Category Archives: 進学

明日は本番

6月19日(土)

明日はEJUの本番です。去年は6月分が中止となり、留学生入試が大混乱に陥りましたが、今年は、国内に関しては、会場の変更が若干ある程度です。また、大学側もEJUが中止になっても対応できるように募集要項を変更したところもあります。去年は突然のことでうろたえるばかりでしたが、今年は2年目になって、多少は余裕が出てきました。明日の東京地方はあまり天気が良くないようですが、受験に支障はありません。

こわいのは、学生自身の行動です、寝坊したとか電車を乗り間違えたとか違うキャンパスへ行ったとかケータイのアラームを鳴らしたとか昼食を忘れてどこでも食べられなくて午後は頭が回らなかったとか、KCPの先輩たちはありとあらゆる失敗をやらかしてきました。でも、去年は、EJUがなくなって留学の計画を狂わせられた学生がいましたから、今年のみなさんには、受けられるチャンスは確実にものにしておいてもらいたいです。

EJUが終わったら、来週の火曜日が期末テストで、その後学期休みに入ります。休み中もぼんやり過ごすのではなく、志望校についての研究を進めてもらいたいです。そういうイベントをいくつか学生に紹介しています。新学期に入ったら、私立の出願が始まります。今年は留学生の数が少なくなりましたが、各大学は合格者のレベルを落とすつもりはないと言っています。コミュニケーション力を重視するとも言っています。

そういう目で見ると、私の身の回りの学生は、頼りなさげな感じがします。学生数が減った分だけ、濃密に見ていかねばと思っています。

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発想が古い

6月11日(金)

大学にとっては留学生の新入生予備軍とも言える日本語学校の学生数が激減しているからでしょうか、このところ留学生向けの大学説明会の案内がよく届きます。外国人留学生は入国が差し止められていますから、いま日本にいて日本語学校に在籍している学生をめぐって、大学間で争奪戦が始まりそうな雰囲気です。

ということは、当方にとっては売り手市場であり、有利な条件で…などというさもしい考えは待ちたくありません。下駄をはかせてもらった状態で“いい大学”に入っても、それがその学生の幸せにつながるかと言ったら、必ずしもそうではありません。フロックで実力以上のところに合格し進学した学生がその後苦労し、退学にまで至った例も少なくありません。今週月曜日の進学フェア参加校の中でも、面接入試を中止したら日本語でコミュニケーションが取れない留学生が入学してきたという話を、複数校からお聞きしました。

大学などからの案内は、もちろん学生に伝えます。それは、多くの選択肢の中からより自分に適した進学先を見つけ出せというメッセージです。存在そのものが密である東京を離れて、安全安心な留学生活を送ったらどうかという意味も込めています。

レベル1の学生に「わたしのゆめ」という題で作文を書かせました。1/3ぐらいの学生が「いい大学に入りたい」という意味のことを書いていました。私のクラスの学生はみんな海外にいますから、情報不足なのかもしれませんが、存外頭が固いというか古いというか、学生たちの発想を変えていかなければならないと思いました。

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やはり話す力

6月7日(月)

進学フェアがありました。毎年このくらいの時期に実施していましたが、昨年はオンライン授業の真っ最中でしたから、時期を遅らせました。今年はEJU前に復活です。

去年、おととしに比べると学生数がだいぶ少ないですから、参加してくださった大学の担当者さんに寂しい思いをさせるのではないかと危惧していましたが、今、KCPに残っている学生たちは本気度が違いました。中級以上の授業が終わると、どの大学のブースも密を気にしなければならないほどの学生が集まりました。

去年は、オンラインで参加の大学には学生があまり寄り付かなかったのですが、今年はごく当たり前にzoomの画面をのぞき込み、どんどん質問をぶつけていました。学生側も、オンラインでの質疑応答にかなり慣れたということでしょう。大学のオンライン授業もこんな調子で、昨年よりも今年の方がこなれてきているのでしょうか。

参加校に事情を聞いてみると、21年度入試は読みが外れた大学さんが多かったようです。受験生が少なかったとか、合格者の歩留まりが悪かったとか、まさしく先の読めない戦いを強いられたようでした。今年は、日本語学校の学生が激減し、新規の入国がいつから認められるのか全く見当がつかない状況下ですから、更に混沌とした状況に陥りそうです。でも、入学者のレベルは落としたくないという意識も強いように感じました。大学側としては、コミュニケーションが取れない学生が入学しても、指導のしようがありません。

やはり、テストで点が取れるだけではなく、進学してから実のある勉強ができる日本語力を付けさせることこそ、私たちの本務だと再認識しました。

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今? もう?

5月21日(金)

初級のXさんが、A大学の英語プログラムを受けたいと言い出しました。Xさんは英語で高校の教育を受けてきましたから、大学の講義の英語ぐらい理解できる自信があるようです。でも、だったらどうしてわざわざ日本へ来ちゃったんですかということになります。本人が言うには、日本の文化にも触れたいからだということですが…。

いろいろと聞いていくと、Xさんの友達の影響でした。その人は、去年、T大学に入りました。しかし、入学以来ずっとオンライン授業で、そのオンライン授業がさっぱりわからないそうです。だから、T大学をやめて、A大学の英語プログラムに入り直すと言い始めました。それを聞いたXさんも、日本の大学への進学が心配になり、一緒にA大学へと考え始めたのです。

Xさんはまだ初級ですが、今が伸び盛りです。EJUも受けていない時点で、日本語で勉強するのをあきらめてしまうのは、明らかに早計です。A大学以外にも英語プログラムを設けている大学はありますが、勉強できることは限られています。Xさんの友達がどんな人か知りませんが、1人の友達の話だけで自分の可能性を狭めてしまうような選択は、するべきではありません。

もう1つ。T大学だって、このくらいの力があればウチの大学の授業についていけると踏んで、Xさんの友達を合格させたのでしょう。しかし、1年間のオンライン授業の結果がこれです。去年は教師の側がオンラインに不慣れだったということもあるでしょう。登校できない(させない)留学生へのサポート体制も整っていなかったのでしょう。学生も、行ったこともない大学への愛着はあまり深くないに違いありません。そんなことが複雑に絡み合って、Xさんの進路変更発言へとつながったのではないかと思います。

進路指導に新たな要素が加わりました。今までの“いい大学”が緊急事態下でも“いい大学”とは限りません。こちらもしぶとく材料を集めていかなければなりません。

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耳学問

5月12日(水)

「この紙のこことここに必要なことを書いて、担任の先生、K先生ですか? にハンコをもらって、また持って来てください。今日じゃなくてもいいです。明日でもあさってでもいいですよ」と、Tさんに説明して事績に戻りました。椅子に腰かけて目を上げると、私を呼んでいるTさんが目に入りました。再び受付カウンターまで行くと、「先生、これは今日じゃなければなりませんか」とTさん。「さっき言ったじゃないか!」という言葉を飲み込んで、「いいえ、明日でもいいですよ。あさってでもいいです」と答えました。最初に説明した時、中級のTさんに対して、誤解がないように、初級の前半並みにゆっくり話したんですけどね。

その直後、Tさんと同じレベルのSさんが、物理の問題について質問に来ました。まず、問題文の意味がつかめていないようでした。それを説明した後、解き方がわからなさそうでしたから、「これは浮力の問題です。浮力がどう働くか考えれば、答えがわかります」とヒントを出しました。しかし、Sさんはまだわからない顔を続けています。どうやら“フリョク”が何かわからないようでした。受験講座で説明していますから、文字や図で示せば絶対に通じるはずです。しかし、耳からの音声情報だけではわからないんですねえ。

この2人にとどまらず、ゆっくりしゃべっても易しい言葉を選んでも話が通じないという場面が増えたように感じます。中級でこの程度だと、先行き明るくないです。TさんもSさんも志望校は決まっていますが、これからグーンと伸びないと手が届きません。受験講座に出ているRさんもQさんも、真剣に勉強に取り組んではいますが、私の言葉が一発では捕まえられない場面がよくあります。早くも受験講座から脱落したPさんも、このせいだったかもしれません。不安が募ります。

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これから

4月27日(火)

午前中は、初級の進学コースの授業をしました。本来の担当のO先生が日本語教師養成講座の講義をするため、代講のお鉢が回ってきたという次第です。ここのメンバーは、ごく一部が先学期2、3回入ったクラスの学生だったというだけで、ほとんどが初顔合わせです。でも、この学生たちが今年度来年度のKCPの屋台骨を支えるのかと思うと、じっくり観察したくもなります。

観察した結果は、う~ん、まだまだですねえ。鍛えがいがある、伸びしろがあると言えばその通りですが、先が長いこともまた事実です。読解も聴解も、問題作成者がにんまりしてしまうような引っ掛かり方をしてくれます。素直な一本道の問題しか理解できないとなると、大学入試もそうですが、日本で社会生活が送れるのか心配になってきます。だって、簡単にだまされちゃうんですよ。

それが終わって一息ついていたら、Zさんが物理の問題を持って来ました。先週の受験講座で配った問題がわからないと言います。Zさんの志望校を考えると、こちらもこれからバリバリ鍛えていかねばなりません。

その受験講座、来日できずに国で受講している学生がいます。そういう学生にも力を付けさせるべく、あれこれ工夫しています。孤独な戦いにならないようにというのもその一つです。私の目の前で聞いている学生たちを紹介したり、常に気にかけているという姿勢を示したりしています。

受験講座のあとは、新入生への大学進学のガイダンス授業。今までの学生の失敗談を語っているような気がしてきました。でも、同じ失敗は繰り返してほしくないですから、熱を込めてしまいます。

感染者数が増え続けています。まさか、今年も中止などということにはならないでしょうね。

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年間計画

4月14日(水)

受験講座の教室に向かおうと職員室を出たところで、Cさんに呼び止められました。Cさんは理系の大学進学を目指し、先学期から受験講座を受けています。「私は6月のEJUの結果を使ってW大学を受けて、11月の結果で国立大学を受けるつもりです。共通テストも受けて、一般入試でも国立大学を受験しようと思っています」と、決意のほどを語ってくれました。

最近、留学生が一般入試を受けて日本の大学に進学する例が増えていると聞いていました。3月に卒業したJさんもそうでした。ただ、Jさんは共通テスト不要の方式を選んだようでしたから、切羽詰まったあげくの選択だったかもしれません。それに対し、Cさんは今から共通テストと言っていますから、Jさんよりずっと計画的です。国にいた時から共通テスト経由の進学を知り、それを目指して動いてきたのかもしれません。外国語を中国語にすればいい点が取れるとまで言っていました。

このように書くと、Cさんは受験の計画をすらすらと話したかのように見えるかもしれませんが、残念ながら日本語教師にしか理解できない日本語でした。発音はまだしも、語彙や文法はお寒い限りでした。面接官にCさんの思いが伝わるとは思えません。EJUで点数を稼いだところで、面接で落とされる可能性大です。そういうことも踏まえて、面接のない一般入試の道を探っているのではないかとも思いました。

もう一つ、実は、Cさんは「共通テスト」ではなく、「センター試験」と言っていました。センター試験から共通テストに変わって、試験の傾向がEJUから遠ざかりました。また、国語もCさんには大問題でしょう。それを今から9か月ぐらいの間になんとかできるのでしょうか。

今学期は、火水は新たに受験講座を受け始めが学生対象の授業です。この中にも共通テストを受ける学生がいるのだろうかと、初めて会う顔をしげしげと見てしまいました。

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証書

4月1日(木)

新年度を迎えましたが、まだまだ昨年度を引きずっています。午前中は進学データの抜け落ちを埋めていきました。午後一番には、3月の卒業生のTさんが来ました。

Tさんは卒業式当日が受験日だったので、証書がもらえませんでした。進学先が決まったことの報告と、KCPを離れる際の諸手続きを兼ねて、卒業証書を受け取りに来たのです。

Tさんとは、オンラインでばかり付き合っていました。同じクラスの学生の中には、オンラインとなるといい加減なことばかりしていた学生もいましたが、Tさんはそういう学生ではありませんでした。打てば響くような鋭さはありませんでしたが、階段を1段ずつ上ってきていることがわかる学生でした。

しかし、受験に関しては焦点が定まりませんでした。変な情報をつかまされては右へ左へぶれ続けていました。1本芯が通っていれば、去年のうちに進学が決まっていたはずです。それなのに「必ず受かる」とか言いながら無茶な受験をしては不合格を重ねました。あげくの果てに、ビザが出ない募集に応じようとし、担当教員総出で出願をあきらめさせたこともありました。

授業態度を見る限り、努力をいとうタイプだとは思えません。進学が無理なほどの日本語力でもありません。にもかかわらず、受験に関しては、逃げて回ったり真っ当な道を進もうとしなかったりしていました。結局、1年前に挙げた志望校とは似ても似つかぬ進学先になってしまいました。自分に自信が持てなかったのでしょうか。

JASSOの調査によると日本語学校生が激減しているとのことです。だから今年の留学生入試は楽になると考えて、危ない橋を渡ろうとする学生が現れるような気がします。そうすると、Tさん2世が生まれてしまうかもしれません。

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手を離れる

3月26日(金)

今学期の進学データを整理しています。これから合否発表という所もありますが、それによる変動は“修正”程度でしょう。誰がどこを受けて結果はどうだったか、EJU、JLPT、英語試験の成績は何の科目が何点だったか、そういったデータをまとめています。

入学時に比べて大きく伸びた学生もいれば、伸び悩んでしまった学生もいます。同じような成績なのに結果は明暗が分かれてしまった例もあります。このデータに、授業中の態度や入試の準備の進め具合など、その学生を担当した教職員からの情報を付け加えると、その学生がKCP在籍中にどのように歩んできたかが見えてきて、同時に、私たちの指導の良し悪しも浮かび上がってきます。

そんなことをしていたら、Cさんが進学先や入管に提出する書類を受け取りに来ました。Cさんは、卒業式当日が試験日だったので、卒業証書をもらっていません。ついでと言っては何ですが、それも受け取っていきました。

そのCさん、11時に来ると約束したのに、姿を現したのは11時45分でした。大幅に遅刻するという連絡は、ありませんでした。入学以来、こういうだらしなさがあり、改まることはありませんでした。何校受験しても、出願書類が出来上がるのは消印有効日の夕方でした。間に合わなかったこともありました。受験日に向けて試験準備をすることもなく、不合格を繰り返しました。

Cさんは、入学直後に受けたEJUですばらしい成績を挙げました。しかし、そこから全く進歩がありませんでした。希望の星が、いつの間にかお荷物になっていました。Cさんのクラスの教師が総がかりでどうにかこうにかつかんだ進学先です。精神的にも大人になっていくでしょうから、就活か院試の時には、持てる力を存分に発揮してもらいたいです。KCPの教職員は、もうお世話をすることができませんが…。

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信頼

3月25日(木)

職員室で打合せをしていたら、W大学から電話だと呼び出されました。話を聞くと、Kさんが受かったというお知らせでした。Kさんは私も入っているクラスの学生で、進路がまだ決定していませんでした。1週間後は4月だという段階に及んで、ようやくこのクラスの学生は全員進学先が決まりました。

それはよかったのですが、なぜこんなぎりぎりまで無所属状態だったのかというと、日本語力不足と情報に惑わされ続けたからです。日本語力不足も、だれかから日本の大学なんか簡単に入れると聞いて、それを信じ込み、勉強に身を入れなかった面が見逃せません。オンライン授業では、いつの間にか消えていることもよくありました。教師の目が届かないのをいいことに、怠惰な生活を送っていたようです。

進学に関しても、どこかから仕入れた素性の定かではない情報に基づいて動いては、失敗を繰り返していました。私たちもあれこれ指導を試みましたが、Kさんの心をこちらに向けることはできませんでした。

オンライン授業では学生とのつながりをいかに築き上げるかが大切だと言われていますが、それはほんとうに難事業です。最初からあさっての方を向いている学生に対して、どのように指導すればその心をとらえることができるでしょうか。正解もマニュアルもありません。過去のある学生に有効だった方法が、今目の前にいる学生にも効果を示す保証などありません。まさにケースバイケースで対処法を編み出していくほかありません。

残念ながら、Kさんとはそういう関係になれませんでした。今、在籍している学生から“Kさん”を出さないように、気を引き締めていかなければなりません。

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