Category Archives: 社会

昔の名前

9月15日(火)

学生から相談を受けたという先生の相談を受け、建築が勉強できる大学を調べました。私が受験生だったころは、建築を勉強すると言えば全国どこでも工学部建築学科でした。ところが、震災の前後から、建築学部というのが生まれ、工学部から独立する傾向が見られるようになりました。そして、実際に調べてみると、この建築学部またはそれに類する名前の学部が十指に余るほどでした。

さらに言うと、昔ながらの建築に加えて、デザインに重きを置く建築を学ぶ学科が目立ってきました。微積も複素平面も波動も熱力学も原子物理も、ガリガリ理系の勉強をして入る「建築」と、そういう勉強よりも絵を描いて入る「建築」とに分かれています。後者は美術系の延長線上にもあります。KCPからも、毎日美術室でデッサンの練習をしていた学生がそういう学部学科に入っています。

その学生は土木方面でもいいとのことなので、土木についても調べました。これまた昭和の受験生は土木学科に進みましたが、平成の初期あたりから土木学科が改名し、令和の受験生は土木学科を受けることは不可能に近くなっています。「都市」とか「環境」とかという言葉と組み合わせて、新しいイメージを創り出しています。土木という、文字通り土や木の泥臭いにおいがする学問ではなく、人と自然の共生みたいなクリーンな感じのする研究へと変身しています。

とはいえ、旧来の建築学や土木工学がなくなっていいわけがありません。自然災害の多い日本で私たちが生きていくには、地震波を解析し、微積をフルに活用して編み出した耐震建築や免震構造が必須だし、河岸や海岸に堤防を築いたりトンネルや橋で交通の便を確保したりすることだって不可欠です。

その学生に直接会っていませんから本当に何を勉強したいのかわかりませんが、日本で建築だ土木だというのなら、ぜひともそういう方面にも目を向けてほしいものです。

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暑さが収まり

9月14日(月)

土曜日の夜と日曜日の夜は、窓を閉めて寝ました。涼しくなりそうな予感がしましたが、やはり、昨日の朝の最低気温は20.0度、今朝は20.9度まで下がりました。今朝は、カーディガンを羽織ろうかなと思ったほどでした。これでようやく平年並みです。

9月10日以来、猛暑日を記録した地点がぴたりとゼロになっています。真夏日の地点はまだありますが、205、298、212、75、58と順調に減ってきています。週間予報を見ると、今週半ばはまた暑さがぶり返すようですが、猛暑日にはならないとされています。しかし、油断はできないようで、下旬になってから暑い日が襲ってくるとも言っています。一度涼しくなってからの暑さはこたえると言いますから、学生たちにも言い聞かせなければなりません。

このように私が毎日お世話になっている気象庁のホームページに、明日の午後2時から広告が載るようになります。気象庁からのお知らせによると、トップページの一番目立つ場所に検索連動型の広告が現れるとのことです。この検索連動型、自分の過去をさらされるようで、私は大嫌いです。例えば、今年の幻の夏休みに利用しようと思って半年も前に検索した施設の広告が、いまだに出てくるのです。しつこいと言ったらありません。来年、通常通りに夏休みが取れたとしても、そこへは絶対に行きません。

まあ、無視すればいいだけですから、そういう広告には目もくれずに目的とするデータにまっすぐアクセスすればいいだけですから、大勢に影響はないのかもしれません。でも、官公庁のページに広告が載るのは素直に認められませんね。菅新総裁、その辺しっかり頼みますよ。

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嵐の前の静けさ

9月5日(土)

進学指導用の資料を作るために、いくつかの大学のデータを調査・比較しました。個々の大学の学部や学科の構成は、外からもわかりやすいというか、目にする機会も多いですから、“うん、そうだね”という程度です。でも、何校かの学部や学科を並べると、改めて新しい学部が増えたなあと思いました。

私が受験生だったのは40年以上も昔ですから、その頃は工学部とか経済学部とかという古典的な学部学科名ばかりでした。その代わり、名前を聞けばどんな勉強をするかだいたい見当がつきました。しかし、最近は一筋縄ではいかない名前の学部学科が増えました。また、似たような学部名でも勉強する内容がだいぶ違うという例もあります。学生に進路を誤らせないようにするには、指導する側もしっかり勉強し、データをアップデートしておかなければなりません。

それから、学部卒業後の進路に考えさせられました。まず、文科系学部の大学院進学率の低さです。国立大学ですら1桁%にとどまります。文科系大学院生の大半が留学生だという話はよく聞きます。理科系も、よく調べてみると思っていたよりも低く、50%程度でした。日本は先進国の中でいちばん学歴の低い国だというのも事実かもしれません。

新しい名前の学部が増えたのは、学際的分野の研究が進んだからでしょう。文学とか農学とかという前世紀のくくりでは収まらないほどに研究範囲が広がったのです。でも、それなら、学部の4年間だけではその範囲を学びきることなんてできないんではないでしょうか。「広く浅く」では、大学は教育の責務を果たしたとは言えません。また、学ぶ側も真に価値のある教育を受けたことにはなりません。4年のうち1年ぐらいは就活に費やされるんですから、なおさらです。

東京は、台風10号の影響もなく、暑いですが穏やかな1日でした。大きな嵐が近づいているのにのうのうと暮らしているあたり、低学歴なのに気づかず世界と競争することになる日本のようです。

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東京で働く

9月2日(水)

3密を避けるため、満員の通勤電車に乗らなくてもいいような働き方を求める人が増えてきました。働き手が会社まで通わなくなるだけでなく、会社そのものが働き手を集めなくなったり、オフィスそのものを東京の外へ持って行ったりする例も見かけられます。久しく言われ続けてきた東京一極集中が、これからいくらかでも是正されるかもしれません。

超級クラスの学生にそんな記事を読ませて、意見交換をしてもらいました。このクラスの学生は大学院進学の学生が多く、これから受験という学生も、2年後には就職が決まっているかもしれません。そのくらいのタイムスパンなら、現今のこういった潮流がそう弱まっているとは思えません。

それで学生たちはどう考えているかというと、大半が東京で就職したいと言います。友達がいるから、生活の基盤があるから、便利だから、刺激的だから、おもしろいから、…いろいろな理由が挙がってきましたが、意外と考え方が古いなあと思いました。半世紀近く前、田舎の高校生が東京で働きたいと言った時の理由と大差ありません。木綿のハンカチーフの時代ですよ。

最近はやっている「ワーケーション」については賛否が分かれました。魅力を感じるという学生もいれば、仕事と余暇の間にはきっちり線を引きたいと考えている学生もいました。ただ、東京でワーケーションしたいというのはどうなのでしょう。夜な夜な遊びほうけるつもりなのでしょうか。

学生たちは目の前の受験で精一杯に違いありませんが、少し遠くの未来を見通すことが、気分転換にもつながるでしょうし、やる気の源泉にもなるでしょう。たまには息抜きも必要ですよ。

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課題山積

8月24日(月)

新聞報道によると、留学ビザを持っている人たちの入国制限が、近い将来、緩和されるかもしれないとのことです。まずは国費留学生からとなるようですが、これが私費留学生にも及べば、日本語学校にとってはありがたい限りです。久しぶりに新入生がやってきそうな気配がわずかながら立ち始めました。

とはいえ、国が正式に発表した内容ではなく、憶測の範囲を出るものではありませんから、喜び過ぎは禁物です。それに、たとえ入国ができるようになったとしても、2週間の自宅待機が義務付けられるでしょうし、そもそも日本政府が「緩和」を発表したところで航空便がないかぎり入国もままなりません。今すぐに政府決定がなされたとしても、10月期の始業日に間に合うかは非常に疑問です。

それに、中途半端な時期に入国し日本語学校に入学すると、日本で思うように進学できないおそれも伴います。日本語学校に在籍できる期間は最長2年間ですが、大学など高等教育機関の入学時期が4月のままだと、来年1月に入学した留学生は再来年の4月にどこかに進学しなければなりません。本来だったら丸2年日本語を勉強して十分に日本語力を伸ばした上で入試に臨めるのに、その前に勝負しなければならないかもしれません。秋入学のテンションがぐっと下がってしまいましたが、今からでもどうにかならないものでしょうか。

とはいえ、これは日本で新規感染者が少なくなることが前提です。毎日1000人とかというレベルで推移していたら、海外から日本への渡航が禁止されるかもしれませんし、親御さんが大事なお子さんを送り出そうとは思わないでしょう。そう考えると、まだまだ道のりは遠そうです。

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猛暑日

8月21日(金)

それにしても、暑い日が続きますねえ。今年は立秋を過ぎてから暑くなり、暦の上の秋が盛夏となっています。残暑が猛暑で、ことわざ通り本当に彼岸まで暑さが続くかもしれません。本来ならそろそろ甲子園の決勝戦で、そのころになると、中継のアナウンサーが「秋風が立ってまいりました」なんて言うのですが、今年はそんな気配など、みじんも感じられません。

8月10日から、毎日、全国で100か所以上が猛暑日を記録しています。最多は15日の278か所です。真夏日に至っては、最多が11日の778か所で、最低でも18日の586か所です。全国の観測地点は921か所ですから、778か所とは85%に当たります。北海道の北半分や本州の高地のような暑くなりにくいところを除くと、人の住んでいるところはすべて30度以上になったと考えいいでしょう。

そのため、熱中症で命を落とす方が多くなっています。日々の死者数だけで物を言えば、今は肺炎よりもこちらの方がはるかにこわいです。KCPでも、学生たちに熱中症の予防に心がけるよう呼び掛けています。校内だけでなく、家の中での注意点も伝えています。

いざとなったらマスクを外せと言われ始めたのものも、わからないではありません。そのためなのか、最近はマスクを外して街を歩いている人を見かけるようになりました。ただ、困ったことに、外で口を出している人を見ると、見てはいけないものを見てしまったような気になり、目のやり場に困ってしまうのです。そのたびに心臓がどきんとし、熱中症よりも体に悪いんじゃないかとすら感じます。

午後5時までの最高気温、36.0度…。

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公私混同はいけません

8月15日(土)

W大学を受験するDさんから頼まれた過去問の答案の添削と、受験講座理科の上級の学生に出した筆記問題の答えのチェックをしました。どちらも、昨日うちへ仕事を持ち帰っていれば、わざわざ学校まで出てくることもありませんでした。しかし、うちで仕事をするというのはどうも好きになれないので、いつものように職員室の机に向かっています。

前に勤めていた会社で、職場も社宅・独身寮も厚生施設の体育館などもすべて同じ敷地にあるという勤務地がありました。寝床から事務所まで、KCPからせいぜい区民センターぐらいまでの距離だったでしょうか。まさに職住接近で、通勤に要する時間はほんの数分でした。

でも、その代わり、公が私に、時間的にも空間的にも、情け容赦なくめり込んできました。逃げ場がなく、常に仕事とともに暮らしているような感じでした。この息苦しさはたまりませんでした。もう二度と味わいたくないですね。だから、私は仕事をうちへ持ち帰るのに抵抗があるのです。まあ、時間をだらだらと使い、きちんと区切りが付けられないだけなのでしょうけど。

そういう意味で、私は毎日学校に通うことをさほど苦に感じていません。往復の通勤電車で本を読む時間が、精神の健康を守る格好の防波堤になっています。もちろん、日本語や教育問題のような、学校にかかわる本を読むこともあります。でもそれは趣味の延長線上で、仕事に生かすつもりで読んでいるわけではありません。こんな私は、どうやら、個人商店の店主には向いていないようです。

今、在宅勤務が広まりつつありますが、聞くところによると、私が襲われたような、一般とは逆の意味の公私混同がそこかしこで起きているようです。この問題が解決して初めて、働き方改革と言えるのではないでしょうか。

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進路指導

8月12日(水)

現在中級の学生は、ほぼ全員、来年の3月にKCPを出なければなりません。日本語学校に在籍できるのは、最長で2年までですから、どうしても進学しなければならないのです。でも、去年の10月に入学した学生は、去年11月のEJUは出願できなかったし、今年6月のEJUは中止になったしで、自分の実力を公平に測ったことがありません。7月入学の学生も、「まだまだ」と思って去年の11月に出願しなかったり、受験しても玉砕だったりで、参考になるデータは、やはりありません。それゆえ、志望校を決める手掛かりがなく、右往左往するか動くに動けないか、いずれにしても宙ぶらりんの状況です。

志望校一つにしても、自分の実力がつかめていませんから、憧れが先行したり、知っている大学名を列挙しただけだったりという学生が少なくありません。どんな大学があるか知らないということも見逃せません。また、大学で勉強するとはどういうことなのかということすら、はっきりと見えていない気がします。

そんな学生たちに進学についての柱となる考え方を植え付けてほしいと、中級の先生方から言われています。そういう話をするのは必要だというか、遅いくらいですが、どんな話をすればいいかとなると、私もこういう状況を経験したことがありませんから、難しいものがあります。ここでぎゅっと押さえておかないと、年が明けてから苦労するのは教師の側もですからね。

だけど、来年の4月には大学が通常の授業ができるくらいに、日本の国自体が回復しているでしょうか。オンラインばっかりだったら、受かったけど帰国する何という学生も出てくるのではないでしょうか。それが学生自身のためになるなら、気持ちよく帰すのも、私たちの仕事だと思います。

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ドームが満席

8月11日(月)

新型肺炎の累計感染者数が5万人を超えました。春先に中国の感染者数が8万人以上になった時、いくらなんでもあそこまでひどいことにはならないだろうと思ったものです。ですが、今や、中国の背中が見えたどころか、この勢いなら今月中にも中国を追い越してしまうかもしれません。

もはや、感染者をクラスターレベルでとらえることも、感染経路を明確に把握することもできません。市中感染が広がっていると言われていますが、誰もが無症状感染者であると言ってもいいのではないでしょうか。ですから、大勢が集まってマスクを外して会食し談笑すれば、病原体の密度が高まり、より多くの病原体を体内に取り込むことになります。その中には自分が持っているのと違うタイプの病原体もあり、免疫の力が及ばず、発症に至ることもあるでしょう。

日々、自分がウィルスをまき散らしているかもしれないと思って生活すべきです。私は、必要最小限しか口を開かないことにしています。最近は買い物をするたびに「袋は要りますか」と聞かれますが、首を振って拒否の意思を示します。昼食は店が空いている時間帯を狙っていきますから、11時台か2時以降です。学校の外では一言も口を利かず、電車の中ではひたすら本を読みます。

不思議なのはエスカレーターでのアナウンスです。「手すりにつかまって…」と言いますが、電車のつり革や握り棒もつかむと危ないと言われているのに、どこの誰がつかんだかわからないエスカレーターの手すりなんか、触っていいわけがないじゃありませんか。みなさん、足腰の鍛錬と感染防止のために、階段を使いましょう。

5万人と言えば、各地のドーム球場の最大キャパです。猛暑日が続いていますが、冬の寒さをやり過ごすがごとく体を固くして、マスクが外せる日を待っています。

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暑さの中で

8月8日(土)

7月は天候不順で長袖のお世話にまでなりましたが、8月になって梅雨が明けてからは、真夏日・熱帯夜のコンビが東京を支配しています。こういう日が続くと心配になるのが、エアコンをつけたまま寝て風を引いたという学生が出てくることです。毎年こう言っては休む学生が後を絶ちません。今のところ、私が関係しているクラスではそのような話は聞いていませんが、無断欠席の学生の中にはそんなのがいたのかもしれません。

私は、寝るときはエアコンをつけません。幸いにも虫には縁遠いところに住んでいますから、窓を開けて寝ます。近くを走る電車の音が入ってきますが、さほど気になりません。幹線道路からはだいぶ離れていますから、車の走行音に悩まされることはありません。夜風を感じる頭ほどではありませんが、横になってタオルケットをお腹にかければ、すぐに眠ってしまいます。

体温が微妙に下がっただけで、免疫機能はぐっと低下するそうです。眠っている時は体温の管理まで気が回りませんから、体温を必要以上に下げるかもしれないエアコンは避けています。多少暑いくらいがちょうどいいと考えています。

今年はいつもの年とは違って、健康には特別に気をつかわねばなりません。風邪をひいて病院通いなどをすると、さらにもっと危ないものを拾ってしまうおそれがあります。まあ、去年までに比べたらはるかに頻繁に手を洗ったり拭いたりしていますから、そして、うがい薬は使いませんがよくうがいもしていますから、病原菌を体内に持ち込む機会は、私の人生の中で最低に近いレベルではないでしょうか。

来週は連休+お盆ウィークで、本来なら東京はぐっと静かになるはずですが、実際にはどうなのでしょう。KCPは通常営業で、14日は中間テストです。

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