Category Archives: 生活

少し復活

2月17日(土)

昨日、4週間ぶりにギプスが取れました。包帯で縛り付けるような感じから、サポーターで軽く足首付近を固める感じになりました。まだ足を全面的に自由に動かせる段階には至っていませんから、歩き方には若干不自然なところが残ります。でも、専用サンダルから普通の靴が履けるように戻ったのですから、大きな改善です。

ギプスの頃は、赤信号にならないうちにと一生懸命歩いて横断歩道を渡っても、小学校に入ったばかりくらいの小さな子供にあっさり抜かされました。しかし、昨日ギプスを外してもらった後、靖国通りの横断歩道を渡ったときは、普通の大人に置いていかれることなく渡り切れました。

とはいえ、骨折以前と同じようには歩けません。ゆうべだって、駅からうちまで歩いた時の疲れ具合が違いました。レントゲン写真を見た医者は、足の筋肉が衰えたため、骨がもう少ししっかりくっついたらリハビリが必要となるかもしれないと言っています。う~ん、結構な大けがだったんですね。昨日の時点で治ったと考えても全治4週間です。全治4週間と言えば、大けがの部類ですよね。

でも、リハビリが必要なら早くはじめて早く元に戻しておかなければなりません。5月の連休は関西遠征をし、飛鳥地方を1日20キロぐらい歩く計画を立てています。航続距離もさることながら、ある程度のスピードも要求されます。山越えのコースの日もありますから、足が動かないのでは話になりません。来週からは、エレベーターを使わずに、階段で教室まで行き来することにしましょう。

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報われた努力

2月1日(木)

昨日の漢字の授業で「長年の努力が報われた」という例文を勉強していますから、今朝の3分会話は「努力が報われた経験」というテーマで話してもらいました。学生の様子を見ていると話したいことがあるみたいでしたから、3分の予定が5分ぐらいになってしまいました。

学生同士の話を止めて、何人かの学生に「努力が報われた経験」を聞きました。すると、勉強を頑張った結果、成績が上がったとか志望校に進学できたとか試験に受かったとかといった系統の話が出てきました。20年前後しかない学生の人生経験なら、やむをえないとことでしょうか。

中にはコンクールで優勝したというのもありましたが、勉強に偏っていたということは、学生たちは国で勉強以外のことはあまりしてこなかったのかもしれません。学生たちの国は、受験競争が日本以上の厳しいですから、そうなってしまうのも当然だとも言えます。

日本の高校生はどうなのでしょう。クラブ活動や趣味の世界での努力が報われた経験を語ってくれるでしょうか。小学校から受験勉強一筋だったら、このクラスの学生たちと同じような話をするのかな。大学生なら、いわゆる“ガクチカ”を語ることになるのでしょう、幾分盛りながら。

努力が報われたとは、やはり成功体験です。若いうちの成功体験は人を成長させますが、KCPの学生たちは成功体験が希薄なようです。昔ならアルバイトで成功体験を積むこともできましたが、最近の学生はアルバイトをしなくてもいい学生が大半です。これが学生たちの弱点にならなければいいのですが…。

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魔法の杖

1月22日(月)

土曜日にK先生からお借りした杖を持って銀座線に乗ると、席を譲ってもらえました。新宿御苑前から赤坂見附までの丸ノ内線は、高々数分ですから、どっしり腰を落ち着けてしまうと立ち上がる時にかえってしんどそうなので、ドアの際に立っていました。

赤坂見附から上野までは20分ぐらいありますから、実質片足で立ち続けるのは避けたいと思っていました。しかし、入ってきた銀座線はいつもより混んでいるくらいでした。ですからドア際の手すりを確保して姿勢を整えたところ、すぐそばに座っていた若い女性が「どうぞ」と声をかけてくださいました。

私もこういう場面で席を譲ろうとして断られてなんとなく気まずい空気を感じたことがありましたから、ありがたく席に着きました。席を譲ってくださった女性は、新橋か銀座で降りたようです。彼女が降りる時にもう一度お礼を言おうと思っていましたが、見逃してしまいました。

金曜日は杖を持っていませんでしたから、優先席のそばに立ったものの、席を譲ってもらえませんでした。杖の威力は偉大です。逆に考えると、杖を持っていないけれども席を必要としている人が、今まで私の周りにも結構いたということになります。席を譲ることはやぶさかではありませんが、私は席に着くと本を読むことに熱中しますから、譲って差し上げるべき人がそばにいても見逃していたことは多々あるに違いありません。

当分はステッキパワーで席を譲ってもらうとして、足が元に戻ったらちょくちょくあたりを見回して恩返しをしていきたいものです。

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骨折

1月19日(金)

昨日の夜、家の近くのスロープを下りていたら、左足をくじいてしまいました。「痛い!」と思いましたが、どうにか歩けましたから、足を引きずりながら家まで帰りました。

風呂に入り、寝て、今朝になると、痛みがひどくなっていました。左足に体重をかけると、痛みが走ります。昨日はまだすたすたと歩けましたが、もう無理でした。でも、午前中、代講が利かない授業を2つ抱えていますから、匍匐前進してでも学校までたどり着かなければなりません。いつもの半分ほどの歩幅で駅に向かいました。駅では、いつもは使わないエスカレーターに乗り、ホームに出ました。

電車は、なんたって早朝ですから、楽勝座れました。しかし、乗換駅では、いつもはダッシュしてきわどいタイミングの電車に乗り込むのですが、もちろんそんなことはできません。そろりそろりと歩いて、いつもより1本遅い電車に乗りました。御苑の駅から学校までも、牛歩戦術でした。いつもは、家から学校まで、スマホの歩数計で1700歩あまりですが、今朝は3300歩を超えました。やはり、歩幅が半分なのです。

教室まで行くのも、いつもは絶対に乗らないエレベーターのお世話になりました。どうにか授業をこなし、午後、学校の近くの整形外科へ行きました。靖国通りを渡る時は、次の青信号まで待ちました。通りの真ん中に取り残されたら寿命が縮まってしまいます。

レントゲンを見た医者は、「足の小指の骨が折れてますね」と一言。痛いわけです。靴を脱がされ、足を固定してもらい、帰ってきました。全治4週間。意外と重かったです。「ほっときゃ治るよ」なんて思わないでよかったです。

さて、これから足を引きずりながら帰ります。固定された足には、整形外科で貸してもらったサンダルが。乗換駅の階段が辛そうだな…。

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声に記憶あり

1月9日(火)

養成講座の授業を終えて1階に戻ると、G先生から「先生、卒業生のHさんが来てます」と声をかけられました。G先生が指し示す方を見ると、2人が私を見てお辞儀をしました。名前を聞いても顔を見ても、その人たちが誰か思い出せませんでした。

「先生、お久しぶりです。Hです」という声を聞いて、「あーあ」と線がつながりました。聞けば、6年前の卒業生というではありませんか。もう1人は、結婚相手でした。こちらは初級でやめてしまった学生で、私が担当していたレベルまで上がる以前にKCPを去ったようです。

若者が6年経てば、ずいぶん変わるものです。顔をよく見れば確かにその当時の面影が感じられますが、名前と顔だけでは記憶は呼び起こせませんでした。また、いい学生は概して記憶に残らず、悪い学生ほど強い印象を残します。Hさんは、クラスで一、二を争ういい学生でした。

それからしばらくして、「先生、卒業生だそうです」と、また呼ばれました。受付から親しげな笑顔がこちらに向けられています。「もしかして、Aさん?」と半信半疑で近づくと、「先生、やだなあ。忘れちゃったんですか。Aですよ」。こちらも、その声を聞いた瞬間、確信できました。声って偉大な力を持っていますね。

Aさんは12年前に卒業したと言いますから、東日本大震災の頃の学生です。あの頃の未成年は、今は立派な中年で、日本で結婚し、会社も始めていて、立派に根付いています。日本語は、臨機応変にぼけたり突っ込んだり、顔さえ見なければ日本人に聞こえます。大学を卒業するまでは、だいぶ苦労したそうですがね。

今、私が教えている学生たちが、数年後かもう少し経った頃、HさんやAさんのようになっているでしょうか。FさんはHさんのタイプかな。BさんはAさんと同じような道を歩むんじゃないかな。あれこれ想像してみました。学生がどうなるかよりも、10年後に私がこの学校にいるかどうかの方が、ずっと大きな問題のような気がします…。

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今年を振り返ると

12月27日(水)

昨日、所用があって、新宿駅の西口に出ました。ニュースで聞いていましたが、小田急百貨店が跡形もなく消えていて、歩道もバスターミナルのすぐ近くまで迂回していました。あまりの様変わりに、ただただ驚くばかりでした。KCPから西口まで、距離にして1キロちょっとですが、私の守備範囲は紀伊国屋書店までですから、西口の地上を歩くことはめったにありません。調べてみたら、小田急新宿本館の閉店は去年の10月、解体が本格化したのは今年の春ぐらいだったんですね。

考えてみると、この1年、通勤定期の経路の駅で外に出たことがあるのは、上野と日本橋と銀座と新橋ぐらいかもしれません。しかも、そのほとんどが用事を済ませたらまたすぐ地下に潜るという具合で、それぞれの街をゆっくり楽しむということはしていません。新宿だって、駅そのものは利用しましたよ。でも、地上は歩かなかったなあ、この1年。実に狭い世界で生活していたものです。夏休みなどには遠征もしますが、土日の休みに東京都内をもっと見なければいけませんね。いや、そもそも、個人的な用事を通勤定期の範囲内で済まそうというせこい根性からたたき直す必要があります。

というわけで、来年の目標は、「東京23区すべてに足跡を印す」ということにしましょう。数えてみると、今年は12区でした。通過を含めるともう少し増えますが、23区には遠く及びません。また、墨田区、葛飾区、江戸川区、豊島区は学校行事のおかげで足を踏み入れた区です。ですから、倍増ないし3倍増しないと目標は達成できません。容易な目標ではありませんが、挑戦してみます。

よいお年をお迎えください。

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大掃除の誇り

12月26日(火)

年末の恒例行事と言えば、大掃除です。普段目や手が行き届かないところを拭いたり磨いたり掃いたり水洗いしたりします。

私の担当は、まず、朝のうちに1階の給湯室。湯沸かしポット内にクエン酸を入れて、水垢を落とします。落とさなくてもお湯の供給に影響があるわけではありませんが、電熱効率が悪くなりますから、省エネのためにも年に1度くらいは掃除をしておいた方がいいです。それから、流しの排水部の清掃。排水口にたまっていたごみは、先週、流れがあまりに悪くなったので捨てました。ついでに、ごみ溜めも洗っておきました。ですから、今朝はパイプクリーナーを入れてしばらく放置するだけでした。他の先生方がいらっしゃる前に終わらせようと思ったのですが、湯沸かしポットのお湯が沸くのに時間がかかり、少々はみ出してしまいました。

午後は傘立ての受け皿の掃除。各教室とラウンジから受け皿を集めてきて、ひたすら水洗いです。油を吸ったほこりが受け皿にまとわりついていますから、水をかけても水をはじいてしまいます。雑巾を使ってこそげ落としましたが、細かいところは指先で掻き出すような感じでした。要らない歯ブラシをうちから持って来ておけばよかったと思いました。それにしても、こそげ落としたほこりの多いこと。掃除用の流しの排水口が何回も詰まりました。そして、この仕事は、冬場ではなくて夏にするべきですね。半袖短パンで、外の流しで水を勢いよくぶっかけるのが、一番きれいになりそうです。

私が受け皿を掃除している間に、別の先生が傘立て本体を磨いて、ほこりを落としてくださいました。新学期に登校した学生たちはきっと何も気づかないでしょうが、でも、そういう仕事をしたということに、ちょっとした誇りを感じます。

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どこで影を見るのやら

12月2日(金)

お昼に学校の近くを歩いていると、「本日は冬至です」というアナウンスが繰り返し聞こえてきました。そうかと思って振り返ると、ずいぶん長い影がアスファルトに伸びていました。杜氏の日の南中高度30.9°から計算すると、身長の1.7倍ほどの長さだったはずです。稚内は南中高度が21.9°なので、影の長さは身長の2.5倍近くに及びます。夕方の雰囲気ですね。

以前、夏至近くの沖縄へ行ったことがあります。影なんかほとんど見えませんでした。計算すると、私の身長で影の長さは5センチほど。見えるはずがありません。というか、影が見えない体験をしたくて、わざわざ日を選んで行ったのです。沖縄の梅雨明けは夏至の前後ですからお天気が心配でしたが、頭の真上からの日差しを味わえました。

さて、期末テストが終わると学校は静かになりますが、今朝はちょっとだけにぎわいました。おとといの期末テストの追試が行われたからです。にぎわったと言っても1クラス分の人数にも及ばないほどですがね。でも、残念ながら、その中に私のクラスのKさんの姿はありませんでした。噂によると、Kさんは、おとといの朝、布団の中で「あと3分だけ」と思っていたら、3時間寝てしまって、テストが受けられなかったそうです。追試が始まる時間になっても姿を現さなかったので、担任のM先生がメールや電話で連絡を取ろうとしましたが、応答はありませんでした。

Kさんは、来週、受験校のオンライン面接があるのに、一時帰国を計画していました。「オンラインですから国からでもできます」と言って、私たちが止めるのも聞こうとしませんでした。上述のように時間にルーズなKさんのことですから、時差を忘れて面接が受けられないということだってあり得ます。連絡がつかなかったということは、学校に提出した届よりも早く一時帰国してしまったのかもしれません。

Kさんの出身地は、鹿児島と同じくらいの緯度です。とすると、影の長さは身長の1.4倍程度。東京より多少短い影を引きずって街の中を闊歩しているのでしょうか。それとも家の中でゲームでもしているのでしょうか。面接の準備をしているような気は、全くしません。

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12月12日(火)

今年の漢字は「税」に決まりました。日本漢字検定協会のコメントによると、1年を通して増税の議論が行われたこと、インボイス制度導入、ふるさと納税のルール厳格化など、税にまつわる話題が絶えなかったから選ばれたのだそうです。私の感覚だと「税」よりも「暑」ですがね。

今年の漢字を募集しているころにはあまり騒がれていなかったかもしれませんが、パーティー券の売り上げキックバックによる裏金は、安倍派だけで5億円にも上るそうです。自民党全体では一体いくらになるのでしょう。この裏金も、広い意味では脱「税」でしょう。

安倍派の5億円、自民党の?億円は、「裏」金と言われるくらいですから、何に使われたかは全然わかりませんし、今後明らかになるとも思えません。どうせ世の中の役には全く立たない、ろくでもないことに使ったのでしょう。裏金作りに励んだとされる面々の写真は、顔つきが悪いですね。わざとそういう写真を選んでいるかのようです。中でも、2000万円を受け取ったとされる橋本聖子参議院議員は、スピードスケートや自転車でオリンピックに出ていたころのさわやかさのかけらも感じられない顔になっていました。

何億円か、あるいはもう1桁上のお金があれば、貧困家庭を何世帯救えるでしょう。給料が低くて人手不足に陥っている介護施設に回せば、多くの介護する人される人が幸せになれるでしょう。こんなこと、あの顔つきのみなさんの脳裏は一瞬たりともかすめなかったのです(法律的に難しいのかもしれませんが)。

もうかっている企業が自民党のパーティー券を買い、自民党がふるさと納税的な発想で集めたお金を上述のようなところに配り、返礼品は自民党のパーティーでも岸田さんのありがたいお話…というのはいかがでしょうか。

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10分遅延

12月5日(火)

月初めは、前の月の出席率が悪かった学生が欠席理由書を書く時期です。Rさんもその1人で、授業後に職員室に連れて来られました。担当のK先生は、欠席・遅刻した日付が記入された欠席理由書をRさんに渡して、欠席・遅刻をした理由を書くようにと言っています。しかし、Rさんはこの日とこの日とこの日と…は電車が遅れたから遅刻ではないと訴えています。

毎月の出席率が素晴らしくいい学生がある1日についてだけそう主張するなら、本当に電車が遅れたのだろうと信じられます(もっとも、そんな学生は欠席理由書など書きませんが)。しかし、Rさんは、上述のように“この日とこの日とこの日と…”と、何日も電車が遅れたと言っています。ということは、Rさんが通学に使っている路線はよく遅れるということで、その遅れを見越して家を早く出るなどの対策を取るべきです。K先生もそう説き聞かせようとしています。しかし、RさんはK先生の日本語がわからないのか、わかっていながら無視しているのか、自分の言い分を繰り返します。まあ、本当のところは寝坊でしょうがね。

最近は遅延証明書も電子的になり、スマホの画面を見せてくる学生が増えました。黄門様の印籠よろしく、「控えろ」と言わんばかりです。でも、ほとんどが5分遅れとか10分遅れとかです。1時間に1本しか来ない土地ではなく、東京ですよ。丸ノ内線なんか2分おきぐらいに走っている時間帯です。8:30に駅に着いたら8:20の電車が止まっていたというだけです。いつもより多少混んでいるかもしれませんが、乗り込めないほどではないでしょう。8:30には電車に乗っていなければならないのに、駅に着いたのが8:40で、10分遅れの8:30の電車に乗って、10分遅れで教室に入ってきたのです。遅延は電車ではなく、学生自身です。

Rさんは、結局、欠席理由書を書いたようですが、どんな理由をつけたのでしょう。この欠席理由書、入管への提出書類の一部なんですよ。

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