じでした。文字通り本の立ち読みをしながら待つこと数分、白衣の先生が出てきて、症状を聞きました。「熱はないが、10日ほど前から咳が出てのどが痛い。夜、せき込んで寝られないことがある」と答えると、また数分後に看護師さんが処方箋を持ってきました。1160円、ちょうどおつりなしで払えたので、引き換えに領収書をもらいました。看護師さんが私を見て、外で待たせてもひどくなるようなことはないだろうと判断したんでしょうね。

保険で3割負担ですから、元値は3900円弱。医師と看護師の人件費、処方箋発行の手数料、医院の賃料、その他公租公課、用役費を考えると、それほどとんでもない額ではないのかもしれません。でも、何とも軽く扱われた感じがしてなりませんでした。その足で薬局に寄って処方箋の薬をもらっておこうと思ったら、お薬手帳を持ってくるのを忘れたのに気が付きました。取りに学校に戻ったら、仕事の海に飲まれて、結局行けずじまいでした。

お昼に外に出たついでに、薬をもらってきました(…と日本人はよく表現しますが、ちゃんと代金を支払っていますから、厳密には買っているんですよね。保険で7割引きですから、四捨五入したら「もらう」になってしまうのでしょうか)。すると、なんと、7種類の薬を渡されました。昼食後に飲むよう指定された薬は、4種類6粒。寝る前の飲むのが2種類。腕に貼る経皮吸収の薬もありました。夜せき込むことがあるという症状に対処した薬を出しておいてくれたのです。

受験生の面倒を見ている身としては、「金原先生に風邪をうつされて受験できなかった」などと言われないようにしなければなりません。今度の日曜日は、EJU本番です。

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再マスク

10月31日(火)

この3年余りの間は風邪らしい風邪をひきませんでした。言うまでもなく、マスクのおかげです。愛用の龍角散も減ることなくタンスの中に納まっていました。ところが、先週の半ばごろからのどの調子がおかしくなり、実は先週の柴又は咳をこらえつつ歩き回っていました。龍角散も出動しました。

昨日あたりからは、鼻水とたんも加わってきました。たんは、龍角散を飲んでいるから出やすくなっているのかもしれません。咳と鼻水とたんでいかにも風邪ですが、熱は全然出ません。家でわきの下で測っても、学校で額で測っても平熱です。だからこうして出勤してきているわけです。

とはいえ、席と鼻水とたんですから、声が思うように出せません。午前中はN先生の代講でしたが、しょっちゅう声が裏返りそうになり、なんだか落ち着きませんでした。学生もおかしくて笑いたいのをこらえてくれていたのかもしれません。さすが、最上級クラス、こういうあたりはよくわきまえています。

それにしても、マスクの威力は大したものだと思います。風邪も感染症のうちですから、ついでに完璧に抑えてくれていたんですね。今年の春、マスクを外すとき、風邪の心配もしたのですが、マスクを外す爽快感に負けて、風邪のことはひとまず忘れることにしました。その結果が、これです。

どこで拾ってきたのかわかりませんが、今はこれを学生にうつさないように気を付けるだけです。どのクラスにも受験生がいますから、当分の間はまたマスクのお世話になります。インフルエンザが流行っていると言いますから、予防のためにしばらく続けた方がいいのかもしれません。

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新しい道

5月22日(月)

Qさんは、あることを除いて、クラスでは目立たない学生です。その“あること”とは、遅刻です。今朝も、出席を取り、漢字テストの問題用紙を配り終わってふと振り返ると、教室のドアに一番近い席にQさんがいるではありませんか。すぐに問題用紙を渡し、ロスタイム1分ぐらいでテストを受けさせました。

そのQさんとの面接が、授業後にありました。遅刻が多い理由を聞いてみると、後遺症でした。去年8月に感染したQさんは、規定の日数で熱も下がり、PCR検査が陰性にもなり、登校を再開しました。しかし、どうも体調がしっくりきませんでした。Qさんの話をまとめると、寝ようとしても寝付けない日が続いているようです。ゲームなどをしながら夜更かしをしたため朝起きられないという、遅刻者のお決まりのパターンとは違うようです。

また、集中力も落ちて、勉強も長時間続けられません。20分頭を使ったら10分休むという感じでしか勉強できません。勉強の効率が著しく落ちています。予習の宿題だって、ほとんどしてきません。そのため、成績もパッとしません。だから、授業中も目立たない学生に甘んじているのです。大学院進学を考えていましたが、こんな体調では研究計画書の執筆など、受検準備すらできないだろうということで、あきらめました。

目標を専門学校進学としたQさんは、積極的にオープンキャンパスに参加しています。めぼしいところの資料も取り寄せて、着実に準備を進めています。進学の話から逃げているとしか思えない学生が大勢いる中、立派な心掛けです。「今から準備を始めれば、秋ぐらいには合格しているよ」と励ましてあげたら、少し笑顔を見せてくれました。

後遺症に悩まされ、進路変更も余儀なくされた実例を見せつけられて愕然とした反面、それにもめげずに自分で自分の道を切り開こうとしているQさんのけなげな姿に、心を動かされました。

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病人集団

2月28日(火)

学校を休んでWさんに電話をかけて理由を聞きました。「足が痛くて歩くのが大変でしたから病院へ行ったら、尿酸値が高いと言われました」「えっ、それって痛風ってこと?」「は、何ですか?」となってしまいましたが、足が痛くて尿酸値が高いとなれば、痛風に決まっています。

Wさんに限らず、私の周りの学生には、高血圧とか腰痛とか肥満とか貧血とか、生活習慣病が疑われる人が多くて困ります。そう言われていなくても、不健康そうな顔つきをしている学生をよく見かけます。昔は“アルバイトのし過ぎは万病の元”でした。しかし、今はアルバイトをする学生が珍しくなりました。ですから、それ以外の生活習慣に何らかの原因があるはずです。

まず、食生活が怪しいです。休み時間にコンビニまで猛ダッシュしておやつを仕入れて、授業が始まりまでに大急ぎでぱくつく学生が少なくありません。朝食抜きは昔から多かったですが、昼食夕食もいい加減な学生が増えている気がします。お菓子で3食済ませてしまうという話もよく耳にします。私も食生活は自慢できたものではありませんが、野菜と果物とヨーグルトとという具合に、どうにかバランスを保とうとしています。学生にはそういう意識が薄いように思えてなりません。

それから、ストレスです。我々教師もストレスを与える側に回ることが多いですが、教師以外が源となっているストレスが多くなっている気がします。家族の期待、自分が自分にかけるプレッシャー、住環境でのいざこざ、日本の生活になじみきれない、進学に対する焦りなど、数え上げたらきりがありません。

運動不足もあるでしょう。エレベーターに列をなす学生を何とかしたいです。先日の御苑でも、なかなか行きたがらなかった学生が何名かいました。Pさんもその1人でしたが、行ったら大はしゃぎしていました。体を動かすのを億劫がって、本当に動かさないままになっている例が多いのではないでしょうか。まあ、痛風になってしまったら、動かすどころの騒ぎじゃありませんが。

あさっては、葛西臨海公園まで行きます。学生には、せいぜいたくさん歩いてもらいましょう。

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また休みました

2月1日(水)

Yさんがまた休みました。授業後電話をかけましたが、出ませんでした。おとといの私の授業も休みましたが、その時は電話には出ました。精神的に参っているようでした。

Yさんは有名大学に進学すると言って、去年の4月に入学しました。最初のつまずきは数学でした。文系志望ですが国立を狙うということで数学も勉強し始めましたが、だんだん手が回らなくなり、夏までに撤退しました。数学よりも総合科目に注力し、私立のいいところに入るという手は、多くの先輩がやってきました。

夏を過ぎたあたりから、授業中の内職が激しくなりました。机の上に堂々と総合科目の参考書を出し、教師と衝突することも目立ってきました。焦りが募ってきたのでしょう。でも、このあたりからYさんの日本語力は、読解力に偏りだしました。話す力がある点が、Yさんが同じレベルの学生より勝っている点でしたが、それがだんだんそうでもなくなってきました。内職のおかげ(?)で読む力は伸びているようでしたが、授業中に教師の話を聞かず、教師からも相手にされなくなってきましたから、話す力は伸び悩んでしまったのです。

受験した大学に落ち、精神的に追い詰められていきました。そうすると内にこもってしまって、負のスパイラルに陥ってしまったようです。教師とつながっていたいような、放っておいてもらいたいような、微妙な心境なのだと思います。もはや有名校もへったくれもなく、入れるところに入るという考えになっています。どこか1校でも合格すれば気分が大きく変わるのでしょうが、それができないからこそつらいのですよね。

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早朝の電話

12月13日(火)

朝8時ごろ、Mさんから電話がかかってきました。「先生、かかっちゃったみたいです」と、苦しそうな息遣いで感染宣言。詳しく話を聞くと、熱があるようです。まず、検査をしてもらうよう指示を出しました。Mさんは先週末S大学に合格しました。そのS大学の入学手続きに必要な日本語学校の書類はどう申請すればいいかと、聞かれました。これからしばらく学校へ来られないとなると、そういった心配もしなければなりません。来週が手続き締め切りだそうですから、落ち着かないでしょう。こちらは、KCPのホームページ経由で申し込めますから、そう指示しました。熱があっても、パソコンの操作ぐらいはできるでしょう。

そういえば、昨日、校舎内でMさんにばったり出会ったので、「おめでとう」「ありがとうございます」なんてやり取りをしました。1mぐらいは離れていたし、お互いマスクもしていましたから、たとえMさんが陽性でも、濃厚接触者にはなりません。

あの尾身さんですらなっちゃうんですから、Mさんのような一般庶民がかかっちゃうのもしかたのないことです。でも、Mさんは今学期初めまでは入学以来の出席率が100%でした。10月に交通事故にあい皆勤が途切れ、そして今回です。お祓いでもしてもらったほうがいいかもしれません。

Mさんと同じ学期に入学したYさんが今月初めに帰国しました。Yさんは来日早々体調を崩し、とうとう復活できませんでした。初級のオンライン授業で受け持った時は、Mさんよりもよくできました。そんな学生が帰国しなければならなくなったと思うと、残念でなりませんでした。親元を離れての一人暮らしには、トラブルがつきものです。小さなつまずきが大きく膨らんでしまいがちです。Yさんのことを思うと、Mさんも気がかりです。せっかくつかんだ合格を無駄にしないように、きちんと治してもらいたいものです。

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体が資本

9月13日(火)

Pさんがまた受験講座を欠席しました。Pさんは先学期から理科系の受験講座を取っています。先学期はEJU直前講座が中心だったので難しかったようですが、11月のEJUに向けて再スタートを切った今学期は、基礎の部分から始めたこともあって、どうにかついてきていました。しかし、夏休み明けぐらいから欠席が続いています。

先週の金曜日の授業後、Pさんが受付へ来て、私を呼びました。話を聞くと、最近体調が悪くて、午前中の日本語の授業に出るのがやっとなのだそうです。受験講座がある午後は、家で体を休めているとのことでした。Pさんの場合、受験講座への出席は、在籍管理上の義務ではありません。出欠状況が入管報告事項となっている日本語の授業を優先するのは、理にかなっています。

とはいえ、体力的に日本語の勉強でいっぱいいっぱいというのであれば、ちょうどあと2か月後に迫ったEJUが心配です。Pさんは、金曜日に私に事情説明した話し方からしても、日本語の力はある程度以上備わっています。EJUでもそこそこ以上の点が期待できますし、面接試験で落とされることもないでしょう。むしろ、コミュニケーション力を高く評価されると思います。しかし、理科系の科目は、先学期からあまり進歩がないとすると、心細い限りです。妥協して来年4月に進学するか、もう1年勉強して初志貫徹するか、厳しい選択を迫られそうです。

感染して入院という事態にこそ陥っていませんが、体力的にはそれよりもひどい状況かもしれません。欠席する時には義理堅く連絡してくれるPさんに、何とか救いの手を差し伸べたいのですが…。

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