退場

1月30日(金)

12月のJLPTの結果が発表されました。今回から合格者にはCEFRのレベルが表示されるようになった点が今までと大きく違う点でしょう。1点でも合格点より低かったら、このレベルは表示されません。学生たちにはあまり浸透していないようですが、今後のことを考えると、知らしめていかなければなりません。

合否に関しては、ざっと見たところ、大きな番狂わせはなかったようです。実力のある学生が、受かるべくして順当に受かったという感じがします。ただ、受かったけれども、もう少し高い点を取ってもいいんじゃないかなという学生は何名かいました。毎度のことですが、背伸びしてN1を受けた学生は、仲良く討ち死にでした。

今回は、合否欄に「退場」と記された学生が数名いました。これは、全科目の試験が終わる前にスマホを手にした学生ではないかと思います。「退場」の数名は私が知らない学生ばかりで、そういうことをやりかねないのかどうなのかはわかりません。まずは事情聴取をして、本当にスマホが原因かどうか確かめ、もしそうなら、学校の中でしかるべき対策を考えなければなりません。

これから先は、学校として教育の成果を挙げていくことが求められます。その1つがJLPTの合格です。合格する力があっても「退場」させられてしまったら、何の意味もありません。スマホを我慢する訓練が必要ですが、授業中もスマホを握りしめている学生の姿を見ると、頭を抱えてしまいたくなります。デジタルデトックスを本気で考えなければなりません。

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冬晴れ税

1月29日(木)

東京に冬晴れ税をかけたいね――なんていう川柳が新聞に出ていました。諸色高騰の折、新たな税金までかけられたらたまったものではありませんが、積雪により経済停滞や除雪による経済負担が全くと言っていいほどない東京が、雪で困っている地方に仕送りをするくらいあってもいいような気もします。今シーズンは、雪があることが前提で町がつくられている札幌ですら、交通機関が止まったりお店屋さんに商品が届かなかったりゴミ収集が滞ったりなど、かつてないほどの混乱に陥っています。

ニュースや天気予報でこういった大雪の影響が報じられていますが、冬晴れ地域の最たるところ・東京の住民は、今一つ実感が伴わないというのが本音でしょう。札幌まで行かなくても、東京駅から新幹線に乗って1時間か2時間のところでも、平年を大幅に上回る積雪量になっています。困っている人を見かけたら救いの手を差し伸べるという考え方なら、東京が冬晴れ税を出すのが当然とも考えられます。もっとも、目の前の雪をどうにかするには、お金よりも労働力かもしれません。人手不足が顕著な昨今ですから。

大雪のため、8日に行われる衆議院選挙の投票時間を短縮するところも多数あるそうです。ここまでくると、この解散・総選挙によって、国民の真意・総意を測れるのだろうかと思えてきます。冬晴れ地域の東京の住民はもともと政治に無関心な層が分厚いのに対して、自分たちのまちを何とか活性化したいと切実に思っている人たちが多い地域ほど、この大雪の影響が選挙に色濃く出そうな気がします。どの政党が勝っても、国民の声が正しく反えされた議会にはならないのではないでしょうか。

高市さんは私と同額年ですから応援してあげたい気もしますが、今回は早まっちゃったかな。

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授業態度

1月28日(水)

Yさんは、授業中全くやる気を見せません。教室では、教卓から一番離れたところが定位置です。毎日行っている漢字の復習テストも、ほぼ白紙です。先週の文法テストは。選択式の穴埋め問題だけ記号で答えていました。今週も同様です。先学期からの引継ぎ簿を見ると、先学期の先生も持て余していた様子がうかがえます。学校や入管からにらまれない程度には出席する――というのが、Yさんのスタンスのようです。

9時数分前、私が教室に入ると、すでにYさんはいつもの席に着いていました。授業が始まったらすぐに漢字の復習テストと文法のテストがあるのですが、ずっとスマホに見入っていました。9時になり、「Yさん」と出席を取っても「はい」と返事をするわけではなく、かったるそうに手を半分挙げるだけです。

漢字復習テストを始めてもシャープペンシルを走らせるわけでもなく、回収すると名前しか書いてありませんでした。すぐに文法テストの用紙を配ると、2、3分は何かしていたようですが、その後は机を枕にびくともしませんでした。動き始めたと思ったら、スマホをいじってにやけていました。カンニングする気持ちすらないようでした。

漢字の時間、「Yさん、その次の文を読んでください」と指名すると、Yさんは一瞬だけ私の方を見ましたが、すぐまた下を向いてしまいました。私が黙ったままでいると、険悪な雰囲気を感じ取った隣の学生がどこを読むか教えました。しかし、Yさんは一向に読もうとしません。時間の無駄ですから、別の学生に読んでもらいました。

文法の時間のグループ活動にも参加しようとしませんでした。同じグループになった学生も、誘おうとしません。クラスメートにも愛想を尽かされているようです。Yさんは、他の学生たちが楽しそうに語り合っている中、1人で漢字の教科書を開いていました。

卒業式までこんな生活を続けて、楽しいんでしょうかね。

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信ショウ必罰

1月27日(火)

今学期の上級の選択授業では、身近な科学のほかに、“漢検に挑戦”を担当することになりました。初回は受講する学生たちの力とやる気を見なければなりませんから、先学期の先生から引き継いだ問題をしました。

いきなりスマホで調べられたら授業の意味が全くなくなりますから、まずは自分の力で解いてみるよう指示しました。さすがにこの授業を自ら選んで集まった学生たちです。スマホに頼らず、せいぜい隣か前後の学生と相談するくらいで、問題を解いていきました。

学生たちは、読み書きの問題はごく当たり前に取り組んでいましたが、苦労していたのが、漢語の構成を答える問題でした。似た意味の漢字からできているとか、上の漢字が下の漢字を修飾しているとか、当てはまる選択肢を選びます。日本なら小学校の高学年くらいから普通にやっていると思いますが、漢字の本場・中国では、こんな発想の問題はしないようです。これは、スマホで調べるにしても面倒がかかります。それでも、私が例を出して簡単に各選択肢の意味を説明すると、要領をつかんでどんどん答えていました。

誤字の訂正にも苦労していましたが、“楽勝だ”という声があがったのは、「容シ端麗」などというように、四字熟語の漢字を答える問題でした。教室内を歩き回って学生の答えをのぞき込んでも、できている学生が多かったです。そこで、ホワイトボードに答えを書かせても面白くないので、口で説明させました。「信ショウ必罰」などが、説明しにくかったようです。

来週は、学生の弱点をもう少しどついてやりましょう。

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第1歩の2問

1月26日(月)

Sさんは漢字が苦手な新入生です。毎日の漢字復習テストでいつも不合格です。「漢字の意味はわかるけど、書くのはどうしても苦手で…」と言っていました。本人もどうにかしようと思っているのですが、どうにもならないのが現状です。

漢字の復習テストは、前回の漢字の授業で勉強した漢字(熟語)の読み書き各5問で構成されています。6問正解で合格です。教科書に出てきた漢字やその熟語をそのまま問題にしていますから、復習してくれば合格点は取れるはずです。しかし、Sさんは書き問題で点が取れませんから、合格点に手が届きませんでした。

授業後、朝一番でした漢字復習テストを採点してみると、Sさんは6問正解で合格しました。初めての合格です。読み問題4問と、書き問題が2問正解していました。

書き問題は捨てて、読み問題5問を確実に正解すること。書き問題には、読み問題の漢字が使われるので、読み問題のどの漢字と書き問題のどの漢字が同じかわかれば、1問か2問は正解するはず。

実は、先週、上のようなアドバイスをしました。それがようやく実を結んで、書き問題2問の正解に結びつきました。“ねむい”を“眠むい”と書いた惜しい間違いもありましたから、大いに進歩したと言えます。明日以降も期待したいところです。

強固な苦手意識を克服するのは、たやすいことではありません。Sさんにしても、これで苦手意識が消え去ったわけではないでしょう。でも、その第1歩は踏み出したと言えます。これを契機に、漢字を書くことにもお、お城さを見出してもらいたいです。

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ノートを取る

1月23日(金)

選択授業が始まりました。私の担当は毎度おなじみの「身近な科学」です。でも、先学期から続けて取っている学生がいますから、先学期と同じテーマの再放送というわけにはいきません。新しいテーマで資料を整えようと思いましたが、まだ出来上がっていません。しかたがないですから、昔の資料をひっくり返して、先学期とかぶらないテーマを見つけてきました。

パワーポイントのスライドにざっと目を通したところ、データが古くて使えないスライドはなさそうでしたから、図表の配置や文字のフォントなどの微小な手直しを施して使うことにしました。同時に、しゃべる内容も思い出し、ここでこんなことに触れるんだなどと確認しました。

これまた「身近な科学」恒例の、B5の紙を配ってノートを取る練習をしてもらいました。最後にクイズを出し、どのくらい私の話を聞いていたか調べました。

ノートは取る気がないのか、取れなかったのか、白紙に近い学生が多かったです。しかし、几帳面な字で私の話を記録したAさんは、クイズも模範解答でした。きちんと聞いてくれた学生には、私の話が通じているんだと、意を強くしました。クイズをそのままAIに流し込んだのではないかと思われる答えもある中、実にさわやかでした。

私の話は科学の最先端を語るわけではありません。数式満載のスライドが次から次へと現れるわけでもありません。身近な題材をほんの少し違う角度から眺めるだけです。だから、受講生全員にAさんのようなノートを取ってもらいたいです。やればできるはずです。

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デジタルネイティブの宿題

1月22日(木)

中級クラスでは、毎日、学習管理システム上に宿題を出し、学習管理システム上で提出することになっています。教師は自席のPCでだれがどんな解答を出したかわかるようになっています。私も中級クラス担当の日には宿題チェックを怠りません。間違えた学生が多い問題は、授業中に解説を付け加えます。

8:30現在で宿題提出者はクラスのやっと半分でした。うち1名は朝6時に嘔吐したので休むとメールしてきました。この調子だと、出席者中の宿題提出者が半分を切ってしまうかもしれません。そうなると、宿題のフィードバックも意義が薄れてしまいます。

授業中、学生がテストをしている最中に、授業用のタブレットでこっそり提出状況を調べてみましたが、提出者は増えていませんでした。宿題のフィードバックの際に、宿題提出者の名前を読み上げ、名前を呼ばれなかった学生は授業後残って宿題を提出してから帰るようにと指示しました。

授業が終わりました。「先生、さようなら」と言いながら、学生たちが次々と教室を後にします。「Aさん、宿題は?」と未提出の学生に声をかけると、「先生、大丈夫です」とにこやかに手を振って友だちと出て行きました。職員室で改めてチェックすると、Aさんは提出していませんでした。“大丈夫”にしてやられました。

学生の名誉を重んじて、未提出の学生の名前を呼び上げなかったのが敗着でした。未提出の学生にとって自分事になっていなかったのです。次回は情け容赦なく、名前を板書してやりましょう。

そして、ふと思ったのですが、紙の宿題だったら、ここまで提出率が悪かったでしょうか。現物を提出しなかったとなると、罪悪感が桁違いに強かったことでしょう。

デジタルネイティブの学生も意外とアナログ的なのか、デジタルネイティブだからこそごまかし方を心得ているのか…。宿題をしないと、テストで敵討ちされるんですよ。

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今から準備

1月20日(火)

新学期の日本語プラスが始まりました。私の今学期の担当は、理科3科目に加えて「大学進学準備」という、そもそも日本の大学に進学するとはどういうことかというところから始める授業もあります。初日は、その大学進学準備からでした。

KCPの学生がのんびりしているからかどうかわかりませんが、毎年、今頃になって焦り始める学生が現れます。現在、私の周りにも数人います。そういう学生を撲滅しようと、大学入学まで1年以上あるこの時期から教育を始めるのですが、なかなか実を結びません。

入学の半年も前に入試があり、EJUをその入試に使うには入学9か月前の、前年6月のEJUを受けなければなりません。そして、そこでそれなり以上の高得点を挙げておく必要があります。そのためには、入学1年以上前の今から準備を始めないと間に合いません。

そういうことを、レベル3、4あたりが中心の学生たちに説きました。今、レベル3か4というと、6月のEJUの時はレベル4か5です。高得点を挙げるためには、かなり気合を入れて勉強しなければなりません。でも、そういう実感が持てていなさそうな顔をしていました。

お金の話もしました。私大に進むとなると、EJU、TOEFL、大学の受験料だけで10万円ぐらいになります。EJUやTOEFLを複数回受験し、大学も数校受験するとなると、30万円とかもっとという金額になります。合格したら入学金や施設費や前期の授業料などで、入学するまでに100万円ぐらいかかります。

お金関係は、さらにピンと来ていないように見受けられました。でも、来年の今頃、私に深刻な相談を持ち掛けてくることのないように願いたいところです。

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ストレスを感じたら

1月19日(月)

中級の授業で、ひょんなことからストレスがたまった時、どんなことをして発散するかという話になりました。Aさんは「スマホを見る」と答えました。Bさんも「スマホを見る」でした。「ほかのみなさんも、ストレスを発散したいとき、スマホを見るんですか」と聞いてみたところ、大多数の学生がうなずきました。

私は老眼ですから、スマホみたいに小さな画面では字や絵が読み取れず、いちいちピンチアウトしなければなりません。そんなことをしていたらストレスが余計に溜まってしまいます。ですから、ストレス発散にスマホを見るなどという発想は全くありませんでした。

確かに、普段の学生の様子を見ていると、スマホでストレス発散というのも、“ああなるほどね”という感じがします。でも、発散というと外に向かって何かする感じなのに、スマホをいじるというと内にこもるイメージが強いです。というわけで、スマホを見てストレス発散というのは、私にはすんなり受け入れがたいものがあります。

学生は、そんな私を不思議そうに見て、「先生はどうやってストレスを発散するんですか」と聞いてきました。「歩きますね」「ジョギングですか」「いいえ。走ると疲れますから、歩きます」といったやり取りをしましたが、学生にとっては、歩いてストレス発散というのが全くお門違いに思えたことでしょう。

この稿には何回も書いていますが、私は時々非常に長い距離を歩きます。これは昔からで、大学生の頃は下宿付近の周回お散歩コースを夜中に1、2時間かけて歩くなんてことを、週に1回ぐらいはやっていたんじゃないかな。そのあとは、すっきりしてよく眠れました。

ゲーム正月を送った学生たちですから、ストレス発散アプリなんていうのを見つけて、ストレスを追い出しているのかもしれません。授業じゃないときに、じっくり聞いてみることにします。

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ゲストがいらっしゃいました

1月16日(金)

最上級クラスにゲストが来ました。このクラスは日本人の高校生向けのテキストを使うなど、典型的な日本語学校の授業とはかなり違う授業をしていますから、見ても参考にならないことが多いのです。しかし、今回のゲストは、国の大学で専門的に日本語を勉強している現役の学生さんたちですから、他流試合に来たといったところでしょうか。ということは、こちらも負けるわけにはいきません。“なあんだ、KCPって、こんな程(低?)度か”なんて思われたらたまりません。

読解のテキスト音読は、いつもスラスラ読んでくれる学生を指名しました。その学生たちは期待に違わず、実に滑らかに読んでくれました。初見のテキストではありませんから、当然と言えば当然なんですがね。文章の内容について質問すると、こちらが狙った以上の答えが出てきました。こいつら、結構力をつけたなあと、私も感心させられました。ゲストにはその答えがどう聞こえたでしょうかねえ。

読解の次は、昨日発表された東洋大学の現代学生百人一首をネタに、ゲストも交えてグループ討論をしました。ゲストは現役の大学生ですから、クラスの学生とはだいたい同年代です。お互い意見が言いやすかったのではないでしょうか。少しは打ち解けたかなといった感じでした。

ゲストのみなさんは次の予定が迫っていましたから授業の途中で抜けましたが、また月曜日にもいらっしゃいます。その時には、Y先生がもっとしっかりした授業をしてくださることでしょう。超級は楽しいというよりも歯ごたえのある授業を目指しています。ゲストのみなさんには感じていただけたでしょうか。

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