Monthly Archives: 2月 2022

2月14日(月)

去年の秋から、NHKBSの刑事コロンボの再放送を見ています。放送時間が土曜日の日中なので家にいないことが多く、録画しておくのですが。他の番組の録画もありますから、ただいま1か月遅れぐらいになっています。

刑事コロンボがNHKの総合テレビで放映されたのは、かれこれ50年近く前のことでしょうか。確か、私が中学生から高校生の頃だと思います。土曜日の夜に、家族みんなで集まってみたものです。半世紀近くたっていますから、ストーリーなんか覚えていません。今も、コロンボがどうやって犯人を追い詰めるかドキドキしながら画面に引き付けられています。

あら探しをしているわけではありませんが、伏線が回収しきれていないんじゃないかと思うことが何回かありました。まあ、これは私の考えすぎかもしれませんが。何より目立つのは、ガソリンをまきながら走っているのではないかと思えるほどの、重厚なアメ車たちです。コロンボも犯人も、地球温暖化に大いに貢献しています。

それから、コロンボをはじめ、みんなよく煙草や葉巻を吸いますね、そこいらじゅうに灰を散らしながら。周りの人達も、迷惑がっている様子がありません。さらに不思議なのは、コロンボが留守宅に平気で入り込んでいることです。この当時のアメリカは、戸締りという概念がなかったのでしょうか。

何より時代を感じるのは、電話です。固定電話しかないことは当然として、“自宅やオフィスを離れる=連絡が取れない”という公式に則ってストーリーが展開されます。SNSやネットで何かするということがありませんから、実にオープンな感じで話が進みます。

これらは、もちろん、刑事コロンボの価値を損なうものではありません。でも、私は楽しめますが、今の中学生はどう見るのでしょう。中学生の私がチャップリンを見るような感じなのでしょうか。

今の中学生が50年後に今のドラマの再放送を見たら、「そういえばガキの頃、スマホなんてもんがあったねえ」などと懐かしむのでしょうか。いや、そのころにはテレビなど、過去の遺物になっているかもしれませんね。

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3回目は率先垂範で

2月10日(木)

昨晩帰宅したら、郵便受けに封書が届いていました。最近はDMすら来ないのにと思いながら見てみると、ワクチン接種のお知らせでした。昨年の7月と8月、どちらもとても暑い日に、2回のワクチン接種を済ませました。3回目の接種券がようやく来たというわけです。

中の案内を読むと、1つには、私は2回目の接種から6か月が経過したので3回目を申し込むことができると書いてあり、別のには、8か月後から接種可能と書いてありました。政府の方針がころころ変わりましたから、現場は混乱しているに違いありません。多くの感染者の対応もしなければなりませんから、通知内容の矛盾に気づかずに発送してしまったのでしょう。同情を禁じえません。

早速接種予約サイトに入りました。ファイザーとモデルナとどちらか選べることになっていましたが、2月、3月はモデルナの枠しか残っていませんでした。昨年は2回ともファイザーでしたから今回もファイザーがよかったのですが、わがままを言っているとだいぶ先になりそうでしたから、モデルナで妥協しました。尾身さんもファイザー、ファイザー、モデルナみたいだしね。

モデルナってあんまりいい噂を聞きませんから、公表されているデータではファイザーと大差なくても、積極的に選ぼうという気にはなれませんでした。でも、尾身さんが注射を打ってもらいながらクロスでも問題ないと言っていた映像を見て、気持ちが多少動きました。率先垂範って、こういうことを言うのでしょうかね。

でも、安倍さんや菅さんや岸田さんが腕まくりしてモデルナと言っても、モデルナで予約したかなあ。率先垂範になる人とならない人と、分析してみたら面白いかもしれませんね。

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次の段階

2月9日(水)

昨日面接をしたSさんが、指定校推薦の手続きをしに学校へ来ました。私はT大学に進学する意志の最終確認と、仮にも学校が推薦するのですから、それにふさわしい学生であり続けることなどをはじめとする、その他もろもろの注意事項の伝達をしました。Sさんは緊張気味に耳を傾けていました。

ここ何年か、指定校推薦で進学を決めた学生が、合格後にそれにふさわしくない行動に走る例が出ています。この制度は単なるすべり止めや他大学に落ちた場合の保険などではありません。また、ある特定の学生個人を利するために存在しているのでもありません。大学側が学生確保を図り、こちらがそれに乗っかっているわけでもありません。真に勉強する意志と能力のある学生を、その意志と能力を受け止めてくれる大学に送り込むための精度です。大学とKCPとの間の信頼関係に基づいて成り立っているのです。

この信頼関係にひびを入れるような振る舞いをしないようにと何本も釘を刺しておくというのが、指定校推薦における私の役どころです。指定校推薦の誓約書に書かれていることをすべて守ってくれたら、全教職員が心から応援したくなること疑いありません。いや、周囲の学生だって、“SさんにはT大学でいい勉強をしてほしい”と思うことでしょう。

指定校推薦の出願書類などを受け取り、作成方法の説明を受け、Sさんは帰って行きました。出願を済ませたら、今度はT大学での入試面接の練習も始めなければなりません。Sさんの思いがT大学の先生方に伝わるように、先生方の心をつかめるように、指導していきます。

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久しぶりの面接

2月8日(火)

Sさんは、先学期と先々学期、私のクラスでした。若干頭の固いところはありますが、真面目な学生です。字が汚いのが最大の欠点で、Sさんの例文やテストの解答用紙や作文を読むのに苦労させられたものです。

そのSさんが、T大学の指定校推薦に応募しました。昨年秋からいくつかの大学を受験しましたが、EJUの点数や英語の成績など、何かどこかで引っかかり続けて、どれもうまくいきませんでした。そして、志望学部が合うT大学の指定校推薦に応募するに至ったのです。その推薦者決定の面接を、授業が終わった午後に行いました。

授業はオンラインなのに、指定校推薦の面接のためだけに学校まで出て来いというわけにもいかず、オンラインでの面接になりました。ZOOMに入ってきたSさんは、スーツ姿でした。人は見かけで判断してはいけないと言うものの、やっぱり印象はよくなっちゃいますよね。この指定校推薦にかける意気込みは感じられました。

T大学の志望理由など、お決まりの質問への回答は難なくこなしました。しかし、ちょっとひねった質問をすると、言葉が滑らかでなくなります。ただ、こちらの問いかけに真摯に答えようとしていることは十分に伝わってきました。コミュニケーションは取れていますが、やはり話す練習は必要です。この辺がオンライン授業の課題ですね。

結論として、SさんをT大学に推薦することにしました。夏ごろのSさんにとって、T大学は第1志望でも第2志望でもなかったに違いありません。しかし、今、Sさんは、T大学の中で、自分で道を切り開こうとしています。この気持ちさえあれば、今までに受験した大学に劣らぬ、Sさんの人生において価値のある学問ができることでしょう。

面接が終わった後、さえわたった青空を見上げながらお昼を食べに出かけました。

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資料を作り直しているんですが

2月7日(月)

養成講座の資料を作り直しています。先週末から「んです」に関わる部分に手を付けています。「んです」は、私たち日本人は無意識に使っていますから、日本語教師でもない限り、その存在には気づいていません。私のこの仕事を始める前までは、「んです」という言葉の区切りを全く知りませんでした。

しかし、日本人はこの「んです」を上手に使って、自分の心のひだを相手に伝えたり、相手の気持ちの微細な部分まで理解したりして、コミュニケーションを深めています。小学校に上がる前の子供ですら、「んです」を巧みに使っています。だからこそ、日本人は「んです」に意識を回すことができないのです。

これに対して外国人は、「んです」の機微を知りません。教わってもすぐに理解できる代物ではありません。また、自分が使うとなると、これほど難しいものもありません。使い方を間違えると、コミュニケーションが進むどころか、誤解を与えることにもなりかねません。私たちのような誤用に慣れている者でも、耳にした「んです」に一瞬カチンと来てしまうことが少なからずあるのですから。

正しく使えるようになるには習うより慣れろなのですが、学生にとってはこれが難問なのですね。N1の問題集に取りつかれているような学生は、いつまで経っても「んです」抜きの、不細工な話し方しかできません。逆に、日本人の友達がいるとか、アルバイト先で鍛えられているとかという学生は、漢字の読み書きは全然できないくせに、妙にこなれた話し方をするものです。

さて、ここまでに、かぎかっこでくくった「んです」以外の「んです」及びその活用形はいくつあったでしょう。意識して抑えたので、そんなに多くはありませんよ。

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空港折り返し

2月4日(金)

春の初日は、寒い1日でしたね。お昼は麺類で温まったのですが、店から学校までの数分間で、すっかり冷えてしまいました。この冬は、特に手先指先が冷えます。昨シーズンまでは、そういう場合でも首筋に手を当てたりお尻の下に手を挟んだりして温めましたが、最近はカップにお湯をくんできて、そのカップを手で包むようにして、指先の冷えを解消しています。かじかんで手指の自由が利かないほどではありませんが、冷たいまんまだとなんとなく不快なんですよね。

午後の職員室、M先生宛に電話が掛かってきました。Rさんからでした。九州の大学を受けに羽田空港まで行ったけれども、東京の近くのY大学に受かったことが今わかったので、九州行きを中止して帰宅するとのことでした。Rさんは北海道の大学にも合格していますが、今のところはY大学に進むつもりでしょう。Rさんの進路指導に当たった者として、素直に喜んでいます。これから、東京近郊のS大学とD大学も受験する予定ですが、4月からの行き先は確保できていますから、安心して存分に力を発揮してもらいたいものです。

でも、九州行きを捨てちゃうのはもったいないなあ。そう思うのは、私が旅行好きだからでしょうか。こういう時期ですから、できることなら遠距離の移動はしたくなかったのでしょう。また、S大学、D大学の受験を控えていますから、体力の消耗も避けたかったのかもしれません。私がRさんだったら、合格祝いの旅行に出ちゃったかな。

調べてみると、九州はさすがに東京よりは暖かいですが、思ったほどではありませんでした。マフラー、手袋、ヒートテックの装備じゃないと歩けないような気温です。早々にホテルに入って、洗面所のお湯で手を温めることになるでしょう。

Rさん、週末は東京で小さい春を味わってください。

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ひたひたと

2月3日(木)

学校に通っているお子さんをお持ちの先生方が、その学校が休校になったためお子さんの世話をしなければならず、KCPに出勤できなくなったという例が出てきました。その他、数日前に陽性判明者と一緒に食事したとか、濃厚接触者に濃厚接触したとか、家族が陽性になったけど自分はずっと陰性だとか、昨年の第5波までには見られなかったケースが出てきました。この第6波は新規感染数が桁違いに多く、今までのように安泰ではいられなくなったようです。

自宅からオンライン授業といっても、私のうちはそういう対応になっていません。そもそも、授業データが学校のコンピューターに格納されており、簡単にはアクセスできません。授業以外の仕事も、学生の個人情報や部外秘のデータなど、外に持ち出したくないものを扱うことが多いので、気安く在宅勤務というわけにはいきません。何より、私は家に仕事を持ち込みたくない人間ですからね。

今まで通り、人ごみは避ける、むやみにマスクを外さない、余計なものにさわらない、手洗い励行、体力温存など、予防を心がけるだけです。私の周りの先生方も、私とやり方は違いますが、各方面に注意を払って生活なさっている様子がうかがえます。みんな、変なものを拾わないように、必死なんですよね。

そんな中、明日から北京オリンピックです。去年の東京オリンピックも興味が持てませんでしたが、今回はそれに輪をかけて関心がありません。競技の中継でブラタモリがお休みになり、邪魔くさいなあと思う程度でしょうか。11月に始まるワールドカップは、心おきなく日本代表を応援できるといいですね。

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午前と午後の差

2月2日(水)

今学期は、水曜日は朝から夕方まで受験講座数学です。日本語の授業時間の関係上、午前中が中級の学生、午後からが上級の学生を、それぞれ対象にしています。

中級クラス、上級クラスとも、同じ教材を使っています。進度も変えていません。しかし、授業のペースが全然違います。中級クラスは話すスピードを落としたり、指示が通らないので同じ話を繰り返したりなど、遅れる要素が次々と出てきます。それに対して、上級はサクサク進みます。しかし、質問も多く出てくるし、それに合わせて応用的な話もしますから、結局、中級クラスと同じぐらいの進み具合になります。

数学は数式やグラフを追いかけていけば、ある程度は内容が理解できるはずです。中級クラスの受講生が上級クラスに比べて数学的センスが劣るとは思えません。それなのに授業のペースが違う、中級クラスは内容が深まらないとなると、日本語で教わることが学生たちのネックになっていると考えざるを得ません。

美大の先生が、絵を描く技術や素養があっても、日本語力がなかったら指導のしようがないので、日本語のできない学生は合格させないとおっしゃっていました。確かに、中級でも大学などに合格した学生は進学していきます。しかし、進学先でどれだけ有意義な勉強をしているでしょう。私の数学でも、進度は同じでも伝えている情報量には差があります。数学ですらこうなのですから、読解力や表現力などが要求される科目だったら、あっという間に置いていかれてしまうでしょう。

これは、教師の側こそが存分に理解していないと、学生をそういう方向に引っ張れません。学生に日本語「で」勉強させる経験が必要です。

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まだまだ先だけど

2月1日(火)

区のお知らせの中に、3回目のワクチン接種の案内がありました。私の年代は、2回目の接種から7カ月経過したら対象となるとのことですから、もう1か月少々待たなければなりません。そもそも、ワクチン接種のチケットがまだ来ていません。昨年夏の初めての接種の時はわりと簡単に予約が取れましたが、今回もそうあってほしいと願っています。

ただ気になるのは、2回目の接種後、半日間だるくなって何もできなかったことです。副反応の一種でしょうが、3日目の接種ではさらに強い症状が出るのでしょうか。今学期は時間割に余裕がありますから、接種日を選べば、たとえ翌日立ち上がれなくても、影響は最小限に抑え込めます。ワクチンを打ったから万全とは言えませんが、少しでもそれに近い状態に持って行きたいものです。

学生たちはどうなんでしょうね。今はオンライン授業ですから、生身の学生と顔を合わせることがほとんどありません。私に伝わってくるのは、超楽観的かお先真っ暗なくらい悲観的か、両極端の学生の噂です。2年前に感染が広まり始めたころから「正しく恐れる」ということが言われ続けていますが、学生たちにとってそれはなかなか難問のようです。学生たちは、生まれてから今まで規範を示してくれてきた両親をはじめ家族と離れて暮らしていますから、リスクを見極めきれないのではないでしょうか。

逆の見方をすると、この荒波を乗り切ったら、無事に感染が恒久的に下火になる日を迎えられたら、この経験が学生たちの大きな自信になるに違いありません。その日はまだだいぶ先のことでしょう。でも、その日に得られる果実を信じて、よい意味での緊張を続けていってほしいです。超楽観組のEさん、わかってるね。

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