Category Archives: 健康

新しい食生活

6月15日(水)

学期末が近づくと、アメリカの大学のプログラムで来ている学生への発話力テストがあります。それぞれの学生のレベルに合わせて質問に答えさせたりまとまった話をさせたりしながら、文法や語彙の定着具合や発音などをチェックします。テストと言いつつも、雑談の中からそういった力を測っていきます。

Jさんは自炊をしています。日本料理が作れるというので何が作れるか聞いたら、カツ丼という答えが返ってきました。カツ丼が日本料理かなあと思いながらも、ハンバーグやスパゲティを食べてきた人から見たら、ご飯粒の上にしょうゆ味のたれがかかった料理は、十二分に日本料理何だろうと納得することにしました。

Rさんは全く料理をしません。毎日、コンビニ弁当でお腹を満たしています。国にいた時は、仕事をしながらお菓子を食べるのが食事代わりでした。不健康なにおいがプンプンしますが、目の前のRさんは顔色もよく、私の質問に積極的に答え、弱々しい感じはしませんでした。

さて、この2人、食生活が正反対でした。Jさんは朝ごはんと昼ごはんをしっかりとり、晩ごはんは食べないことが多いと言っていました。宿題をしたら、そのまま寝てしまうそうです。一方、Rさんは、朝はコーヒーだけで、昼は抜き、晩ごはんをたっぷり食べます。その晩ごはんが、コンビニ弁当なのです。夜食も少々とのことでした。

2人とも、お金がないわけではありません。Rさんなんか、ゴールデンウィークにしまなみ海道でサイクリングをしたくらいですから。最近の若者は、1日3食じゃなくても平気なのでしょうか。食事は集約して、自分のしたいことに時間を振り向けようとしているのかもしれません。すると、料理をしないRさんなんか、口が寂しくなったらサプリなんて方に進むんでしょうかねえ。

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健康の源

6月7日(火)

午後3時ごろでしょうか、Xさんの姿を見かけました。「体調、良くなった?」「はい、どうにか」。実は、昨日の朝、Xさんから学校に電話が掛かってきました。

「はい、KCP地球市民日本語学校でございます」「おはようございます。もしかすると、金原先生ですか」「はい、そうですが、あなたはだれですか」「Xです。すみませんが、M先生はいらっしゃいますか」「はい、少々お待ちください」「はい。M先生を呼んでくださってありがとうございます」

その後のM先生とXさんのやり取りを聞いていると、どうやらXさんは体調がイマイチですが学校に出てこようとしているようでした。M先生に説得され、結局休むことに。きっと、進学フェアで志望校の話を聞きたかったのでしょうね。でも、こういう時期ですから、少しでも体調が悪かったら休んでもらっています。

「はい、どうにか」と答えたXさんの顔色はよく、声もしっかりしていました。100%ではないにせよ、体調も回復したのでしょう。それに比べて、昨日の進学フェアの会場にいたHさんはなんだかむくんでいました。前から大きかった体がさらに一回り膨らんだ感じがしました。ジャージがはちきれそうでした。聞くところによると、Hさんは何かというとすぐ休んでいるとか。骨と皮になっているよりはましかもしれませんが、見たところ締まりがなく、不健康な感じがしましたねえ。あの体をスーツに包んだとしても、面接官に与える印象は芳しくないでしょう。

Xさんは校舎の掃除のアルバイトをしています。夕方、ぱきぱき働いてゴミ捨てなどをしてくれました。体を動かすことをいとわないところが、Xさんの長所であり、少しの病気ぐらい跳ね返してしまう原動力になっているのです。Hさんにも見習ってほしいですね。

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まだ復活せず

3月24日(木)

Kさんは理科系の受験講座を受けています。数学は、私の説明に対して質問したり、私の計算間違いを指摘したりできるくらいまで力が伸びてきました。時々ひっかけ問題にはまってしまいますが、ヒントを与えると自分ではい出してきます。6月のEJUも、ある程度は計算できそうです。

問題は、理科です。数学は数式を追っていけばかなりの所まで理解できますが、物理や化学はそういうわけにはいきません。私の授業はすべて日本語ですから、物理の法則や化合物の性質など、私の日本語がわからなかったらどうしようもありません。練習問題をさせてみると、私の話がちゃんと届いているか不安な状況です。

クラスの先生に聞いてみると、Kさんの日本語力は、順調に伸びているとは言い難いようです。先学期は進級できず、今学期も同じレベルをやっていますが、今学期も進級が危ういとのことです。この調子だと、EJUの日本語も期待薄なのが現状です。

Kさんは昨年夏、ワクチンを打った後に体調を崩し、学校もずいぶん休みました。それから半年以上たちましたが、まだ完全に健康を取り戻してはいないようです。これが日本語の習得に悪影響を及ぼしているのです。

いちばんもどかしい思いをしているのは、Kさん自身でしょう。あれだけ数学ができるのですから、理科系のセンスはあります。EJUが国の言葉で出題されれば、平均点は軽く超える成績が挙げられるでしょう。しかし、現在のKさんは…。こういう時期でなければ、健康な状態で勉強でき、今ごろ6月に向けて自信を持って歩んでいけたに違いありません。

来学期の受験講座は対面で行う予定です。どうにかKさんの力になりたいです。

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なんとなく不調

2月28日(月)

昨日、3回目のワクチンを打ってもらいました。1回目と2回目は去年の夏の暑い盛りでしたから、半袖シャツで行って袖をひょいとまくり上げるだけで準備完了でした。しかし、昨日は、2月としては暖かかったとはいえ、長袖のシャツでしたから、肩を出すのも一苦労でした。接種は、去年の夏同様、あっという間に終わり、15分の安静時間を読書で過ごし、特に何ともなかったので、そのまま帰ってきました。それでも一応副反応を気にかけて、ゆうべは早々に床に就きました。

今朝も別段何ともなく、いつもと同じように出勤しました。仕事に取り掛かりましたが、どうも手先が冷えていけません。お湯を入れたカップを手で包みながらキーボードを打ちました。お昼ごろから、何となく体がぞくぞくし始めました。悪寒というほどではありませんでしたが、何となく落ち着きません。ネットで調べてみると、接種30時間後ぐらいが副反応のピークだそうです。まさにピークに向かっているところです。

ワクチンを打ってもらった箇所は、痛くはありませんが、かゆいです。腕が上がらないとか動かしにくいとかはありませんが、かゆみのせいで意識がそれてしまいます。夏だったら間違いなくポリポリかいていることでしょう。それに、熱っぽいまではいきませんが、背中が痛いです。

どうやら、頭脳労働は明日にしろということのようです。確かに、養成講座の資料を作り直していますが、うまい例文が浮かんできません。演習問題のアイデアも枯渇状態です。これをアップしたら、潔く帰ることにしましょう。

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久しぶりの大口

2月21日(月)

朝、食事をとっていたら、前歯に違和感が。そして、舌に硬いものが当たりました。慌てて吐き出すと、なんと、差し歯がころりと出てきたではありませんか。鏡を見てみると、下の前歯が1本抜けています。何ともマヌケな顔になってしまいました。でも、食べ物がかめないわけではありませんから、食事はそのまま続けました。

幸いにも、令和4年2月21日現在、マスクが必須アイテムですから、しゃべっても笑ってもマヌケ顔をさらす心配はありません。しかし、放っておくわけにもいかず、学校の近くの歯医者で応急処置をしてもらうことにしました。抜けた差し歯はしっかり確保してありますから、それを持って行けば、多少は治療期間も短くなるでしょう。

その差し歯を入れたのは、私がKCPにお世話になる前からかかっていた歯医者です。しかし、そこは遠いので、ネットで探してみると、学校の近くにはけっこうたくさんは医者がありました。評判のよさそうなところを選んで予約しました。

予約の時間に行くと、問診票の記入が最初の仕事なのはどこの医者でも同じですが、この歯医者は麻酔についての質問がありました。ここの先生は麻酔の専門医らしく、普通の歯医者が治療で使う局部麻酔よりも本格的な麻酔を使う治療も選べるようでした。そういう治療もいいかなと思って、○を付けておきました。

患者が結構多く、待合室の椅子が全部ふさがるくらいいました。しかし、診察台も3台で、3人の先生が診ていますから、回転も速いです。程なく私の順番が来ました。以前は3か月おきに歯科定期検診を受けていたのですが、おととしから、人が多いところで大口を開けて仰向けに寝っ転がるのはあまりにも不用心だと思い、中断しています。久しぶりにその体勢を取るのは少し勇気が要りましたが、治療が始まってしまえばどうということはありませんでした。

20分ほどの治療で歯は元通りに戻り、治療費は1000円余りでした。数か月、数万円を覚悟していましたから、あっけないほどの時間と費用でした。しばらく、これで様子を見ます。

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暗黙の指定席

12月13日(月)

いつものように教室で授業の準備をしていると、いつものように出席率100%のBさんが入ってきました。時々欠席しますが来るときは早いQさん、教室にかばんを置いてよく廊下で朝ご飯を食べるSさんなどは来ましたが、始業の9:30になってもLさん、Kさん、Cさんなどが来ませんでした。いつもより幾分スカスカの教室で授業を始めました。

教室は指定席ではないのですが、面白いことに、一番出席率のいいLさんがいつも座っている席は空席のままでした。他の学生が比較的よく座る席はなんとなく埋まりましたから、Lさんがみんなから一目置かれていることが、図らずも見える化されたかっこうでした。

担任のH先生のところには、LさんやKさんから体調不良で休むという連絡が入っていました。胃の調子が悪いとのことだそうですから、どうやら受験ストレスのようです。この2人に限らず、今シーズンはぎりぎりの日本語力で勝負を挑まざるを得ない学生が多いです。Lさんは先日のJLPTでN1に受かったら第1志望の大学院に出願すると言っていました。Kさんはすでに受験していますが、面接練習でかなり厳しい指導を受けました。これからもまだ受験が続きますから、胃が痛くなってもおかしくはありません。

Mさんは最近休みが増えました。大学院への出願書類を作成するので手いっぱいだと聞いています。Mさんもきわどいところで合否が決まりそうですから、気が気ではないのでしょう。でも、Mさんの場合は休み癖がついてしまったような気がします。出席率の落ち込みが激しいと、ビザの問題が出てきます。

Mさんの“指定席”は、ごく普通に埋まっていました。早く教室に戻らないと、取り戻せませんよ。

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また?

10月22日(金)

朝からさっぱり気温が上がらず、日中は10度か11度あたりをうろちょろしていました。12月並みの寒さだそうです。教室は、学生が暖房を入れていました。感染予防のため窓を開けていますから、教室内の気温も10度台前半だったかもしれません。

寒さのせいなのか、私のクラスは欠席が目立ちました。あまり体が丈夫ではないと引き継がれている学生が休んでいます。「解熱剤を飲めば熱は下げられます」と言って学校へ来ようとした学生もいましたが、そこまで無理をするなと止めました。受験を控えていますから、気になる兆候です。

Yさんは出席率が危険水域なのに、休んでしまいました。もう休み癖が付いていますから、教師が騒いだところで効き目がありません。でも、放置しておくわけにもいきません。担任教師がお手上げならば、私が動く番です。それでも行状が改善されなかったら、自分自身で責任を取ってもらうほかありません。

Yさんが成績優秀なら、まだどうにかなる可能性もありますが、残念ながら、その目は薄いようです。そういうことがわかっているのかなあ。自分で自分の首を絞めている、自分の手で自分の将来の扉を閉ざそうとしているということに気付いていないのです。

毎年のことですが、Yさんのような学生に、来学期、私たちは手を焼くことになります。今年の1月期もそうでした。Yさんは学校に隠れて受験しているようだという噂を聞きつけています。こんな隠密行動がうまくいったためしがないのに。でも、何にも見えないんですよね。

天気予報によると、週末はいいお天気のようです。秋晴れの程よい日差しを浴びて、みんな元気になってくれるかな。

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理系の時事問題

9月6日(月)

KCPの先生方もだいぶワクチン接種が進みました。でも、大半の先生が何らかの副反応に見舞われています。出勤しても早退したり、週末に寝込んだり、あるいは先月の夏休みを半分ぐらい棒に振ったりなど、大変な思いをしているようです。

副反応が出るということは、免疫機能がしっかり働いているということです。若い人ほど副反応が強く出るというのも、体にとって異物であるワクチンに対して生体防御反応が活発に行われたということで、若さの証明なのです。2回目の接種後に強い副反応が出るというのは、免疫の二次応答と呼ばれるものです。全然出ないとなると、むしろ免疫細胞がきちんと働いているのかと心配すべきかもしれません。

現在接種されているワクチンは、mRNAワクチンという種類で、ウィルスの表面に存在する特徴的な物質をつくるmRNAを体内に送り込むというものです。ワクチン中のmRNAは体内で細胞の中に入り込み、細胞内でそのウィルスの表面に存在する物質をつくります。しかし、それは私たちの体に最初からあったものではありませんから、免疫細胞は異物と判定し、排除にかかります。このとき、こういう異物を退治したという記憶が残ります。この記憶のおかげで、次に同じ異物が侵入してきたら直ちにそれを攻撃できるのです。

この副反応の出方とか、mRNAワクチンの作用機序とかは、生物の教科書に書かれている免疫の働きの応用です。ですから、今シーズンの入試の口頭試問なんかに出るんじゃないかと思っています。昨シーズンはPCRのしくみが聞かれたとかという噂も耳にしています。

時事問題は、小論文や社会科学系の学部学科に限りません。

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不安な日々

8月27日(金)

夏休み明けの月曜日から、Vさんが受験講座を休んでいます。日本語の授業も出席したのは1日だけです。ワクチンの副反応がひどいようです。オンライン授業にも参加できない状態が1週間も続いているとなると、体力の衰えが心配です。もうすぐ9月だというのに、この前までの天候不順を挽回しなければと思っているかのごとき暑さです。平熱に戻った程度で耐えられるでしょうか。

Vさんは6月のEJUの結果が思わしくありませんでしたから、この時期にガンガン鍛えたいところです。夏休み前までは、本人もそのつもりでいたようです。しかし、こうなってしまっては、無理は禁物です。去年の秋、ほんの一瞬、鎖国が解かれたすきに入国したはいいですが、思わぬ落とし穴にはまってしまいました。でも、ワクチンを接種しなかったら、それもそれで心配が募るでしょう。

Hさんは、まだ入国できず、自国からオンライン授業に参加しています。受験講座の時間が終わって、私がサヨナラと言いながら画面に向かって手を振ったら、「先生、質問があります」と呼び止めました。授業内容についての質問かと思ったら、「先生、私はいつ日本に入れますか」と聞いてきました。

正直に言って、一番してほしくない質問ですね。わからないというのが事実であり、本音でもあります。でも、それではHさんの気持ちは晴れないでしょう。ですから、今年も同じようになるか全くわからないけれども、去年はこうだったという話をしました。希望を持たせすぎるわけにはいきませんが、希望の灯を消してしまってもいけません。

多くの学生が、それぞれの不安を抱えたまま、受験シーズンに踏み出そうとしています。

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声が出ない

8月11日(水)

朝、出席を取ると、JさんはZOOMに顔を出すや否や、チャットで「扁桃腺炎で声が出ません」と訴えてきました。自室内で授業を受けていることは明らかだったので、「はい」という声の返事はなくても出席としました。声が出ないと言っているのですから指名するわけにもいかず、かと言って野放しにもできませんから、いつもよりJさんの画面を頻繁にのぞき込むことで、ずっと出席していることの確認を取りました。

Jさんは最後まで画面から消え去ることなく、課題もきちんとこなしましたから、授業態度に関しては問題ありませんでした。しかし、担任のO先生に届いたメールによると、ゆうべエアコンをつけっぱなしで寝たため、のどを傷めたとのことでした。確かに、昨日は今年最高の暑さでした。その熱気が残り、当然のごとく熱帯夜でした。だからエアコンをつけて寝たというのは理解できますが、こういう時期にのどを傷めてはいけませんよ。今、世界を震撼させているのは呼吸器系の伝染病なのですから。

毎年、この時期になるとエアコンが原因で風邪をひく学生が目立ちます。しかし、今は「ああ、またか」で済ませられる状況ではありません。医者にかかるのも一苦労だし、余計な病気で体力を消耗したところに真打が襲い掛かってくることだって十分考えられます。そういうことも考えて健康管理をしてもらいたいなあ。

でも、Jさんはオンラインだから授業に参加できたのです。対面授業だったら、きっと欠席したことでしょう。熱はなかったそうですが、声も満足に出せないような体調で、外には出たくないでしょう。こういう学生も救える点が、オンラインの真骨頂だとも言えます。

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