Category Archives: 自分自身

地元の病院?

7月3日(木)

午前中、眼科へ行きました。その眼科は、大学病院ほどではありませんが、総合病院の中にあります。その病院で受けた定期健康診断の眼底検査で引っ掛かって以来、もう10年以上にわたって、学期休みごとに定期的に診てもらっています。

診てもらった結果、目の方は異常なしでしたが、先生から、家の近くの眼科で見てもらったらどうかと言われました。症状が安定していますから、クリニックで経過観察を続けていくことで十分だというのが1つの理由です。もう1つの理由は、その病院がどうやら人手不足のようなのです。そんな意味のことを、先生がチラッと口になさいました。

病院にとって、私のような慢性病の経過観察だけの患者は、決していいお客ではありません。診療報酬は国によってがっちり決められていますから、もうけにはつながりません。昨今の人件費をはじめとする諸経費の高騰を賄うにはあまりに貧弱でしょう。だから、そういう患者の代わりに検査や治療をバンバンする患者を取り込んだほうが、病院の経営には好ましいです。

朝、病院へ向かう時にはまっさらだったポスター掲示板に、学校へ戻るときには数枚のポスターが張られていました。参議院議員選挙が始まりました。上述の問題も、医療費を高くすれば解決するというほど簡単な話ではありません。減税を訴える党もありますが、トランプさん対応や福祉や国土の脆弱化(八潮陥没事故がその典型)など、日本を取り巻く環境はさらにお金がかかる方に動きそうです。

20日まで、じっくり考えさせてもらうことにしましょう。

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朝の小旅行Ⅱ

7月2日(水)

1か月ほど前に、地下鉄の運転見合わせにぶち当たって、銀座から新宿まで小旅行をした話をこの稿に書きました。今朝は、運転見合わせとかではなく、いつもと違う経路で出勤しました。

いつもは最寄駅から地下鉄を乗り継いで新宿御苑前駅まで来るのですが、今朝はメトロの向かいにあるJR駅から電車に乗り、新宿まで来ました。

私が乗るんですから、朝の一番電車です。常磐線は1両に数名もいないくらいガラガラでしたが、日暮里からの山手線は座席がサラッと埋まる程度のお客さんがいました。田端で立つ人が出て、池袋から高田馬場までは反対側の窓が見えないほどの混雑でした。新宿では、私も含めた降りたのと同じくらいの客が乗ったのではないでしょうか。

新宿は、南口に出ました。地下鉄への乗り換えには遠回りになりますが、乗り換え時間が10分もあったので、めったに行かない街の様子も見てきました。5:20をちょっと回ったくらいの新宿駅南口は、すでに寂しくない程度の人が行き交い、車も、渋滞こそしていませんでしたが、両方向けっこうな台数が走っていました。バスタには夜行バスが到着し始めているころだったのでしょう。

メトロの駅まで地上を歩きました。朝から雨という予報が出ていたのに、薄日が差していましたから、夜の疲れがにじみ出ているはずの街が明るく見えました。どこかの店員さんが、ゴミを出していました。

御苑の駅には、いつもの電車より7分早く着きました。いつもファミマの前あたりですれ違う人とも出会わず、そのまま学校へ。

7分早い1日が始まりました。

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こちらは梅雨空

6月25日(水)

昨日に引き続き、新入生のインタビュー。アメリカにいる学生が相手でしたから、朝6:30から始めました。私は6:30なら毎日もう仕事を始めている時間ですから、自分の席でzoomの画面に向かいました。

「おはようございます」とあいさつすると、画面の学生も「おはようございます」とあいさつを返してくれます。「でも、そちらは“こんばんは”ですね」と続けると、「はい、そうです。こんばんは」と打ち解けてくれます。KCPでのレベルを決める面接だとなると新入生たちは緊張するものですから、リラックスしてもらうためになにがしかの仕掛けをします。数時間以上の時差があるがくせいなら、この挨拶作戦が簡単にできて効果的です。

時差があるとか季節が違うとかとなると、日本という遠い国まで行くんだと実感できるのかもしれません。それを留学に対する不安ではなく期待に持って行くのも、このインタビューの隠れた目的だと思っています。「東京は雨が降って蒸し暑いですよ」などという、どちらかというとネガティブな情報も、乾燥した地域に住んでいる学生にとっては好奇心を掻き立てられる話題です。

食事もそんな話題の1つですね。「食事はどうしようと思っていますか」と聞くと、「私は料理が下手ですからレストランで食べます」「簡単な料理なら作れます」「今も毎日自分で作っていますから、心配していません」などなど、多種多様な答えが返ってきますから、それを起点に突っ込んでいきます。興味も沸きますが、こんなやり取りを通して新入生の日本語力を測っているのです。6:30の学生は、日本のいろいろなファストフードを食べてみたいという、今まで聞いたことのないユニークな答えをしてくれました。

Zoomで知り合った学生に生で会うのは、来週の入学式。今から楽しみです。

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早朝散歩

6月5日(木)

久しぶりに、家から上野まで歩きました。

昨夜、私が家にたどり着いた後に雨が降ったらしく、地面が濡れていました。3:40、東の空がほのかに明るくなり始めてもいいころなのですが、見上げた空は雲が重なっているようでした。半袖の腕が少しひんやりしましたが、これから小一時間歩き続けますから、鞄に突っ込んでおいたカーディガンは羽織りませんでした。

上野駅の銀座線1番電車の時刻まで余裕がありましたから、上野公園経由で行くことにしました。とはいえ、鶯谷駅の前を通って上野公園のすぐそばまでは、住宅地とも商業地ともつかない、幹線道路沿いを歩きます。車の往来は激しいですが、歩道を進むのはほぼ私一人で、たまに自転車とすれ違う程度でした。

歩いている最中に無の境地にでも浸っていれば精神修養にもなるのでしょう。いや、せめて問題学生にどう対処すべきかなど、目の前の課題について考えれば仕事の役に立つというものです。しかし、夏休みはどうしようとか、さらに先の年末年始の休みはどこへ行こうかなど、そういったことからほど遠い思案ばかりしていました。

上野公園に着くころには、夜の帳はすっかり上がって、朝の空気が満ち満ちていました。1番電車までまだ時間がありましたから腰を下ろして本でも読もうかと思いましたが、どこもかしこも濡れているか湿っているかで、適地がなかなか見つかりませんでした。植物や鳥類、昆虫などに詳しかったら公園内を散策してあれこれ観察するところでしょうが、あいにく私はそういう方面に疎いので、どうにか見つけた乾いた石段に腰掛けました。風が弱く、もちろん蒸し暑くもなく、さわやかな空気を吸いながらページを繰りました。

御苑の駅には、いつもの電車より1本早い電車で着きました。以降はいつもの通り。でも、朝の散歩のご利益か、午後のクラスの学生からバラの花を一凛もらいました。

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見学

6月2日(月)

私が月曜日に受け持っているレベル1のクラスには、今週、養成講座の実習生が入ります。最終日の6日(金)に教壇実習を行うことになっています。初日は見学なのですが、私の授業では見物にこそなれ、見学にはなりません。しかも、進度の都合上、教師主導で進める授業でしたから、学生から発話を引き出すという理想の形からは程遠い授業となってしまいました。しかし、今ここで進度を稼いでおかないと、教壇実習が予定通りにできないという、ジレンマみたいなものにも陥っています。

案の定、学生たちは後半になると疲れてきて、集中力が落ちてしまいました。スマホをいじったりコーラスに参加しなくなったり、悪い授業の見本みたいな様相を示してきました。こんなことなら、授業の最初が定位置の漢字を、授業の中ほどに持って来て気分転換を図るという手もあったかなと思いましたが、もはや手遅れでした。

そんなさんざんな授業でしたが、実習生のTさんにとっては驚きの連続だったようです。私たちが何気なくやっていることでも、外の人から見ると想像を絶する展開に映ることはよくあります。そういう展開が実習生や見学者の勉強になるかどうかは別として、今まで座学で学んできたことを教室で応用するとこうなるのかと感じているのではないでしょうか。

Tさんは休み時間にクラスの学生に声をかけて、コミュニケーションを取っていました。学生たちの日本語力を肌で知ることは、Tさんにとっては予定戦場を確認する意味もあります。ここは丘になっているとか窪地だとか、川が流れているとか地盤が固いとか、しっかり見て回って、勝利を手にしてもらいたいです。私のような姑息な戦法ではなく、堂々と正攻法で。

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朝の小旅行

5月28日(水)

朝、銀座駅で丸ノ内線に乗り替えようとしたら、丸ノ内線が止まっているというアナウンスが入りました。丸ノ内線のホームには、電車から降ろされたお客さんが立っていました。運転再開見込は1時間ごとのことでしたから、振り替え輸送を利用して、JRで新宿まで行くことにしました。

銀座駅から有楽町駅までは知れたものですから歩いて行き、山手線で東京駅へ。中央線に乗り換えるだけなら神田駅の方がはるかに楽ですが、中央線の高い線路から都心を見下ろしたいという気持ちが勝り、わざわざ東京駅の中央線ホームまで上り詰めました。ほんのわずかな距離ですが、山手線とは視点の高さが違い、気持ちがよかったです。

私は通勤に地下鉄を使っていますから、中央線に乗るなんてめったにありません。お堀端を走り抜けるのも久しぶりだし、今年の1月に入院した慶應病院を見上げて喜んでみたり、新宿駅に着く直前に見えるビルの看板が東急ハンズからHANDSに変わっていてへーぇと思ったりしているうちに新宿駅着。ほとんど観光客気分でした。

これも、私の通勤時間がラッシュのはるか前だからこそ味わえる非日常なのであり、8時頃だったら物見遊山どころかメトロに怒り爆発だったでしょう。

新宿駅からは、朝の新宿通りを歩いて学校へ。いつもに比べて30分の遅刻でした。ついてほどなく、いつも6:25ごろに現れるKさんが来ました。Kさんが来ることを考えると、銀座駅で1時間運転再開を待ち続けるわけにはいかなかったのです。「丸ノ内線、止まっちゃってて大変だったでしょう」と声をかけると、怪訝な顔をしていました。Kさんは、副都心線の新宿三丁目駅から歩いて来るそうです。

丸ノ内線は、学生や教職員の登校出勤時間帯には、平常運転に戻っていました。丸ノ内線が遅れているなどという話は、どこからも聞こえてきませんでした。

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診てもらいました、見せてもらいました

5月23日(金)

ここ10日ほど、咳と鼻が出続け、収まる気配も見えません。最近のどが渇くのですが、水分が鼻水として出て行ってしまうからだろうかと疑いたくなるくらいです。咳をし過ぎたせいでしょうか、きのうあたりから右胸の筋肉が痛いです。変な態勢でせき込んだのに気づいていなかったんだと思います。そんなわけで、午後、近くの耳鼻咽喉科へ見てもらいに行きました。

予約制ではないところでしたが、15分待ちぐらいで順番が回ってきました。症状を聞き、「じゃ、口を開けて。左の方を向いてください」と、医者は口の中が映し出されるモニターを見るように指示を出します。「のどは赤くなっていませんね」と言いましたが、確かにその通り。赤くただれているのではないかと思っていましたが、拍子抜けでした。続いて鼻の中にカメラを突っ込むと、鼻水が絡まった鼻毛の束が大写しにされました。こちらも取り立てた異状はありませんでした。こういった患者自身が自分の身体を直接確認できるような医療器具が広く普及しているようです。たまに町の医者に行くと、勉強になるものです。結局、単なる風邪という診断でした。

処方箋をもらって薬局へ。医者の話によると、最近は風邪が流行っているので、病院に一番近い薬局では咳止めの薬がなくなってしまったとか。学校の近くで探すことにしました。

しばらく前のこの稿に書きましたが、病院からの処方箋調剤の場合、その薬局にない薬が1種類でもあったら、他のすべての薬も出してもらえません。ですから、事前に処方箋調剤薬局の位置を調べ、1軒目に入りました。すると、白衣の薬剤師さんが「1日3回、毎食後、2錠ずつ飲んでください」とスマホに向かって話していました。その向かい側には背の高い外国人のお客さん(患者さん)。用法を翻訳アプリに吹き込んでいたのです。スマホの画面を確かめたお客さん、満足気に「ありがとう」と言って店を出て行きました。

薬が出てくるまで時間がかかりましたから少し心配になりましたが、処方箋の薬は無事全種類そろいました。驚いたのはその値段です。1日当たり90円。ジェネリックにしてもらったからということもあるでしょうが、申し訳ないほどの安さです。この1週間分で、何とか治さなくちゃ。

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新重文

5月17日(土)

太陽の塔が国の重要文化財に指定されるそうですね。言わずと知れた大阪万博のシンボルです。私より年若の重文は、おそらく代々木競技場に次いで2件目でしょう。

代々木競技場は、確かに私より若いですが、できたのは私が物心つく前です。丹下健三氏渾身のデザインであるあの大屋根を見て大泣きしていたと、母や伯母からよく言われたものです。

太陽の塔は、はっきりと記憶があります。1970年の大阪万博は見に行きましたから。父のお盆休みに合わせて行ったので、私たちが入場した日は、入場者数の最高記録を更新した日となりました。その後さらに更新されましたから、万博期間中最高とはなりませんでしたが、ベスト(モースト?)10には入っていると思います。ろいうわけで、とんでもなく混んでいる日に行ったので、太陽の塔は見ただけで入れませんでした。でも、太陽の塔の圧倒的存在感は、幼心に強烈に刷り込まれました。

その後、だいぶたってから、というか、わりと最近、万博記念公園内にある国立民族学博物館を見学しに行ったとき、太陽の塔の根元を通りました。ちょうど私が万博を見に行ったぐらいの年頃の子どもが、学校の遠足か何かで来ていました。太陽の塔に近づくことすらできなかったあの大混雑を思い出しました。

太陽の塔の重文と同時に、琵琶湖疏水も国宝に指定されます。こちらも、一番年若かどうかはわかりませんが、国宝としては新しい建造物でしょう。こちらも、浜大津の取水口から南禅寺のちょっと先まで、疏水に沿って歩いたことがあります。

私が生きているうちに、私より年若の国宝が生まれるでしょうか…。

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できました

5月14日(水)

昨日に引き続き、最上級クラスの中間テストの読解問題作りに励みました。というか、今晩帰宅するまでに仕上げておかないと、テストの時間は確保してあるものの、テスト問題がないという前代未聞の事態になってしまいます。そうならないように、朝からコーヒーを飲んで目を覚まし、気合を入れて取り組みました。

今学期使っている読解テキストは初めて使う教材です。難解な文章が連なっており、教師も油断できません。学生にその文章を味わってもらおうとなると、留学生向け上級読解テキストを扱う時の数倍の力で立ち向かわなければなりません。試験問題を作ろうと読み直してみると、その数倍の力をもってしても読み落としていた部分がいくつも見えてきました。こんないい加減な授業をしてきた教師が試験問題を作るなど、おこがましいにも程があるとさえ思えてきました。同時に、この新発見を基に、もう一度授業をしたくなりました。でも、そんなことをされた学生は、いい迷惑でしょうね。

学生たちはどうなのでしょう。試験を明日に控えて教科書を読み返してみて、新たな発見をしているのでしょうか。そんなことができた学生がいたら、ぜひ、議論してみたいですね。そうやって、人生や社会や世の中を見つめる新たな眼が養われたのなら、読解の授業をやった甲斐があるというものです。

問題はどうにか作り上げました。授業で議論した内容を問題にし、合格点ぐらいは取れるようにしました。また、学生間の実力差が現れそうな問題も潜ませました。あとは印刷するだけです。

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難しくても

5月9日(金)

今学期の最上級クラスの読解では、日本人の高校生の教材を読んでいます。そのまま読ませると難解すぎて内容が取れないでしょうから、補助教材を用意します。今回は上野千鶴子さんの文章ですから、上野さんの人となりを紹介した後、上野さんが2019年に東大の入学式で祝辞を述べている映像を見せました。当時、その内容がとても話題になった祝辞です。

15分近い映像でしたから、最後までついてきてくれるだろうかと心配しましたが、ごく一部の学生を除いて、興味深げに耳を傾けていました。字幕にも助けられたと思いますが、よくついてきてくれたと思います。ジェンダーによる差を、データに基づいて示し、それが不当であると訴えていましたが、学生たちにはそういう論の進め方が新鮮だったようです。

こうやって、上野千鶴子さんの発想、考え方を大づかみしたうえで、読解テキストに入りました。今回は学生たちに内容を解釈してもらおうと思い、読むポイントをまとめたシートを配り、グループで考えてもらいました。「三人寄れば文殊の知恵」と板書しましたが、これを知っている学生はいませんでした。文殊は知恵の神様だと言ったCさんは、神様ではありませんが、よく知ってるねと褒めてあげました。

小グループになると話しやすいようで、教室のあちこちから議論が聞こえてきました。しばらくしてから話し合いの内容を聞きましたが、まあ、順当なところでした。上野さんの考えも、おおむね理解できたようで、安心しました。来週の授業が、この読解の山場です。脱落者を出さないようにしなければ‥。

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