Category Archives: 学生

次の一手

9月4日(金)

XさんはA大学の指定校推薦の校内審査に応募したのですが、残念ながら通りませんでした。推薦してもいいレベルでしたが、推薦枠が少なく、出席率でも成績でもXさんを上回る学生がいたため、落とさざるを得ませんでした。

通ったGさんには指定校推薦で進学することの重みを説き、決して楽な入試制度ではないことを言って聞かせました。Gさんは手堅い性格ですから、浮かれすぎて失敗することはないでしょう。これからは入試の面接の準備をしていきます。

Xさんに対しても、落として終わりという冷たい仕打ちはしません。すぐさま進学相談に乗りました。Xさんは去年の11月のEJUを受けていませんから、今、出願するとなると、EJU不要で行ける大学を選ばなければなりません。そういう大学はあまり多くありませんが、Xさんはその中からN大学を選び、出願準備を始めました。

指定校推薦の被推薦者に選ばれなかったことで、Xさんは焦りと不安を感じているようです。早く合格を決めたいと言います。N大学のほかにも11月のEJUの前に出願・受験できる大学を知りたいとのことでしたから、私も調べてみました。2校ほど、Xさんの勉強したいことが勉強できそうな大学が見つかりましたから、知らせてあげました。「早く動け」とは常々言ってきましたから、それを実践しているXさんの力になってあげたいです。

今年の入試はイレギュラーですから、どこでどんなどんでん返しがあるかわかりません。番狂わせもきっと起こるでしょう。でも、「強いやつが勝つ」を信じて、こういう時こそ本当の力をつける授業をしていきたいです。

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理系脳の構築

9月3日(木)

このところ、理科の受験講座ではEJUの過去問をやっています。11月8日の本番までの授業時間数を考えて、先月末から各科目毎週1回分ずつ取り組んでいます。今までは10月になってから始めましたが、今年は事実上11月の試験の一発勝負ですから、少しでも早く試験に慣れておいてもらいたいのです。

もう一つ、過去問をやりながら、私の授業で説明が足りなかった部分や学生の理解が浅かった部分を補っていくという意味もあります。授業の時と同じスライドを見せることもありますが、一通り勉強した後で見ると、初めて見た時とは違う何かを感じるかもしれません。「ああ、そうか! これはこういうことだったのか!」「あれとこれはこういう関係があったんだ!」なんていう発見が必ずあるはずです。初めての時は、その項目のごく近傍しか見えていなかったのが、全体を勉強した後で復習すると、鳥瞰図的に見えてくるものです。

復習では、教える方も、学生にとって未習事項がなくなっていますから、意識的に他の項目と関連させて説明することができます。そうすることによって、各科目の全体像が立体的に浮かび上がってくると思います。これは、EJU対策というだけでなく、理科全体に思考回路を張り巡らすという意味も持っています。理科の知識が点在している状態から、それらが有機的につながった状態へとグレードアップしていくのです。

学生たちはまだ手ごたえを感じていないでしょうが、今から種をまき続ければ、11月にはきっと確かな実りを手にすることができるでしょう。

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東京で働く

9月2日(水)

3密を避けるため、満員の通勤電車に乗らなくてもいいような働き方を求める人が増えてきました。働き手が会社まで通わなくなるだけでなく、会社そのものが働き手を集めなくなったり、オフィスそのものを東京の外へ持って行ったりする例も見かけられます。久しく言われ続けてきた東京一極集中が、これからいくらかでも是正されるかもしれません。

超級クラスの学生にそんな記事を読ませて、意見交換をしてもらいました。このクラスの学生は大学院進学の学生が多く、これから受験という学生も、2年後には就職が決まっているかもしれません。そのくらいのタイムスパンなら、現今のこういった潮流がそう弱まっているとは思えません。

それで学生たちはどう考えているかというと、大半が東京で就職したいと言います。友達がいるから、生活の基盤があるから、便利だから、刺激的だから、おもしろいから、…いろいろな理由が挙がってきましたが、意外と考え方が古いなあと思いました。半世紀近く前、田舎の高校生が東京で働きたいと言った時の理由と大差ありません。木綿のハンカチーフの時代ですよ。

最近はやっている「ワーケーション」については賛否が分かれました。魅力を感じるという学生もいれば、仕事と余暇の間にはきっちり線を引きたいと考えている学生もいました。ただ、東京でワーケーションしたいというのはどうなのでしょう。夜な夜な遊びほうけるつもりなのでしょうか。

学生たちは目の前の受験で精一杯に違いありませんが、少し遠くの未来を見通すことが、気分転換にもつながるでしょうし、やる気の源泉にもなるでしょう。たまには息抜きも必要ですよ。

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可能性を求めて

8月28日(金)

先月の大学・大学院の進学フェアに続き、専門学校の進学フェアが開かれました。今年は、4月以降、人の行き来に関しては実質的に鎖国状態ですから、新しい学生が入ってきていません。そのため、学生数も例年の半分ぐらいです。また、その在校生も多くが大学・大学院志望ですから、現時点において専門学校を第一志望とする学生は多くありません。

でも、毎年、秋から冬にかけて、学生たちは悩むのです。自分は本当に大学や大学院に進学したいのだろうかと。自分の本当にやりたいことは大学や大学院にあるのだろうかと。そして、考えに考え抜いた末に、専門学校に進路を変える学生が必ずいます。

Cさんもそんな学生でした。MARCHぐらいの経営学部か商学部を目指していましたが、夏の入り口ぐらいから悩み始めました。学校を休むことすらありました。写真が好きで、そちらの勉強をする夢を捨てきれなかったのです。そして、夏にあったD専門学校の写真コンテストに応募し、見事に入選しました。そこからCさんは、専門学校進学を本気で考え始め、親とも激論を交わし、最終的にD専門学校に進学しました。

今年はほとんどすべての行事が中止になってしまいましたから、Cさんと同じ道を歩むことは難しいです。しかし、学生たちに道は1本しかないと思い込まないでほしいです。いくつかの可能性を持っておいたほうが、明るい未来につながるのではないでしょうか。

進学フェアにいらっしゃったD専門学校の方が、Cさんは成績優秀で大いに活躍していると教えてくださいました。きっと充実した留学生活を送っているのでしょう。

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緩み

8月27日(木)

この前の日曜日に日本語の外部試験がありました。7月のJLPTが中止されましたから、日本語学習者が自分の実力を客観的に評価してもらえるチャンスが消えてしまいました。それを補う一助として、また、入試などで自分の日本語力を示すデータとして、学校が受けておくように勧め、学校を通して出願しました。

数十名が出願したのですが、そのうち十数名が受験しなかったと、主催者側から連絡がありました。私のクラスのKさんもその1人でしたから、授業後に理由を聞きました。すると、寝坊したというではありませんか、確かにKさんは授業中にうつらうつらしていることがあります。W大学を目指して毎晩遅くまで勉強しているのでしょう。先週の土曜日もきっとそうだったのだと思います。しかし、日曜日の試験をすっぽかしてはいけません。

これがW大学の本番の試験だったら、論外もはなはだしいです。だから、Kさんは絶対にこんなことはしなかったでしょう。気が緩んでるなと思いました。W大学出願直後は、ある種の高揚感から、勉強に限らずなんにでも張り切って取り組む姿が目に浮かびます。日が経つにつれて緊張感が薄れ、本人の地金が出てきたのです。

まだ若い学生たちにとって、気持ちをコンスタントに保つことは難しいと思います。でも、それができないと、いつまでたっても「やればできる」のレベルにとどまります。そういう人の「やれば」は、非常に大きな仮定であり、だいたい最後までやらないかやれないものです。

「やれば」の壁は厚いのです。

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目標を見据えて

8月26日(水)

超級クラスの授業で、東大の学生は目標を明確にしてそれに向かっているという内容の生教材を読みました。毎日、何となく生活しているのではなく、具体的な数値目標を立ててそれを達成するよう努力を重ねていると書かれていました。

超級の学生たちに聞いてみると、ぼんやり生きているわけではありませんが、生教材に書かれていたほどの意識には達していないようでした。普通はそうでしょうね。社会人になれば数値目標だらけで頭が痛くなってしまいますが、学生でそれがきちんとできる人はまれでしょう。逆に言えば、そういうことができたから、他から抜きんでて、東大に入れたのでしょう。

“EJUの日本語で360点”など、ほどほどの期間の目標は立てやすいです。しかし、その目標に到達するために、毎日何をどう積み重ねていくかとなると、緻密な頭脳が要求されます。「1日ぐらいサボってもいいか」の繰り返しが、目標の未達をもたらします。目標の切り下げが度重なることが挫折です。

入学した時は、みんな国立とか早慶とかと言います。そう言った学生の中で、日々の目標を掲げ、一歩ずつ確実に前進し続けられる学生は、残念ながら、非常に少ないです。超級の学生たちは、その中でもよじ登り続けられた精鋭と言ってもいいでしょう。確かに今は東大の学生のレベルには及びませんが、背伸びすれば手の届く範囲にいると思います。だから、この記事に刺激されて、その背伸びをしてもらいたいのです。

クラスの中には東大を志望校としている学生もいます。その後押しになればと思っています。

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暑いけど、秋

8月25日(火)

夕方、GさんがN大学の出願書類を持って来ました。最近はコンピューターで書類を作成するのが主流ですが、それをプリントアウトさせて紙の形で郵送提出を求める大学も少なくありません。不思議だなあと思う反面、書類の書き方や扱い方で受験生の人となりのかけらでも知ろうという気持ちもわからないではありません。Gさんにしてはきれいな字で書かれた書類を見て、これならそのまま提出してもN大学の先生方に不快感を与えるものではないだろうと思い、すぐ出すようにと指示しました。

それからGさんは、T大学の志望理由書の下書きを見てくれと頼んできました。目を通すと、志望理由書の形にはなっていますが、インパクトがありません。最後の最後になって、やっと、Gさんの大学での勉強のキーワードともいえる言葉が出てきました。それが他の言葉に埋もれて、さっぱり見えなかったのです。

それに対して、Gさんがきっかけと称する子供の頃の昔話がやたらと長いのです。お父さんとの思い出話よりも、将来の夢を語らねばならないのに、Gさんの志望理由書は年寄りの回顧録のようです。T大学で何を勉強したいのか、どうもはっきりしません。

そういう点を指摘すると、「研究計画書みたいですね」とGさんは言いました。いや、そうなんです。志望理由書とは、こういう勉強がしたいからこの大学に入るという決意表明でもありますから、研究計画書の要素があって当然です。学習計画書という形でそれを提出させる大学もあるくらいですから、志望理由書が大学入学後4年間の計画表になったとしても、何らおかしいことはありません。

6月のEJUがない受験シーズンが本格化してきました。まだまだ暑いですが、受験の秋は始まっています。

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課題山積

8月24日(月)

新聞報道によると、留学ビザを持っている人たちの入国制限が、近い将来、緩和されるかもしれないとのことです。まずは国費留学生からとなるようですが、これが私費留学生にも及べば、日本語学校にとってはありがたい限りです。久しぶりに新入生がやってきそうな気配がわずかながら立ち始めました。

とはいえ、国が正式に発表した内容ではなく、憶測の範囲を出るものではありませんから、喜び過ぎは禁物です。それに、たとえ入国ができるようになったとしても、2週間の自宅待機が義務付けられるでしょうし、そもそも日本政府が「緩和」を発表したところで航空便がないかぎり入国もままなりません。今すぐに政府決定がなされたとしても、10月期の始業日に間に合うかは非常に疑問です。

それに、中途半端な時期に入国し日本語学校に入学すると、日本で思うように進学できないおそれも伴います。日本語学校に在籍できる期間は最長2年間ですが、大学など高等教育機関の入学時期が4月のままだと、来年1月に入学した留学生は再来年の4月にどこかに進学しなければなりません。本来だったら丸2年日本語を勉強して十分に日本語力を伸ばした上で入試に臨めるのに、その前に勝負しなければならないかもしれません。秋入学のテンションがぐっと下がってしまいましたが、今からでもどうにかならないものでしょうか。

とはいえ、これは日本で新規感染者が少なくなることが前提です。毎日1000人とかというレベルで推移していたら、海外から日本への渡航が禁止されるかもしれませんし、親御さんが大事なお子さんを送り出そうとは思わないでしょう。そう考えると、まだまだ道のりは遠そうです。

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通じない

8月20日(金)

今週面接をした指定校推薦入試の推薦者を発表しました。順当に上級の学生が選ばれました。受け答えもしっかりしていたし、自分を語るだけの日本語力も備わっていました。選ばれなかった学生は、コミュニケーションが成り立っていないという感じが強かったです。

推薦することにした学生たちに出願手続きや入試の内容とそのための準備に関する話をしていると、推薦されなかったJさんが、その結果に不満を持っているという話が聞こえてきました。Jさんは、面接開始1分後に×を付けた学生です。まず、Jさんの日本語がよくわかりませんでした。それから、私の質問の意図がまるっきり伝わっていませんでした。コミュニケーションが成り立たない典型例です。

また、先生方の話を総合すると、指定校推薦の制度そのものを誤解しているようです。推薦に値する学生がいたら推薦するということを、各クラスで学生にわかるように説明してもらったのですが、Jさんは募集人員は必ず満たすと受け取っていたようです。また、KCPでの面接に通れば自動的に入学が決まるとも思っていた節があります。致命的なのは、自分の日本語が通じていると信じ込んでいるところです。

しかたがないので、Jさんが受けている受験講座の後で職員室に寄ってもらい、選ばれなかった理由をきちんと説明することにしました。ところが、受験講座を終えたJさん、職員室の前を通り過ぎて帰宅するではありませんか。私も、その後受験講座が控えていましたから、呼び戻すまではしませんでした。

こんなにまで日本語が通じないのなら、どう考えて指定校推薦は無理です。それどころか、面接のある大学はほぼ合格不可能でしょう。Jさんはペーパーテストの成績鵜は優秀ですが、このままではその優秀さが生かせないでしょう。

明日、説明を試みますが、果たして納得させられるでしょうか。

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温暖、死亡、変換、巨大、河川

8月19日(水)

超級クラスの語彙の練習問題に、同じような意味の漢字を2つ重ねた熟語をあげなさいというのがありました。オンライン授業でしたから、画面を見て最初に目についたSさんを指名しました。「はい、温暖」という答えがすぐに返ってきました。すばらしい答えです。ばっちり予習してきたのでしょう。共有画面のホワイトボードに書いて、次にCさん、Jさん、Yさんと指名しましたが、「わかりません」でした。

たとえ予習をしていなくても、「温暖」という文字が画面に出ているのです。いやしくも超級の学生なら、それをヒントに「寒冷」ぐらい思いついて当然だと思うのですが。この3人は、先週の語彙の中間テストではそれなりの点を取っていましたが、暗記のたまものだったのかもしれません。それとも、クラスメートの答えからすぐに導き出される答えを口にすることを潔しとしなかったのでしょうか。

でも、その後は、死亡、変換、巨大、河川など、順調にしかるべき答えが出てきました。どうやら、たまたま気の利かない学生を3人続けて指名してしまったようでした。やっぱり、全体を見渡せば、力があるなあと思いました。

はっきり言って、日本人だって、同じような意味の漢字を2つ重ねた熟語を挙げろと言われても、とっさに答えられる人は多くないと思います。そう考えると、Sさんが偉くて、Cさんたちの方が普通だとも言えます。でも、このクラスの学生たちには入試が待ち構えています。入試を勝ち抜くには、豊富な語彙力が不可欠です。だからこそ、こういう問題をやらせているとも言えます。

日本語学校は変なガイジン養成機関だとも言われます。このクラスのみんなを早くその域に送り込みたいです。

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