Category Archives: 学生

心配事

7月2日(金)

大学や専門学校の留学生担当の方が時々いらっしゃいます。しかし、今年は学生がいません。オリパラが終わるまでは留学生の入国は難しいでしょうから、今、海外にいてKCPに入学を希望している人たちの入学は、早くて10月になりそうです。毎年、4月に入学して1年で進学していく学生もいますが、来日が遅れるとその分だけその数は少なくなるでしょう。

そして、11月のEJUの出願は7月ですが、11月に日本で受験できる確証がないと、出願する意欲も鈍って当然です。去年も、出願はしたものの、試験日までに待機明けの自由の身になれず、受験できなかった学生がいました。多くの大学がEJUを必須としているので、22年4月に大学に送り込める学生の数となると、本当に限られてしまいます。

大学院にしたって、状況は大きく変わりません。海外から日本の大学院の先生に接触する手はありますが、順調に来日し、試験を受け、進学の運びとなる学生が19年までと同等になるとは考えにくいです。

21年度入試で面接試験を省いたところは、日本語でコミュニケーションが取れない学生が入学してしまって困っているという話を聞きます。そうすると、現時点で日本にいて、面接試験が受けられる学生が有利だとも考えられます。もちろん、面接でコミュニケーション力が発揮でき売ればという仮定の下ですが。

大学や専門学校は学生数を確保したいでしょうが、学生の質も落としたくないに違いありません。学生の質は教育の質に直結していますから。そう考えると、今の学生たち、ちょっと心配だなあ…。

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文法を教える

7月1日(木)

月が替わりました。私は養成講座の授業が始まりました。中上級の文法です。でも、日本語の骨格を成す“文法”は、初級で勉強してしまいます。動詞の活用、助詞のはたらき、日本語の文構造、そういった事柄は、みんなの日本語の赤い本と青い本でほぼ勉強し尽くします。厳密に言うと、中級や上級の文法の時間に勉強することは、句法や語法です。

実は、中級や上級は、文法以外の時間に文法を勉強していることが多いのです。初級で勉強した文字通りの文法をどのように応用していくか、字面の裏側に隠された話者の真意をいかに探り当てるかなどを追求していきます。また、日本の文化や日本人の伝統的な考え方に基づいた言葉の使い方や表現の方法といったことも、機会あるごとに触れていきます。

これらは、日本人にとって当たり前すぎることなので、授業などで見過ごされがちです。また、受験のテクニックとも違いますから、問題集などで扱われることもあまり多くありません。しかし、学習者が日本人と意思疎通を図りながら日本で暮らしていく上は、どうしても必要なことです。JLPTや大学入試の点数につながらなくても、日本を生活の舞台とするなら、身につけておかねばなりません。その役目を担うべきは、日本語教師です。

日本語は、英語とは違って国際共通語ではありません。英語は、ノンネイティブ同士のコミュニケーションにも活発に使われています。しかし、日本語の場合、ノンネイティブはネイティブとのコミュニケーションの場面に使うのがほとんどでしょう。だから、上述のような日本語の使い方ができるようになっておく必要があるのです。

学習者が日本語を生かしていく際に不可欠なことは何か、それを受講生に伝えていきたいです。

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変容

6月25日(金)

学期休み中は、教師の勉強会がよく開かれます。特に昨今は学校のあり方が大きく変わりましたから、それに関して外部の講演会や研修会に参加した先生の報告会が行われます。

F先生も、そういう形で学校外から得てきた考え方を発表してくださいました。その中で、学校における教育が、知識や技能を伝達する様式から学習者の変容を促す様式へを変化しつつあると述べていました。確かにその通りだと思います。社会が求める教育は、答えを与える教育から、答えにたどり着く力を与える教育へと変わってきました。私もそういう方向性に沿って、自分が担当している授業の内容を作り上げています。

しかし、学生がそれについてきていないと感じることもよくあります。典型的なのが受験講座です。EJUの過去問を解かせると、多くの学生の関心事は答えが合っているかどうかです。それだけと言っていいかもしれません。なぜその答えになるのかというところには、さして興味を示しません。2問間違えたとか、この問題は3番か5番か迷って5番にしたら当たったとか、そんな感想ばかりです。

どうしてその問題を間違えたのか、また、自信なく選んだ選択肢が正解だったらなぜそれが正解だったのか、その点を追求しない限り実力は伸びません。そういう点に目が向くように日ごろから指導しているつもりなのですが、実を結んだとは言い難いのが現状です。進学してからのことも考えて勉強するようにと、特に上級の学生には訴えていますが、まだまだ進学するための勉強にとどまっています。大学院進学希望の学生なんか、まさしくそうだと思うんですがね。

次の学期には出願シーズンが始まります。視野狭窄のまま出願することのないように、学生たちを指導していきたいものです。

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文化の違い?

6月24日(木)

レベル1のオンラインクラスの期末テストに、「テストです。消しゴムを借りてもいいですか」という問題を出しました。模範解答は、「いいえ、(借りては)いけません」を想定していました。

今までに何回も、この問題を出してきました。ただし、対面クラスで。ほぼ全員が、模範解答に近い答えを書いてきました。しかし、今回は様相が全く違いました。「はい、いいです」「はい、どうぞ」「すみません、ちょっと…」「すみません。今、使っていますから…」といった答えが続出しました。

対面授業では、テストの際に消しゴムの貸し借りは絶対してはいけないと、学期の最初に厳しく注意します。それでも貸し借りをした学生に対しては、教師は烈火のごとく怒ります。入試やJLPTなどで試験中に周囲の受験生に話し掛けようものなら、一発アウトです。そうならないようにしつけるのも、日本語学校の教師の役割です。

しかし、これは日本での常識に過ぎず、学生たちの国では必ずしもそうでもないのかもしれません。試験の最中であっても困っている人を助けるのが美徳だという考え方もあるでしょう。また、オンラインクラスの場合、試験中に消しゴムの貸し借りということ自体、ありえません。各学生が自室で受けるのですから。

ということで、この問題は、オンラインクラスにはふさわしくなかったのです。「はい、どうぞ」などの答えは、自分が話し掛けられたと考えての応答でしょう。作問者も、私を含め問題をチェックした教師も、こういった点に全く気付かずスルーしていました。意外な落とし穴にはまってしまいました。

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最後の1つ前のテスト

6月21日(月)

期末テストの前日、授業の最終日。私のレベル1のオンラインクラスは、会話テストをしました。レベル1で勉強した文法や単語を使って、こちらが与えた場面での会話を作り発表するというタスクです。レベル1では毎学期やっていますから、対面授業では私も経験があります。でも、オンラインでの会話テストは初めてでした。

ごく短い会話の発表なら、授業中にもしてきましたが、ある程度まとまった会話の発表となると、果たしてうまくいくのだろうかという不安もありました。学生たちだって、ZOOMの画面越しに話し合って会話を作るのです。母語が同じなら私の目を盗んでこっそり相談することもできるでしょう。しかし、母語が違ったら、共通言語はお互いに自信が持てない日本語ですから、隔靴搔痒などというものでは済まないでしょう。

会話作成中のブレークアウトルームをのぞきに行くと、どのグループも日本語で話し合っていました。教室だと、私が見ていない隙に母語で話を進めようとするグループが必ずあるのですが、このクラスは不意打ちで訪れても日本語以外を使っているところはありませんでした。

その点は褒められるのですが、会話の発表となると、顔と顔を突き合わせていない弱点があらわになってしまいました。セリフが平板というか、感情がこもらないんですね。教室で教卓の前に仮ステージを作って発表させると、授業で習ったイントネーションをそのまま応用するグループが必ずいくつか現れるものですが、それがなかったのです。これは、オンラインの限界なのでしょうか。

それから、学生に定着した文法とまだまだの文法が、如実にわかりました。こちらはちょっと怖いなと思いました。学生の印象に残った文法とそうでない文法との差が、対面授業より激しいようです。思わぬところで反省材料を突きつけられました。

何はともあれ、明日は期末テスト。みんな、いい点とれよ。

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明日は本番

6月19日(土)

明日はEJUの本番です。去年は6月分が中止となり、留学生入試が大混乱に陥りましたが、今年は、国内に関しては、会場の変更が若干ある程度です。また、大学側もEJUが中止になっても対応できるように募集要項を変更したところもあります。去年は突然のことでうろたえるばかりでしたが、今年は2年目になって、多少は余裕が出てきました。明日の東京地方はあまり天気が良くないようですが、受験に支障はありません。

こわいのは、学生自身の行動です、寝坊したとか電車を乗り間違えたとか違うキャンパスへ行ったとかケータイのアラームを鳴らしたとか昼食を忘れてどこでも食べられなくて午後は頭が回らなかったとか、KCPの先輩たちはありとあらゆる失敗をやらかしてきました。でも、去年は、EJUがなくなって留学の計画を狂わせられた学生がいましたから、今年のみなさんには、受けられるチャンスは確実にものにしておいてもらいたいです。

EJUが終わったら、来週の火曜日が期末テストで、その後学期休みに入ります。休み中もぼんやり過ごすのではなく、志望校についての研究を進めてもらいたいです。そういうイベントをいくつか学生に紹介しています。新学期に入ったら、私立の出願が始まります。今年は留学生の数が少なくなりましたが、各大学は合格者のレベルを落とすつもりはないと言っています。コミュニケーション力を重視するとも言っています。

そういう目で見ると、私の身の回りの学生は、頼りなさげな感じがします。学生数が減った分だけ、濃密に見ていかねばと思っています。

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コミュニケーション

6月18日(金)

「Tさんは大学で何を勉強しますか」「私は国では理科系の勉強をしましたが、日本では文科系を勉強しようと思っています。Cさんは何を勉強しますか」「私は日本で理科系の勉強をしようと思っています」「じゃあ、受験講座で何を勉強する予定ですか」「化学と生物を勉強したいです。Tさんは何を勉強するつもりですか」「文科系の大学に行きたいですから、総合科目を勉強します。数学はわかりますから、受験講座で勉強しなくてもいいです」

レベル2の学生に受験講座の説明をしようと思ってZOOMを開いたら、CさんとTさんがこんな会話をしていました。多少不細工なところはありますが、授業で習った文法を使って、十分会話が成立しています。お互いに情報を与えたり受け取ったりして、コミュニケーションを取っていました。会話のテストだったら、満点をあげてもいいでしょう。

今学期、私が教えてきたクラスは、レベル1です。学期の初めのころに比べたら、ずっといろいろなことが話せるようになりました。でも、3か月後にCさんやTさん並みになっているだろうかというと、心もとないものがあります。CさんもTさんも特別高度な文法を使っているわけではありません。ただ、習った文法がよどみなく出てきています。つまり、勉強したことがきちんと定着しているのです。これが難しいのです。それができているから、満点をあげたくなってしまうわけです。

私のクラスは、来週の月曜日、期末の前日に、会話のテストがあります。私たちが精魂込めて教えた文法や語彙が、自然な形で使えるようになっているでしょうか。

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質問しにくい

6月17日(木)

初級のオンラインクラスで、先日行った文法テストのフィードバックをしました。来週の火曜日が期末テストですから、また、動詞の活用形があれこれ出てきてちょうど脱落者が増えるところですから、学生たちのテコ入れを図ろうと思いました。

テコ入れは、できたと思います。でも、想定の倍以上も時間がかかりました。サクサク進むかと思ったら、テストで間違えたことに関連して、各自が疑問点をぶつけてきましたから、話が広がる一方でした。どうにか収拾がついたと思ったら、休憩時間がすぐそこでした。

学生の疑問点を解消できたのはよかったですが。今までそれだけの疑問点を抱えさせていたのかと思うと、胸が痛みました。日本語がまだまだの学生たちですから、オンラインで質問となると、尻込みしてしまうのでしょう。偶然にも質問しやすい空気になったので、ここぞとばかりに聞いてきたのでしょう。

教室で質問するとクラスメートの目が気になるのではないかと思うのですが、学生たちにとってはそれよりもマイクを通して自分の質問意図を伝えることのほうが重荷を感じるのかもしれません。大学の講義では質問が出やすくなったという話をよく聞きますが、それは日本語に不自由しないからなのです。KCPでも、上級ではチャットが頻繁に使われます。

次の私の授業は、期末テスト前日です。学生たちがモヤモヤをなくし、すっきりした気持ちで期末テストを受け、すばらしい成績を取り、堂々と進級できるような手助けをしたいものです。

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軌道修正

6月15日(火)

私が教えている初級のオンラインクラスは、毎日宿題があります。一部は答えも送って、自分で答え合わせをするようにしています。そんなことをしたら答えを丸写しして提出するんじゃないかと思った方、KCPの学生の心はそこまで汚れてはいません。間違えたところは自分で赤で×を付けて、それを写真に撮って送ってきます。

しかし、ちゃんと直せているかとなると、個人差があります。成績のいい学生がきちんと直せて、芳しくない学生が間違い放置という図式は、容易に想像できると思います。問題をやってみてここはあやしいと思ったところを重点的に見て、間違いを見つけたらしっかり訂正する――ことができれば、自分の足で階段を上っていけます。それに対して、問題を解くことで精根尽きてしまうような学生は、異国の字どうしを引き比べて間違いを見つけるなど、至難の業です。

Yさんが提出した宿題には、大きなチェックマークがついていました。でも、ざっと眺めただけで間違いが3つ。うち1つは許してあげられないでもありませんが、ほかはちょっとねえ。最初の問題はすべての間違いが直してありましたが、その間違いが多くてうんざりしてしまったのでしょうか。

Mさんも間違いがけっこうありましたが、すべて直してありました。それにとどまらず、どうしてこの答えは不正解なのかという質問までありました。Mさんは今までもこういうパターンでした。間違いを自分で直し、納得がいかないところや疑問点を決して残しません。

気が付けば、期末テストまでちょうど1週間です。今学期学んだことをしっかり身につけて、すばらしい成績を挙げ、気持ちよく進級してもらいたいです。

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インクが減らない

6月14日(月)

今学期は、赤のボールペンのインクがさっぱり減りません。いつもの学期なら、テストの採点をはじめ、例文や作文の添削、宿題のチェック、学生からの質問への回答など、あっという間にインクがなくなっていきます。しかし、オンライン授業ばかりの今学期はそのどれもがなく、今月中にインクを使い切る見込みは全くありません。経済的で何よりです。

初級のクラスで、辞書形のテストがありました。formに書かせる(打たせる)ので、インクは1滴も減りません。採点も、まずはコンピューターがしてくれますから、私は「た べる」などのように不要なスペースがあるために不正解にされてしまったような例を救い上げるだけです。

要するに、うっかりスペースキーに触れてしまったとかという、紙のテストではありえないような間違いはなかったことにしてあげようという趣旨です。しかし、「もちます」の辞書形を「まつ」としてしまったのはどうでしょう。私のような老眼には、問題の字が小さいと「も」と「ま」を混同することもあり得ます。しかし、20歳前後の若い目にはそんなことはないでしょう。学生たちがローマ字入力ではなくひらがな入力をしているとすると、「も」と「ま」のキーは斜め上下の位置関係ですから、ミスタッチの可能性が否定できません。

でも、「た べる」は誤解を与えるおそれが非常に小さいでしょうが、「もつ/まつ」は致命的な誤解を与えかねません。ですから、こういうミスタッチはするなという意味でも、Xにします。

そして、そういう間違いを犯した学生は、試験時間を半分ぐらい余して答案用紙を送信しています。ろくに答えのチェックをせずに提出したのです。それに対して、クラスで最優秀のCさんは、一番あとに提出して満点です。

こういう分析が即座にできるところも、オンラインテストのいいところです。

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