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初戦をものにせよ

6月19日(水)

留学生入試のトップを切って、早稲田大学の出願がもうすぐ始まります。そこで、志願者を集めて、卒業証明書など出願書類を点検し、志願表などの作成の注意点を伝えました。

今までいろいろな先生から何度も言われているはずなのに、「必着」の意味がよくわかっていない学生がいました。大学に直接持っていくなどと言っていましたが、入試要項には大学窓口では一切受け付けないとしっかり書かれています。1人の学生を救いました。

受験料の納め方にも質問が来ました。学生たちの出身国は日本より現金を使うことが少ないので、カードやアリペイなどで払うと思っていたら、みんなコンビニで現金で払うとのことで、ちょっとびっくりしました。

みんな志望理由書はこれからだそうです。ペンで書かなければならないので、間違えた時に修正テープを使ってもいいかというのが気になる点です。ダメとはどこにも書いてありませんが、日本人の心理としては、好ましい心証にはならないだろうと答えておきました。800字以上の文章を、精神を集中させて所定の原稿用紙に書かなければなりません。私もあまりしたい仕事ではありません。

早稲田大学は出願書類を電子的に作成するのですが、志望理由書だけは手書きを求めます。ワープロで書かれた文章からは漂ってこない志願者の体臭を感じたいのでしょうか。すべてキーボード入力で済ませられるとなると、志願者の本気度が盛り上がらないように思えます。一画一画丁寧に原稿用紙に刻み込むことによって、早稲田大学で学ぼうという気持ちが高まりそうな気がします。

26日必着ですから、遅くとも25日には郵便局へ持ち込まなければなりません。2020年度入試の初戦が始まりました。

寒くないですか

6月12日(水)

今週は肌寒い日が続いています。長袖シャツをしまい込んでしまった私は、半袖で意地を張っています。外に出たら本気で歩き、体熱を発生させて寒さを吹き飛ばします。しかし、校舎内にいるとそうそう激しく体を動かすことはなく、やっぱり押し入れから長袖を引っ張り出した方がいいかなあと思うこともあります。

学生は若い分だけ新陳代謝が激しく、私と同じくらいの薄着でも寒さは感じていないようです。受験講座に出ているSさんなどがそのいい例です。Sさんが教室に入ると、いつの間にかエアコンがついています。受験講座は通常クラスの日本語授業ほど人数がいませんから、また、今学期の教室は日当たりが悪いですから、冷房はあっという間に効いてきます。教師は日本語授業ほどアクションをすることもありませんから、体熱は奪われる一方です。

でも、教室が暑く感じるのはSさんだけのようです。KさんやYさんもエアコンの吹き出し口を見上げています。「ちょっと寒いんですが…」と言ってくれればすぐエアコンを切ってあげるのにと思いながら、学生たちの無言の駆け引きを見ています。

Gさんはやせ形で暑がりには見えないのですが、毎朝、ラウンジのエアコンをつけてくれと職員室に言いに来ます。ラウンジは、自動販売機やパソコンからの排熱で、日当たりが悪いわりには温度が高いです。また、8時を過ぎると学校へ来てから食事をする学生がけっこういて、テーブルがさらっと埋まるぐらいにはなります。だから、外では何か羽織っていても、ラウンジではエアコンが欲しくなるのです。

外はあまり暖かくないのですが、校庭のテーブルは意外と人気があります。昼休みはお弁当を広げたり勉強したり談笑したりする学生が絶えません。東京の12時の気温は20度でした。外で食べるなら、もう3度ほしいな。

無力感から駒

6月11日(火)

朝、いつものようにパソコンの電源を入れ、メールを見ようとすると、“サーバーに接続できません”という表示が現れました。インターネットへの接続も試みましたが、失敗しました。ローカルに置いてあるファイルなどは開くことができましたから、どうやらサーバーがどうにかなってしまったようです。

こうなると、私は手も足も出せません。担当のNさんが来るまで、自然治癒に期待をかけて待つしかありません。Nさんの出勤まで、サーバーやネットを使わなくてもできる仕事をしていました。というか、最悪、教室のパソコンもこのような状態かもしれませんから、それでも授業ができるように、教材・資料作りに取り掛かりました。

サーバーは毎日便利に使わせてもらっていますが、一度調子が狂ってしまうと、私のような素人にはどうしようもありません。台風が過ぎ去るまで、ただただ祈りを捧げ続けた古代人に似ていなくもありません。IT機器にへそを曲げられると、非常に強烈な無力感に襲われます。

幸いにも、教室のパソコンは通常通りに使えました。しかし、せっかく作った教材も使ってみたくなり、予定外の進め方をしてしまいました。即興で作ったにしては学生の受けがよく、冷や汗が報われました。また、こうした機会でもないと、思い切って新しいことを始めようともしないんですね。惰性に流されていたというか、守りに入っていたというか、慣れすぎていたというか、チャレンジ精神に欠けていた自分自身を反省させられました。

授業から戻ってくると、サーバーなどは復旧していました。また、便利さにどっぷりつかる日常が戻ってきました。

EGUの勉強

6月3日(月)

午前中、仕事をしていると、出席状況に問題のあるKさんからメールが入りました。「昨日早朝までEGUテストの勉強をしていました、今日起きられなかった。」とのことでした。今朝3時ごろまで勉強していたのでしょうが、E「G」Uって何ですかってきいてやりたいです。

E「J」Uの勉強をすることも大事ですが、Kさんの場合、EJUでどんなにすばらしい成績を挙げても、出席率の問題で落とされるおそれがあります。事態はそこまで切迫しているのですが、本人は何回注意してもこういう調子で、行いが改まる兆しが一向に見られません。

Jさんは去年の11月のEJUで350点以上取ったのに、どこにもうからずに帰国しなければなりませんでした。書く力も話す力も十二分だったのに、出席率がどうしようもなかったため落とされたとしか考えられません。200点の学生すら受かっている大学に落ちたのですからね。

そういう話をKさんにもしているのですが、どうやら本気にしていないようです。のんきに今度のEJUで330点取りたいとか言っています。それほどの実力があるとも思っていませんが、たとえ取れたとしても、今、Kさんが考えている大学には手が届かないでしょう。授業を途切れ途切れにしか聞いていませんから、Kさんの生み出す日本語は不正確です。しゃべればしゃべるほど、面接官に格好の落とす材料を与えることになります。しかも、出席が悪いと来ていますから、受かるはずなどありません。

午後のクラスのLさんも、EJUの勉強で学校を休んだと言っています。そんなの、入管にとってはさぼりの口実に過ぎません。こちらは厳しく注意したところ多少は響いたようですから、これからの動向に注目しましょう。また、Cさんは遅刻が積み重なって、出席率がどんどん下がっています。先月の出席率を見て、びっくりしていました。もちろん、入管が納得するような理由などあろうはずがありません。欠席理由書は入管に提出する正式書類だと言ったら、青くなっていました。…もう遅いんですがね。

さて、この3名、今月はどうなることでしょう。

6月1日(土)

さて、6月。「令和」になって1か月が過ぎました。しかし、私は「令和元年」という表記をまだしていないような気がします。昨日の運動会の優勝トロフィーのペナントに、M先生が“平成三十一年”と書きそうになり、「あっ、令和だった」と言っていました。その時に、そういえば、書類などに“令和元年”と書いていないよなあと思いました。

“平成元年”は、わりと保守的な会社にいたこともあり、元号が改まってから1か月間に何回も“平成元年”と書きました。それに対して、今は、外国人留学生を相手に仕事をしていますから、年号は平成や令和ではなく西暦を使います。上級で生教材のテキストに元号が出てくることでもない限り、元号は使いませんね。

不思議なもので、昭和の出来事は西暦よりも元号でその年代を記憶していますが、平成になってからは元号ではなく西暦で記憶しています。日本語教師養成講座に通っていたのは1997年であり、それを換算して平成9年のことだったとなりますが、そもそもわざわざ換算なんてしません。令和も、きっとそうなるでしょうね。意識の底には持ち続けるでしょうが、表面に出てくることはめったにないのではないでしょうか。

だから、元号を廃止せよとか無駄だとかと言うつもりはありません。元号制度は、千数百年連綿と続く、日本が世界に誇るべき文化の一つです。さすがに皇紀まで行っちゃうと怪しい感じがしますが、「“令和”は“大化”以来248番目の元号だ」とは、胸を張って言えます。「日常、鉄道には乗らないけど、鉄道廃止には反対だ」という議論に似ていなくもありませんね。なんだか気恥ずかしい感じもしますが、私と同じような感覚を持っている日本人は多いんじゃないかな。いかがでしょうか。

あなたにこそ

5月24日(金)

朝一番で文法のテストを配ると、用紙が2枚余りました。欠席者が2名いるということです。誰だろうと思って学生の顔を順番に見ていると、ドアが開いてYさんが入ってきました。さて、もう1人は…と思って探してみると、どうやらHさんがいないようです。昨日もおとといも授業の後半、15分の休憩時間の後から来ました。またかと思っていたら、7分遅刻ぐらいで遅延証明書を手に入ってきました。これで全員出席。私は決断しました。

実は、おととい、全校学生に出席の大切さを訴えるビデオを作りました。各クラスで見せるつもりなのですが、こういうことを企画すると、最も訴えかけたい学生に伝わらないことがよくあります。最も訴えかけたい学生とは出席率の低い学生ですから、下手に日時を決めると、その学生だけがおらず、出席状況に何の問題もない学生たちだけに出席率の話をするというとんちんかんなことになりかねません。Hさんはこのクラスで一番出席率が悪い学生です。その他問題学生が全員顔をそろえるなんて、今後二度とないかもしれませんから、このチャンスは絶対に逃すわけにはいきません。

テスト後、全員にビデオを見せました。ビデオが始まると、画面と私を見比べて一瞬だけざわつきましたが、話が始まると水を打ったように静まり返りました。Hさんも下を向かずに画面を見つめていました。数分のビデオに、勢い余ってさらに30分ほどビデオに盛り込めなかった話をしてしまいました。その後、お通夜のような雰囲気で授業が淡々と進んでいきました。

私のクラスでは一番聞いてほしい人に聞かせることができました。他のクラスでは出席率的に問題がある学生に休まれて、思うに任せなかった例もあったようです。週末に噂でじわんと伝わってもいいと思います。来週、各クラスの出席状況が改善するのを祈るばかりです。

指導料?

5月15日(水)

朝、仕事をしていると、よく学生から欠席連絡のメールが入ります。今朝は、まず、Lさんから。大学の卒業式のために一時帰国していました。日本に戻ってくる飛行機が遅れたようで、1時過ぎに成田から送信しています。「もう1日休ませてください」というのもやむを得ないところでしょう。

次はFさん。じんましんが出たそうです。昨日は元気そうだったんですがね。あさっての中間テストが大事ですから、早く病院へ行ってもらうことにします。

それからGさん。漠然と体調不良としか書いてありません。昨日も休み、授業後こちらからかけた電話にも出ませんでした。まさか中間テストの勉強のために休んでいるのではないでしょうが、ちょっと怪しいにおいがします。

この3人には、ちゃんと読んでいるぞと知らせる意味も含めて、返信メールを送りました。Gさんには出席率に関する注意も書き添えました。

授業後、これまでの文法テストが不合格だった学生3名に再試を受けさせました。私は午後も授業がありましたから、明日、私のクラスを担当なさるH先生(午前中は他のレベルの授業でした)のお手まで煩わせることになりました。再試はテストを返して終わりではなく、間違えたところをわかるまで教えます。だから、手間がかかるのです。

昨日のクラスにも、テストがあった日に欠席した学生に追試を受けさせたり、不合格者に再試を通して指導したりしました。このように、欠席者、不合格者は、休まず授業に参加して合格点を取る学生に比べて手がかかります。欠席が続いたり成績が一向によくならなかったりしたら、さらに強力な指導をします。出席率や試験の成績に反比例した授業料を取りたいくらいです。

明日、Gさんは来るでしょうか。来たら、特別授業料をたっぷり取って、欠席に対する指導をし、あさっての中間試験に備えさせなければなりません。

来ません

5月10日(金)

朝、教室に入ると、Sさんがいませんでした。YさんとJさんもいませんでしたが、こちらは大学の卒業式で一時帰国という届が出ています。でも、Sさんからは何の連絡もありませんでした。

授業後、Sさんに電話を掛けました。呼び出し音が鳴りましたが、「またお掛け直しください」でした。その後しばらくして、Sさんからメールが届きました。昨夜、アルバイト先の人と飲みに行って、帰宅したのが3時で、だから朝起きられなくて学校を休んだという内容でした。3時といえば、私が目を覚ました時間じゃありませんか。要するに飲みすぎで休んだということです。

出席状況のデータを見ると、Sさんは3月から欠席が増えています。2月までは100%に近い出席率だったのに、3月以降は70%台に落ちています。これはここで踏みとどまらせないと、ずるずると落ちていくパターンです。甘い顔をしていると、休み癖がついてしまい、来年の3月、行き場所がなくて帰国を余儀なくされてしまいます。

SさんよりひどいのがFさんです。こちらはすでに休み癖がついてしまい、病気だと言えば堂々と休めると思っている節が見られます。その証拠に、来日以来病院へ行った形跡がありません。入学からの出席率がすでに70%をかろうじて上回るところにまで落ちています。ビザの切れ目が縁の切れ目になりかねません。本当に病気なら休まなければなりませんが、病気にならないことも留学生の大きな仕事です。生まれつき病弱なら、留学生活に耐えられないとして、帰国を促されるでしょう。

Fさんにはそういう話をしました。来週から行いを改めてくれれば、まだ間に合います。改まらなかったら、日本へ来たのは勉強のためじゃないんですねということで、ご帰国願うほかないでしょう。

おとなしく

4月19日(金)

もう、桜の木は周りのほかの木に埋没してしまいました。今年の桜は意外に長持ちしたと思いますが、さすがにこの週末は「花見」ではないでしょう。うちの近くの桜並木も、今はただのどこにでもありそうな木に戻っています。桜前線は、信州から南東北を通過中です。

4月の新入生、特に初級に入った学生たちは、慣れない生活に右往左往しているうちに桜を見逃してしまったようです。生の桜を見ようと思っていたのに、言葉の壁と緊張感でそんなゆとりなどなかったというのが実情でしょう。

午前の授業を終えて、外階段を下りてくるとき、何気なく下を見ると、校庭のテーブルがほぼ満席でした。談笑しながらお弁当を広げているグループがいくつかありました。最高気温23.6度、風も弱く、日差しも強烈ではなく、外でお昼を食べるには絶好のシーズンです。校庭に桜はつきものですが、残念ながらKCPの校庭は木を植えられるほど広くはありません。でも、これから梅雨入りまで、校庭は、雨さえ降らなければ、KCPの中で一番過ごしやすい場所です。私もできることなら校庭のテーブルで仕事をしたいですが、なかなか思うに任せません。

初級の漢字の時間で、「神」という字を扱いました。ちょっと脱線ということで、“八百万の神”という日本人の宗教観にも触れました。教室にもトイレにも電車にも1本1本の木にも神様が宿っているというと、国籍性別年齢を問わず、感心したような顔をします。桜の木の神様は、みんなを喜ばせ楽しませ、また目立たぬ形で、今年は平成から令和への移り変わりを見守ているのでしょう。

黒山の中の珠玉

4月12日(金)

文部科学省から学習奨励費の案内が来たので、受給希望者を募っています。政府の財政状況を反映してか、年々支給額が減っていますが、やはり、学生には奨学金は魅力的に映るようです。申し込み受付をしていた1階カウンターは、休み時間のたびに黒山の人だかりでした。

しかし、その“黒山”の大部分は、1次スクリーニングで落とされます。出席率の基準を厳しくしていますから、ちょっと体調が悪い程度で休んだり、しょっちゅう寝坊したりしているような学生は、そこでアウトになります。絶対休むななどとは言いませんが、気安く休む癖は持ってほしくないです。病気になったら休むのはしかたありませんが、病気にならないように健康管理することも、留学生の義務だと思います。

成績面で引っかかる学生もたくさんいるでしょう。学期を通し絵の各科目の成績は、せめて80点は取ってもらいたいです。学校を代表して学習奨励費をもらうのですから、それぐらいのすばらしい成績は取って当然です。かろうじて合格とか、ましてや赤点など、学習奨励費受給者として、絶対に許されるものではありません。でも、漢字が苦手だとか、作文は嫌だとか言って、努力を怠る学生がそこかしこにいます。そんな学生が名前を書いていたら、真っ先に消さなければなりません。

そして何より、この1年間、学校全体を引っ張ってくれそうな学生を選びたいです。卒業まで模範生であり続けるのは苦しいことだと思いますが、周りからの期待やプレッシャーをはねのけられた学生は、進学でも自分の思いを成し遂げています。

申し込みは、来週初めまで受け付けています。ぐっと絞って珠玉の数名になったら、最終面接に取り掛かります。