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暑いですね

6月27日(金)

朝、出勤のために外に出たら、ムッとした熱気を感じました。地面が濡れていましたから、夜中に雨が降ったようです。雨が降って気温が下がればいいのですが、湿度が上がって蒸し暑くなり、その熱気が私に襲い掛かってきたのです。真夏ほどではありませんが、駅まで数分の道のりで、うっすら汗をかきました。

午前中仕事をしていると、近畿以西が梅雨明けしたというニュースが聞こえてきました。ほんの数日前、梅雨明けまで1か月くらいかかりそうだという話を聞いたような気がするんですが、九州から近畿までは、平年よりかなり早い梅雨明けを迎えました。

関東も、もうすぐ梅雨明けかなと思って予想天気図を見てみると、梅雨前線の動きが微妙です。南下する予報が出ています。週間予報を見ても、傘マークこそ出ていませんが、“梅雨明け10日”と言われるような晴天続きにもならないみたいです。何より、日中は晴れたものの湿度が高かったですから、東京を覆っている空気がまだ梅雨です。気象庁の観測データを見ても、東京の湿度は70%前後で、梅雨が明けた大阪は50%を切っていますから、だいぶ高いです。

さて、そんな中、アメリカの大学のプログラムで来ている学生たちは、そのプログラムの一環として、山梨旅行をしています。アメダスの観測によると、甲府の最高気温は35.0℃で猛暑日、全国2位タイでした。よりによってとんでもない日に行ったものです。何の連絡もないということは、熱中症で倒れたとかという人もいなかったのでしょう。この暑さも、日本の思い出になるのかな。

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文章を書く

6月26日(木)

もうじわじわと2026年度入試が始まっていますが、最近は志望理由書など受験生が頭を使って考えなければならないはずの書類も、生成AIに書いてもらうのが常識となりつつあります。大学側もそれを前提に書類を受け取り、別の方法で学生の真の力を測ろうと方向転換を始めています。

だいぶ前になりますが、ZさんがA大学の志望理由書を持ってきました。文法的には直すところがほぼありませんでした。構成も非常に整っていて、このまま出してもそこそこ以上の評価はしてもらえそうでした。でも、同時に、どこかつかみどころのない、つるんとした印象も残りました。チャット君に書いてもらったのかなと思いましたが、本人に確認は取りませんでした。

私は“つるん”にとがった何かを取り付けようと、Zさんにあれこれ注文を付けました。Zさんの勉強したいことも知っていましたから、それが際立つようにと「このあたりはばっさり切ってしまえ」なんてアドバイスもしました。読み手の心に引っかかり、面接の場で議論になることを期待しました。

しかし、Zさんが書き直した改訂版は、初版とあまり変わりませんでした。私の意見は、チャット君に却下されたようです。私がZさんの心を動かせなかった、AIに負けたということです。でも、大学の先生はこんなに甘くはありません。A大学のようなレベルの高い大学なら、どこまで本気で考えているか、厳しく問うてくることでしょう。

最近、「Aiに書けない文章を書く」(前田安正、ちくまプリマ―新書)を読みました。「Aiは、文書は書けるけれども文章は書けない」と筆者は述べています。文書と文章の違いについて触れるとネタバレになりかねませんから、ここから先は「AIに…」をお読みください。

Zさんは志望理由書という文書を作成し、私は文章にしようとしたけど果たせなかったというのが、Zさんと私のやり取りの結果です。面接の場で志望理由書を文章にすべく、Zさんを鍛えていくほかないでしょう。

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こちらは梅雨空

6月25日(水)

昨日に引き続き、新入生のインタビュー。アメリカにいる学生が相手でしたから、朝6:30から始めました。私は6:30なら毎日もう仕事を始めている時間ですから、自分の席でzoomの画面に向かいました。

「おはようございます」とあいさつすると、画面の学生も「おはようございます」とあいさつを返してくれます。「でも、そちらは“こんばんは”ですね」と続けると、「はい、そうです。こんばんは」と打ち解けてくれます。KCPでのレベルを決める面接だとなると新入生たちは緊張するものですから、リラックスしてもらうためになにがしかの仕掛けをします。数時間以上の時差があるがくせいなら、この挨拶作戦が簡単にできて効果的です。

時差があるとか季節が違うとかとなると、日本という遠い国まで行くんだと実感できるのかもしれません。それを留学に対する不安ではなく期待に持って行くのも、このインタビューの隠れた目的だと思っています。「東京は雨が降って蒸し暑いですよ」などという、どちらかというとネガティブな情報も、乾燥した地域に住んでいる学生にとっては好奇心を掻き立てられる話題です。

食事もそんな話題の1つですね。「食事はどうしようと思っていますか」と聞くと、「私は料理が下手ですからレストランで食べます」「簡単な料理なら作れます」「今も毎日自分で作っていますから、心配していません」などなど、多種多様な答えが返ってきますから、それを起点に突っ込んでいきます。興味も沸きますが、こんなやり取りを通して新入生の日本語力を測っているのです。6:30の学生は、日本のいろいろなファストフードを食べてみたいという、今まで聞いたことのないユニークな答えをしてくれました。

Zoomで知り合った学生に生で会うのは、来週の入学式。今から楽しみです。

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インタビュー

6月24日(火)

プレースメントテストの結果、中級以上に入りそうな学生にzoomで面接をしました。毎学期、zoomでの面接をしているのですが、数年前とは違って、zoomを使うのはこんな時だけです。3か月ごとにしか使いませんから、s使い方を忘れていたり、zoomが微妙にバージョンアップしていたりなど、毎回おっかなびっくりです。

まずはEさん。いきなりやらかしてしまいました。Eさんの声がさっぱり聞こえないと思ったら、zoomの設定ではなく、私が使ったタブレットがミュートの状態でした。通常授業ではミュートが定位置なものですから、うっかりそのまま使ってしまったという次第です。ロスタイム2分ぐらいでしたから、被害は最小限に抑えられました。

入学式まで1週間以上も間があるのでまだ国にいるのかと思ったら、Eさんはつい最近まで日本で働いていました。もっと会話が上手になりたいということで、KCPに入学したそうです。今でも十分上手ですが、さらに磨きをかけて、日本語勝負したいそうです。教え甲斐がありそうです。…と言っても、私のクラスになるかどうかは全くわかりませんが。

続いてGさん。Gさんもすでに入国していて、その気になればKCPから歩いて行けそうなところに住んでいます。そして、やはり、できれば日本で就職したいそうです。大学の副専攻で日本語を学んでいますから、自分の歩む道を計画的に築いてきました。KCPはその仕上げなのでしょう。

EさんもGさんも、日本での進学を目指す学生とは違うプログラムでKCPに入ります。こういう学生が進学の学生に刺激を与えるところに、KCPの特長があるのです。

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三軒茶屋と慰霊の日

6月23日(月)

おとといのブラタモリは、前週に続いて青山通り。そのまた前の週は三軒茶屋。三軒茶屋が特集されるのなら、大阪の松屋町や名古屋の今池、福岡の香椎や箱崎あたりも取り上げられていいと思います。ミナミや栄や天神では、格が違い過ぎます。東京の青山通りと釣り合うのは、大阪なら御堂筋ではなく、堺筋か千日前通りあたりではないでしょうか。でも、東京以外の街や通りは、ブラタモリで取り上げられていないんじゃないでしょうか。

毎週日曜日は「べらぼう」を見ています。私はBSで見ていますから関係ありませんでしたが、昨日は都議選の開票速報で、総合テレビは7:14からと、46分繰り上がりました。確かに、この都議選は参院選の前哨戦として注目されていました。でも、都議選は、首都とはいえ、一地方議会の選挙に過ぎません。その開票速報を全国放送で行うことに、どれだけの意味があったのでしょう。結果だけ報じれば十分だったと思います。

6月23日は、沖縄戦が事実上終結した日、沖縄慰霊の日で、毎年沖縄全戦没者追悼式が行われます。こちらも、一地方の一追悼式ですが、“過ぎない”で片付けられない重みがあります。NHKは30分の特番を組み、連続ドラマの開始を5分遅らせたようです。

私は東京の人間ですが、都議選に比べて、沖縄の追悼式の扱いが軽いように思えてなりません。米軍がイランを空爆するようなご時勢だからこそ、“沖縄”をきちんと伝える意義がより一層重いのではないでしょうか。石破さんがひめゆりの塔に献花したそうですが、そういうことも含めた報道がなされたのでしょうか。

放送局の本拠地が東京にあるからといって、東京を伝えることばかりに力を入れていてはいけません。

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地ならし

6月21日(土)

学生の作文は、最低2回は読みます。まず、誤字脱字、文法の間違いを訂正しながら読みます。そして、主張を理解すべく精読します。残念ながら、99%の作文は、間違いを直して初めて、学生の意見や考えが浮かび上がってくるのです。私は、この1回目の読みを、秘かに地ならしと呼んでいます。

私が今学期担当した作文は、上級の小論文でした。上級なら間違いも少なくて地ならしもすぐにすむだろうとお考えになるかもしれませんが、決してそんなことはありません。上級の学生にはプライドがありますから、難しい表現をしたがります。これがピタリと決まれば言わんとすることがすっと入ってくるのですが、そんなことはめったにありません。多くの場合が空振りか暴投で、地ならしをしないと「大変だ」ということぐらいしかわかりません。

「SNSを観察すると、動画や文章のタイトルが大抵同じだという結論を認める。」って、要するに、「SNSには同じようなタイトルの動画や文章が並んでいる」ということですよね。こんな文は中級の学生には書けませんが、原稿用紙2枚にわたってこんな文がてんこ盛りになっていたら、お腹いっぱいどころか吐き気を催してきます。だから、まず、吐き気を催さない程度の文にしておく必要があるのです。

そうやって浮かび上がらせた主張は、さすが上級だけあって、首肯できるものが多いです。結論を認めちゃった学生も、「言葉を正しく学び、多様な表現を身に付けることが、これからの社会をよりよくするために必要不可欠である。」なんて、まっとうな意見を述べています。

朝から急ぎの仕事をいくつもしましたから、まだ1/3ぐらいの学生の小論文しか読んでいません。でも、月曜日中には読み終われそうな光が見えてきました。

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採点デー

6月20日(金)

昨日の期末テストの採点をしました。私の担当は、読解3クラス分です。1クラスは最上級クラスで、私が作った問題ですから、自作自演みたいなところがあります。残り2クラスは、今学期木曜日に入っていたレベル3です。こちらはO先生が作成された模範解答と採点基準に則って採点しなければなりません。

レベル3だと、答えの型を重視します。例えば、「なぜ~です(ます)か」「~はどうしてですか」など、理由を聞く問題には「~から(です)」と答えることになっています。「なぜ外国人観光客が増えているのですか」に対しては、「円安が進んでいるからです」と答えます。「円安の進行」ではマイナス2点です。

ところが、授業でやっているにもかかわらず、「円安の進行」タイプの答えが多いです。「円安が進んでいるからです」と答えた学生は、クラスの上位者ばかりでした。中位以下の学生は、テスト問題を見ると、心の余裕がなくなってしまうのでしょう。

それから、問題文から延々と抜き出した答えも困ったものです。解答欄が1行しかないのに、細かい字で3行分ぐらい書く学生が多くて、目が痛くなりました。自分のクラスなら“私が読めない答えは全部×”と宣言してしまうところですが、そんなわがままは許されません。目薬を差しながら採点しました。これも、上位者は必要なところを要領よくまとめています。

最上級クラスのテストは、授業内で考えたことや議論したことを中心に出題しました。ですから、自由解答みたいな問題がいくつかありました。読解の日に休みがちだったCさんはほぼ白紙、いつも真剣に聞いていたAさんやYさんはほぼ完答。期末テストは日本語力を判定するテストではなく、勉強したことを確認するテストです。ですから、模範解答はあるようなないような、上述の自作自演とはそういう意味です。

明日は、選択授業の小論文の採点をします。

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心配事

6月19日(木)

期末テストがありました。中間テストと同様に、レベル1の会話の期末テストもありました。学生にプレッシャーをかけるためでしょうか、期末テストは自分のクラスではないクラスの会話テストを担当しました。

テストですから、漫然とおしゃべりを続けるだけではすみません。今学期、特に後半に習った文型が使えるかどうかを、会話をしながらチェックしていかなければなりませんから、教師の方も緊張します。学生たちには習った文型を使って話すようにと伝えてありますから、こちらは話すきっかけを与えてあげます。

しかし、みんなそのきっかけを活かしてくれないんですねえ。「明日から休みですねえ。何をしますか」「明日、帰国します」「そうですか。国で何をしますか」「友達に会います。一緒に食事します。買い物します」といったやり取りになってしまいます。この会話、確かにコミュニケーションは成り立っています。使われている表現は、中間テストの時と変わりません。「友達に会って、一緒に食事したり買い物したりしようと思っています」というぐらいの発話を期待していたのですが、それができたのはわずかに1名でした。その学生はレベル1から3に上がろうとしていますから、できて当然です。いや、そのくらいできなかったら、レベル3は務まりません。

自分のクラスの学生ではない学生が相手でしたが、自分のクラスはどうだったのだろうと気になりました。昨日のクラスは楽しそうに会話練習をしていましたが、こういう形で聞かれた時に昨日勉強した表現がすっと出てくるでしょうか。とても心配です。

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大掃除

6月18日(水)

期末テストの前日、最後の授業日の先生は、その学期の大掃除をします。未返却のテストや宿題があったらそれを返して、必要ならばフィードバックもします。そのレベルで勉強することになっている授業内容をすべて終わらせます。学生から質問があったら、何でも答えます。「明日答えます」は許されません。学期休み中の注意事項を伝えるのを忘れてはいけません。

私のクラス(レベル1)は進度に余裕がありましたから、勉強したばかりの表現の応用として、レベル2でこんな言い方を勉強するよという、予告編みたいなことをしました。子の予告編がすんなりわかり、それに興味を示すような学生は、問題なく進級できます。教師の話を聞きとるだけで精一杯という学生はボーダーライン上です。どうにか上がれるでしょうが、レベル2で苦労することは想像に難くありません。

来学期の展望の一環として、7月に予定されているコトバデーの予告をしました。レベル1ですから、去年参加した学生はいません。アフレコの発表作を見せて、雰囲気を感じ取ってもらいました。そして、去年初級の学生が挑戦したアニメで実際にアフレコをしてもらいました。みんなセリフが速すぎると言いましたから、セリフのスピードを半分にしました。さすがにこれは間延びし過ぎて、かえってつまらなそうでした。

それでも、興味は持ってもらえました。明日の期末テストの後、2週間少々の学期休みをはさみ、新学期を迎えます。そうしたら、あっという間にコトバデーです。ここで種をまいておくことには、大いに意味があります。

種をまくと言えば、今学期受け持ったレベル1のクラス2つで、しっかり種をまきました。今年度の後半から来年度にかけて、中級か上級で実りが味わえると信じています。「今度はレベル4ぐらいの教室で会いたいですね」と、学生に別れを告げました。

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見失う

6月17日(火)

選択授業が終わって廊下に出ると、Sさんがいました。「先生、相談したいことがあるんです」「はい、いいですよ。どんなことですか」「私、何をしたらいいですか」。ちょっと穏やかな話ではありません。

「今度のEJUでいい点を取ろうと思って、一生懸命勉強してきました。でも、日曜日にEJUが終わってから何をしていいかわからなくなっちゃって…」「Sさんは、大学、どこに行きたいの?」「A大学です。でも、行けるだけの点が取れたかどうか、自信がないんです」。

行けると思ってA大学の独自試験に向けた勉強をするのが常道なのですが、そういう気が起きなのでしょう。だったら、最低どこに行きたいか、そこをしっかり押さえることだと思います。一番いけないのは、何の目標もなく、来月の半ば過ぎに今回のEJUの結果が出るまでだらだらと過ごすことです。SさんならA大学も決して夢ではありませんから、準備を進めていってもらいたいです。

毎年、この時期、燃え尽き症候群みたいな学生が出てきます。本物の燃え尽き症候群なら志望校に入った後ですが、こちらはそのはるか手前です。この先いくつも山や谷を越えなければならないのに、やる気を失ってしまっては話になりません。

幸い、SさんはJLPTを受験します。Sさんの力なら、N1合格は間違いありません。だから、いかに高い点数で合格するかにかけてもらいたいです。国際的外国語学習の基準のCEFRでC1とみなされる142点は取ってもらいたいです。

さあ、頭を切り替えましょう。

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