Category Archives: 学生

ついに

5月13日(水)

結局、6月のEJUは中止になりました。6月に行われる予定だったいろいろなイベントの中止は先月中に発せられたものが多く、まだ何の発表もないということは、EJUはこのまま突っ走るのかと思っていました。でも、力尽きたようです。

中止ももっともだよね。EJUの試験会場となる大学がキャンパスを閉鎖して学生を入れていないんですから、EJUの受験生だけ例外なんてわけがありません。だったら、もっと早く中止って連絡してくれよって言いたいです。出願締切が3月13日でしたから、4月に中止宣言というのは、しづらかったのかもしれません。でも、やっぱり、留学生って軽く見られてるのかな。

6月のEJUが中止になると、W大学やA大学のような出願や入試が早い大学は、選抜方法の変更を迫られます。去年の11月のEJUを受けていない志願者が多数いるはずです。そういう留学生にはどう対応するのでしょう。独自試験とするのか、面接を強化するのか、志望理由書などの書類審査の比重を増すのか、何かどうにかするのでしょう。これからは各大学の入試サイトを毎日確かめるくらいの気持ちでいないといけません。

学生たちには、うろたえるなと言いたいです。出所が不確かな情報に右往左往していたら、結局損をするのは自分自身です。こういう異常時にはデマがつきものです。信ずべき話なのか、信ずべからざる噂なのか、それを見極める判断力が求められます。「みんなが」とか「あなただけに」とか、そういう言葉に惑わされてはいけません。これは私たち学生を指導していく身にも共通です。情報に接したらその真偽を速やか判定し、伝えるべき人に確実に伝えることが、私たちに課せられた任務です。

EJU中止は、学生たち私たちにとっての緊急事態宣言です。

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会いたいですね

5月12日(火)

今学期入学予定だったのにまだ入国できていない学生から、EJUの対策を聞かれました。受験地を日本にしているとすると、受験日までに入国して2週間程度の隔離期間を済ませられるかどうか微妙な状況ですが、それには触れずにどんな勉強をすればいいかについてだけ答えました。

日本語でネックになりそうなのは、読解よりも聴解・聴読解でしょう。日本にいないと、努めて求めないかぎり、日本語の音声を耳にする機会が非常に少なくなります。ですから、インターネットを利用して日本語の音に触れることを勧めました。聞くんだったら、ドラマよりもニュースでしょうね。規範的な日本語に耳を鳴らしておいた方が、EJUにおいては点が取りやすいのではないでしょうか。

日本語以外の科目は、これはという問題集や参考書がありません。出版されていないわけではありません。しかし問題の出し方が違っていたり、そもそも問題として成り立っていなかったり、答えの解説が不親切だったり、そもそも答えが間違っていたりなどという例が散見されます。レベル的にはセンター試験が近いのですが、やはり作問傾向が違いますから、自信を持ってお勧めとはいきません。国の親元にいるのなら、高校時代の教科書で基礎部分をがっちり復習しておくのが、結局は一番力がつく勉強になると思います。

以上のようなことを考えると、過去問がいちばんいいという結論になります。でも、過去問はすでに手を付けたからこういう質問が来たとも考えられます。その場合でも、同じ問題を繰り返し解くことを勧めます。間違えた問題の答えを見てわかった気になるのではなく、間違えなくなるまで解くことで力がつくのです。でも、これは地味でつまらない勉強法ですから、みんなやろうとしません。新しい問題、難しい問題に挑戦したがります。

まだ見ぬ学生たちは、私の回答にどんな反応を示すでしょうか。そして、しっかり勉強してくれるでしょうか。

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厳しく見つめる

5月11日(月)

Tさんは、受験講座理科でやっている模擬テストで毎回満点に近い成績を挙げています。国で理科の基礎をきちんと身に付けてきたのだと思います。また、理科に対するセンスもかなりのものだと思います。EJU日本語の模試でも高得点を取っていますから、本番で大いに期待が持てます。

NさんもGさんも、理系的な勘が働くようで、そういう意味では期待が持てます。でも、みんな私の目の前で問題を解いているのではありません。計算問題でこっそり電卓を使っていたとしても、私にはわかりません。先学期の受験講座で私が配ったプリントなど、参考資料を見ながらというのもありえますが、わりと早く解答用紙を提出してくることからすると、その可能性は低いと思います。

そうはいっても、あまり期待を持ち過ぎないようにしています。今まで、期待をかけた学生に何回裏切られたことでしょうか。本番独特の雰囲気にのまれてしまうこともあるのでしょう。でも、一番危険なのは詰めの甘さです。最後まで答えを出すことなく、「ここまでやればあとは単純な計算だからもういいや」と思ってしまったり、「単なるケアレスミスだから本当は〇だよ」と安易に考えてしまったりすると、本番で痛い目に遭いかねません。

3人とも、早々と提出するのですが、どこかで何か落とすことがたまに見られます。知識とかテクニックとかなら十二分に持ち合わせていますが、それを正確に発揮し、正しい答えにたどり着き、得点に結びつけるところで抜かりがあると、残念な結果になってしまいます。そういう指導が、思い通りにできないもどかしさが、遠隔授業にはあります。

全国的に新規感染数が減りつつありますから、日本国内ではEJUは実施されるでしょう。最後の2、3回かもしれませんが、通常授業に戻ったらそんなところを厳しく注意していくつもりです。

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やさしい日本語

5月7日(木)

電話が鳴りました。「はい、KCPです」。Sさんが電話を取りました。どうやら、授業料の支払いとビザの更新に関する問い合わせのようです。去年の4月に入学した学生は、だいたいビザの期限が6月末か7月初めです。この学生も、おそらくそうなのでしょう。

「授業料を払ってもらった時にビザの更新の手続きもしますから…」と説明しています。あれ、それで通じるんだろうかと心配になりました。

このセリフの場合、“授業料を払ってもらった”の主体は、KCPです。でも、学生にとって“授業料を払ってもらった”といったら、“私が親に授業料を払ってもらった時”という文が、まず頭に浮かぶのではないでしょうか。後半部分は、主体があなた(=学生)でもKCPでも大勢に影響はありません。

この学生が今どのレベルかわかりませんが、去年の4月にレベル1で入学して、今学期中級レベルだったら、すんなり理解できたでしょうか。いや、「授業料」「払った」「ビザ」「します」しか聞き取れず、そのおかげで授業料支払い時にビザ更新手続きもすると受け取れたかもしれません。

「やさしい日本語」が少しずつ広がってきています。日本人が、日本で暮らす外国人が理解できる日本語を使って、情報伝達などを進めようという動きです。阪神淡路大震災の時に、外国人が情報を得られず困難な状況に陥ったという反省から始まっています。外国人が大勢暮らす自治体を中心に、活用が進められています。

この「やさしい日本語」の精神で上記のセリフを言うとすると、どうなるでしょう。考えてみてください。Sさんに悪気はなかったとはいえ、ちょっと勉強してもらわなきゃね。

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教室を使わせてください

4月30日(木)

KCPはオンライン授業を続けていますが、TOEFLも受験者を会場に集めて試験を行う方式をやめて、受験生の自宅で受験ができうるようにしています。しかし、どんな場所でも受験できるのではなく、受験環境にある一定の基準を設けています。そりゃそうですよね。カンニングし放題だったら試験の意味がありませんから。

お昼過ぎ、CさんがTOEFLを受けに学校へ来ました。Cさんも自宅で受験しようとしたのですが、TOEFLの基準を満たしていないため、学校の教室を借りて受験することにしたのです。誰もいない学校の教室なら、TOEFLから文句を言われず(まあ、なんたって試験を受けさせるのが学校の仕事ですからね)、それにwifiも使えます。また、学校はGさんのうちから歩いて数分ですから、こういうご時世でも許してもらえそうな範囲であり、しかも使い慣れた場所ですから余計なプレッシャーもかかりません。だから、受験に絶好の場所なのです。実は、上述のTOEFLの話は、Cさんから聞いたものでした。

どんなふうに試験を受けるのか見てみたい気もしましたが、それじゃあCさんはたまったもんじゃありませんから、設定にだけ付き合って職員室に引き上げました。きっと遺憾なく力を発揮してくれたことでしょう。

EJUは、先ほどサイトを確認しましたが、予定通り6月21日に実施すると言っています。6月のEJUは、おそらく日本でいちばん早い大学入試でしょう。諸々の事情で6月の第3日曜日となっているのでしょうが、今年はそれが非常な重荷になっています。近日中に発表される緊急事態宣言の今後によっては、9月入学への動きも含めて、留学生と私たちに多大な影響を及ぼすかもしれません。

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不安を乗り越えて

4月27日(月)

今月の最初から続いていた日本語教師養成講座の講義が、とりあえず終わりました。オンラインで養成講座の授業をするのは初めてでしたから、やりにくさは最後まで拭えませんでした。

顔は一応見えているのですが、細かい表情を読み取ることは難しく、私の話がどこまで伝わったか、びくびくしながらの授業が最後まで続きました。受講生のみなさんは優秀なようで、こちらからの問いかけにはおおむね的確に答えてくれました。ですから、そこそこ理解が進んでいるのだろうと勝手に想像しています。

でも、ミュートが原則ですから、受講生のつぶやきが聞こえません。教室でやっていた時はそういう独り言を拾ったり受講生同士の会話を聞き取ったりして、理解の進み具合を測ってきました。今回はそれができなかったのがつらかったです。自分の授業が上滑りしているのではないかと、どこか不安を抱えながらの授業でした。

そういう引っ掛かりというかつまずきというか、うまく進まない要素が見えませんから、放っておくと教室での授業よりテンポよく進んでしまいます。それゆえ、意識して以前の内容に触れて、復習のきっかけを作りました。授業内容が相互に絡み合っているということが受講生に伝われば、教室での授業より効果が上がるかもしれません。

私の養成講座の授業はしばらくお休みですが、6月にまた何回かあり、7月は後半の授業も始まります。そのころまでオンライン授業が続いているかどうかわかりませんが、それに向けての対応は抜かりなく考えておかなければなりません。

受講生のみなさんは、明日、オンラインの会話の授業に加わります。実際に日本語学校の学生と話すのは、これが初めてではないでしょうか。うまくコミュニケーションができるだろうかと、なんだか緊張しているみたいでしたから、「わからない、伝わらないという経験も、学生にとっては大事な経験です」と、励ましました。

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陰の苦労

4月17日(金)

来週から受験講座をオンラインで始めますから、その準備をしました。先学期末に、学生に何を受講するかコンピューター経由で登録してもらい、そのデータをもとに受講生のクラスを作りました。すべてコンピューターの中の操作なので、データを右から左へ移すだけで済むかと思ったら、大間違いでした。

学籍番号を間違えて入力した学生が数名いました。コンピューター内では学籍番号で学生を管理していますから、これを間違えられると致命的です。別人が受講することになったり、その学籍番号の学生が在籍していなかったら受講生が宙に浮いてしまったりします。また、受講科目が違うんじゃないかという学生も何名かいました。美術大学への進学希望のはずなのに、物理と化学を選んでいる学生もいました。

受講登録は学生の手入力ですから、そこに間違いが発生する余地が生じます。それはしかたがないことではありますが、学籍番号を間違えるというのはどうなのでしょう。いや、そもそも、KCPの学生は、学籍番号をあんまり覚えていない傾向があります。「学籍番号は?」と聞くと、かばんの中から財布を探し出し、そこから学生証を引っ張り出し、それを見ながら答えるというパターンが少なくありません。たかだか数個の数字とアルファベットです。学生の若い頭脳をもってすれば一瞬のうちに記憶できるはずです。

学籍番号は、アバターといったら言い過ぎかもしれませんが、在学中は何より大事なコード番号です。それにもかかわらずきちんと覚えないというのは、私に言わせれば、怠慢そのものです。その怠慢によって、年寄りの私が老眼を駆使して間違いを見つけ出し、修正するという、本来する必要のない作業に追われたのです。

来週になったら、学籍番号を間違えた学生も、陰にそんな苦労があったことなど全く気付かずに、家で受験講座を受けるんでしょうね。

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こんにちは???

4月15日(水)

道で知り合いに会うと、軽く会釈し、笑顔を見せるものです。挨拶の言葉を交わすこともあるでしょう。私は、立ち話はめったにしませんが、「こんにちは」とか「ご無沙汰してます」とか、出会った人に合わせて声をかけることはあります。

お昼から戻ってくるときに、オンライン授業が始まる直前まで校内のお掃除に来てくださっていたHさんが向こうから歩いてきました。「こんにちは」といいながら頭を下げ、にっこり笑ったつもりなのですが、Hさんはどこか怪訝そうな表情でした。そうです。マスクをしていたのをすっかり忘れていました。口元に笑みを浮かべても、まったく無意味なのです。目だけ笑っていて、不気味だったのかもしれません。

確かに、どこかで鼻から下が隠れていて目だけ細めてこっちを見ている人に出くわしたら、ちょっと警戒しちゃうかもしれません。マスクに隠れている部分を補い、知人だとわかって初めて、安心して微笑み返すことでしょう、マスクの下で。

昨日までは養成の講義や受験講座でしたが、私にも今学期の日本語の授業が回ってきました。オンライン授業のいいところは、学生がみんなマスクを外して顔を見せてくれることです。画面に出てくる各学生の映像は小さなものですが、教室で顔の3分の2ぐらいが隠れている学生を見るより安心感があります。ことに、今学期は知っている学生が大部分卒業していったため、クラスの大部分が知らない学生です。その時、マスクのない顔というのは、多少なりとも個性が現れて、私にとってはやりやすいです。

今学期中に、この学生たちと生身で顔を合わせる日が来るのでしょうか。都内で127人の新規感染者と報じられています。

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新しい勉強

4月9日(木)

オンラインの受験校を続けていますが、学生の反応が見えないのが心細いです。対面授業だと、顔つきとかノートの取り方とか練習問題の解き具合など多面的に学生を観察して、どの程度わかっているか判断できます。これがオンラインになると、パソコンの画面上に出たわずかな顔しか情報がありませんから、自分の授業の手ごたえがつかみにくいのです。どこがわからないのか、何につまずいているのか、そういうのを知る手掛かりが乏しい感じがします。

受験講座の場合、最終目標がEJUでいかに高得点を取るかですから、練習問題の出来具合が気になります。単に答えが合っていればそれでいいというものではなく、解いている最中の学生の様子も理解度を測るヒントになります。また、答えの解説の時にどこでいちばん真剣になったかなんていうのも見逃しません。もちろん、学生の表情を見て解説にメリハリをつけます。それから、お節介を焼きにくいですね、面と向かっていないと。余計なお世話かもしれないけど、君はきっとここが理解できていないんだろうからここを復習しましょうっていうのが、私の授業の進め方です。そういうのが非常にしにくいのが、オンラインの限界のような気がします。

そうじゃなくて、私の発想が旧態依然としているから、このように感じるのでしょうね。どうにかこの壁を打ち破らないと、学生たちに質の高いオンライン授業が提供できそうにありません。授業への取り組みをガラッと変えて、オンラインならではの進め方を模索する必要があります。

いい勉強のきっかけになったと思うべきなのでしょうが、こういう形で勉強するのはしんどいです。

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街の様子と学生の心配事

4月8日(水)

安倍さんと小池さんには申し訳なかったのですが、午前中は健康診断で病院へ行きました。以前から予約してあったので行ってきた次第です。せめてもの罪滅ぼしとして、電車には乗らず片道30分ほどかけて往復しました。人通りがあまり多くない道を選んだつもりですが、それでも人影が途絶えることはありませんでした。東京の街自体が3密ですから、いくらか自粛したところで人通りがなくなることなどないのでしょう。

安倍さんは人との接触を8割減らしたいと言っています。また、ある学者の説によると、東京は98%減らさないと感染者は増え続けるとのことです。しかし、私が見た街の様子は、確かに人通りは減ってはいますが、8割とか98%とかには程遠かったです。あごマスクで歩きたばこという、危機感のかけらも感じられないオヤジもいました。その一方で、5月6日まで臨時休業という店も結構見かけました。伊勢丹もそうだと言いますから、考えているところは考えているのでしょう。

午後は、受験講座をしました。2月末にオンライン授業に移ってからずっと休講状態でしたが、その補講という形で再開しました。学生たちの心配事は、EJUが予定通り実施されるかどうかで、早速質問されました。EJUのサイトには予定通り実施と書かれていますから、そう答えるほかありません。でも、本当に予定通りできるでしょうか。実施できないとなると、各大学の留学生入試に多大な影響が及びますから、万難を排して実施するつもりでしょう。そうは言っても、受験生間の距離を離すとか熱のある受験生は受けさせないとかという条件が加わると、去年までと同じように実施できるか疑問です。

頭痛の種はたくさんありますが、今できることを確実にやっていきましょう。

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