Category Archives: 学生

追跡

5月29日(金)

EJUの中止が決定して以来、気落ちしている学生がいるようです。私が担当しているオンラインの受験講座にも、顔を出さなくなった学生がいます。目標が5か月先になってしまったこともそうですが、11月の成績が使えない大学に出願しようと思っていた学生は、途方に暮れていることでしょう。

例年出願時期が早い大学がどういう動きを示すか、ここのところ毎日、大学の公式発表を追いかけています。一部の大学は、今年に限ってEJU不要としましたが、多くの大学は、まだはっきりした方針を出していません。6月か7月に発表すると言っています。

上智大学は、早々に、出願資格を2019年のEJUを受けた人としました。今年のEJUに勝負をかけようと思っていた学生は、チャンスを与えられないことになりました。早稲田大学は、JASSOが発行する出願証明書があれば受験できるとしました。実質的にEJUなしでも出願できます。

どちらの大学も留学生に人気の高い大学ですが、EJU中止への対処は正反対となりました。早稲田はEJUの指定科目受験を出願要件にしてきましたが、合否結果を見ると、独自試験や提出書類を重視しているようでした。今年も、EJUは受験していなくてもいいことになりましたが、TOEFLなどは成績を提出しないと出願できません。上智は、少なくとも早稲田よりはEJUへの依存度が高いため、EJU不要へと踏み切ることはできなかったのではないでしょうか。入試スケジュールを遅らせることも、いろいろな事情でできなかったのでしょう。

こうなると、注目は青山学院大学です。EJUを重視しているようですから、EJUなしにすると合否判定が厳しいのではないかと思います。時期をずらすことはどうなのでしょう。ライバル大学との駆け引きもあるでしょうし、今年に関しては日本人高校生の入試制度が変わりますから、留学生入試にかまけている暇はないかもしれません。

来月は、各大学のサイトから目が離せません。

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演技と運動神経

5月28日(木)

初級の、敬語を勉強しているクラスの授業にゲスト出演しました。尊敬語で動作を表現する対象の人物として、パソコンのカメラの前でクサい演技をしました。演技はどうにか学生にわかってもらえたようで、一安心しました。

さて、こういう時、どういう動作をすればいいでしょうか。自分が思いつくままに動いていては、学生の勉強になりません。担当のO先生からの要望は、1グループ、2グループ、3グループの動詞で演技してほしいというものでした。これは教える立場として当然の発想です。尊敬動詞の作り方を教えた後、実際にそれを使って表現してみるというのがこの授業の主旨ですから、各グループの練習をさせなければなりません。もちろん、パソコンの小さなカメラを通して学生たちに伝えるのですから、大きな演技はできないという物理的制約もあります。

さらに、学生たちがよく使う動詞、知っているけどあまり使うチャンスがない動詞、教科書では教えていないけど見聞きしたことがありそうな動詞、このレベルの学生にとってはちょっと難しいと思われる動詞、そんなのを織り交ぜることができたら最高です。これは何も尊敬動詞の練習に限ったことではなく、どんな場合でもこんなことを考えながら、資料をそろえたり例文を考えたりします。また、以前勉強した文法も使うような状況設定をしたり、間違えやすい助詞を取り込んだりなどということも加味します。

今の私は、まだ、とっさにそういう計算ができます。クラスの学生の特徴や性格や実力を把握していれば、その場で予定外のことを始めても、たいていは収拾をつけることができます。たまには失敗することもありますが。この頭の運動神経みたいなものが働かなくなったときが、日本語教師を引退する潮時だと思っています。

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文化の違いを乗り越えろ

5月27日(水)

6月から週に何日かは学校での授業を始めようと準備を進めています。3密を避けるために常に学生がたむろしていたラウンジをどうするか、授業後の除菌・消毒をだれがどのように行うか、そういった問題をひとつひとつつぶしています。登校した学生の体温測定をどうするかも大きな問題です。職員が非接触型体温計で測るところまではいいのですが、計測のために行列ができてしまっては意味がありません。学生全員が定刻までに来てくれれば話は単純なのですが、遅刻されると問題が複雑になります。

そんな問題よりはるかに大きな、おそらく解決不能な難題があります。手洗いの励行が感染防止に有効なことは論を待ちません。また、学生たちも手を洗いはします。しかし、洗った手をどうするかというと、自然乾燥か服や髪で拭くというのが一般的です。そんなことでは、せっかく洗った手が、服や髪についていた雑菌・ウィルスで汚れてしまいます。ちょっと考えればそのくらいわかるはずなのですが、ハンカチやタオルを持っている学生は、皆無に近いです。長年にわたって口を酸っぱくして注意しても、まったく効き目がありません。

ハンカチを持つことを厳しくしけるのは、日本の文化のようです。学生たちはそんな教育を受けて来ていませんから、突然持てと言われても、その意義が理解できません。教師が意義を説いたところで、心から納得するには至りません。学生の食習慣や勉強のしかたなどに違いを感じることはよくあります。でも、そのあたりは学生の方から日本流に歩み寄ることが多いです。ところが、このハンカチを持たない文化だけは、微動だにしませんね。

刻一刻と学生の登校日が迫っています。うまい対策がないものですかね。

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5月23日(土)

文部科学省の学習奨励費受給者を決める面接をしました。来週早々に締切がありますから、オンラインで候補にあがった学生たちと話をしました。

いつもなら、実物の学生が目の前にいて、受け答えしている最中の様子をすべて観察できます。落ち着きがないとか、表情に余裕が感じられるとか、貧乏ゆすりが気になるとか、背筋がしゃんとしているとか、視覚情報もたっぷりいただきます。学生がこちらの質問に答えた内容も重要ですが、こういった非言語情報も最終決定の際の重要な要素になります。

オンラインでも顔は見えます。しかし、目を合わせることは難しいです。あっているような気もするけれども、学生側にこちらの支線が届いているか、手ごたえがありません。しかも、ネット環境が不安定になると、画面や音声が乱れたり途切れたりします。こんな状態で得た言葉以外の情報をもとに決定するのは公平さを欠く気がしました。

それでも、どうにか、受給者として推薦する学生を決定しました。ここ何年か、奨学生に選んだ学生が思ったように伸びない例がちょくちょくあります。だから、こういう不安な要素のない形で選考したかったのですが、学生を学校に呼ぶわけにもいかず、コンピューターの画面越しに面接せざるを得ませんでした。

大卒予定者の就職面談もオンラインだそうですが、人材確保は、企業にとっては命運がかかっています。担当者は私以上にもどかしさを感じているのではないかと推察しています。学生の側も自分の人生がかかっています。お互いにストレスと悔いを感じない出会いができる日が来るのは、もうすぐなのかな。

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働く留学生

5月22日(金)

お昼に入ったお店で、ちょうど「学びの継続給付金」について取り上げている番組を流していました。そこでは、留学生にだけ成績上位3割という条件(目安)を設けるのは不公平ではないかという論調でした。本気で勉強している留学生なら上位3割に入って当然であって、そういう留学生を救うのがこの給付金の本旨だと言いたいのでしょう。働くことを目的に留学している留学生を排除するには、こういう関門を設けるべきだということなのだと思います。外国人留学生に給付金を渡すには国民に理解が必要だとかということを言っていた政府関係者がいたような気もします。

経済的に困窮している学生に、10万円では少ないかもしれませんが、お金を配って勉学を続けてもらおうというのがそもそもの発想です。そこには日本人の大学生と留学生とに区別はないんじゃないでしょうか。そりゃあ、アルバイトの方に熱心な留学生もいたでしょう。そういう学生はアルバイトがなくなって生活に困っていても助ける必要がないという論理なのでしょうか。同じくらいアルバイトに精を出していても、日本人学生なら苦学生として助けなければいけないと考えているんですよね。

ある新聞に「…次の段階で認める留学生はコンビニなどの業界を働き手として支える」と、留学生はビジネスパーソンに続いて入国規制緩和の対象になると書かれていました。この、社長さんがいちばんよく読んでいると言われる新聞では、留学生は働き手として認識されているのです。だったら、アルバイトがなくなって困っている留学生を、むしろ優先的に援助しなければなりません。

東京の新規感染者数は3人だそうです。順調に減っていますが、救いの手の隙間に落ちそうな留学生がいることを忘れてほしくないです。安倍さん、賭けマージャンおやじよりも留学生の今後を考えてください。

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スイッチON

5月20日(水)

寒い1日でした。日中も気温があまり上がらず、瞬間的に15度をやっと超えた程度でした。気象庁のデータ上では3月下旬並みですが、体感的にはもう半月かひと月ぐらい前の寒さでした。午後の受験講座では、暖房を入れました。学生がいれば体熱でけっこう教室が暖まるものですが、私の体温のほかはパスコンの排熱だけという状況では凍えてしまいそうでした。

今年は5月に入ってから気温が低めに推移しているように感じます。伊達の薄着で半袖を押し通そうという気も起きません。きっちりネクタイを締めて、体温が逃げるのを防ぎたくらいです。5月の初めに勢い込んで長袖のワイシャツをみんなしまってしまったので、半袖シャツの上に薄手のジャケットを羽織って出勤しています。駅までも駅からも余計なところに立ち寄らず、まっすぐ目的地に向かいますから、緊急事態向きかもしれません。

そんな寒空の中、代講で久しぶりに日本語の授業をしました。養成講座で日本語文法の講義はしてきましたが、留学生相手の日本語の授業は学期初め以来です。1か月以上間が空いていましたから、うまく授業を仕切れるだろうかと心配でした。でも、教材を目の前にすると、スイッチが入ってしまうものです。この順番で進めてここでこれをして…と流れが思い浮かび、ぱきぱき指名したり学生の間違いにツッコミを入れたり、そこそこ授業を楽しむこともできました。

学生はどうだったでしょうかね。名にか得るものがあったでしょうか。でも、授業の終わりにオンラインのチャットで「ありがとうございました」なんて言われると、達成感が湧いてきました。午前中の授業は、暖房なしで乗り切れました。

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ひそかな祈り

5月16日(土)

今学期はもっぱら受験講座と養成講座を担当していますから、日本語のクラスには2回しか入っていません。それも新学期第1週でしたから、オンライン授業がどんな様子で進んでいるのか、実感としてつかめません。しかし、いつの間にか授業は進み、来週の月曜日は中間テストです。

授業を担当している先生方が一番苦心なさっているのは、オンライン向けの試験問題を作ることです。学生たちが目の前にいるわけではありませんから、言ってみればカンニングはし放題です。信用ベースでテストをして、正直者が馬鹿を見るような結果になったら意味がありません。各学生の評価もできなければ弱点も探れません。今後の指導に生かせるデータは何一つ得られないという結果にもなりかねません。ですから、先生方はカンニングできないテスト、しても労多くして功少なしとなるようなテストの作成に傾注なさっています。

私が上級クラスのテストを作るときは、問題を大きく2つに分けます。1つは学生に点を取らせる問題です。授業でやったことをあまりひねらずに出題します。この手の問題で合格点を確保させ、力の差が明らかになる問題で学生の力を測ると同時に、できる学生を満足させます。点を取らせる問題で点が取れない学生は、欠席が多いか授業を聞いていないか、さもなければ授業を聞いただけで全然勉強していないかのいずれかです。

力の差が見える問題は、ひねりを加えた応用問題です。これは、習ったことに自分の感覚も加味して答えを導き出します。たとえ教科書やノートを見ても、あるいは辞書を頼っても、水準以上の答えにはなりません。私が今学期のテストを作るとしたら、そういう問題にするでしょうね。

…と簡単に言いましたが、これはこちらの頭脳も試されます。納得のいく“作品”ができあがるまでにかなりの労力を要します。M先生とH先生がパソコンに向かっています。学生たちをうならせる問題ができることをひそかにお祈りしています。

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これぞポストコロナ

5月15日(金)

EJUの中止が発表されてから2日経ちました。しかし、話題になっているのは日本語学校とその周辺だけで、朝日も日経も毎日もNHKも、取り上げた形跡は全くありません。緊急事態宣言解除とか夏の高校野球が中止になりそうだとか大相撲の現役力士が亡くなったとか大河と朝ドラが放送中止になるとかもちろん安倍さん周辺の話題とか、そういう大きなニュースの彼方にかすんでしまって、完全に無視された形です。たかだか3万人の受験生の試験になんか、かまっていられないのでしょう。JASSOはせっかくプレスリリース用のPDFも用意したのにね。

大学の中はどうなのでしょう。在学生の対応で手いっぱいで、外国人留学生入試どころじゃないかもしれません。EJU中止の報に反応したのは、早稲田、明治、法政の各大学で、他は例年6月のEJUしか使えない入試日程の大学も未反応です。反応した3大学にしても「対応を検討中」というレベルですから、学生も学生を指導する教師も手探りのままです。大学に根回ししていたら、ちょっとは実質的な反応があったんじゃないかと思いますが、実際はどうなのでしょう。

やっぱりJASSOにはもう少し早く発表してほしかったなあ。去年11月の凡ミス、そのせいかどうかしりませんが、11月の試験問題出版中止、そして今回と、私の気持ちの中ではJASSOは黒星続きです。大学が、そういう組織に頼らずに現地から直接留学生を募集しようってなったら、日本語学校は総崩れです。昨日のこの稿で触れたポストコロナ、日本語教育界はこの動きかもしれません。

東京の新規感染者数が1桁になったそうですが、今一つ明るい気分にはなれません。

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ついに

5月13日(水)

結局、6月のEJUは中止になりました。6月に行われる予定だったいろいろなイベントの中止は先月中に発せられたものが多く、まだ何の発表もないということは、EJUはこのまま突っ走るのかと思っていました。でも、力尽きたようです。

中止ももっともだよね。EJUの試験会場となる大学がキャンパスを閉鎖して学生を入れていないんですから、EJUの受験生だけ例外なんてわけがありません。だったら、もっと早く中止って連絡してくれよって言いたいです。出願締切が3月13日でしたから、4月に中止宣言というのは、しづらかったのかもしれません。でも、やっぱり、留学生って軽く見られてるのかな。

6月のEJUが中止になると、W大学やA大学のような出願や入試が早い大学は、選抜方法の変更を迫られます。去年の11月のEJUを受けていない志願者が多数いるはずです。そういう留学生にはどう対応するのでしょう。独自試験とするのか、面接を強化するのか、志望理由書などの書類審査の比重を増すのか、何かどうにかするのでしょう。これからは各大学の入試サイトを毎日確かめるくらいの気持ちでいないといけません。

学生たちには、うろたえるなと言いたいです。出所が不確かな情報に右往左往していたら、結局損をするのは自分自身です。こういう異常時にはデマがつきものです。信ずべき話なのか、信ずべからざる噂なのか、それを見極める判断力が求められます。「みんなが」とか「あなただけに」とか、そういう言葉に惑わされてはいけません。これは私たち学生を指導していく身にも共通です。情報に接したらその真偽を速やか判定し、伝えるべき人に確実に伝えることが、私たちに課せられた任務です。

EJU中止は、学生たち私たちにとっての緊急事態宣言です。

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会いたいですね

5月12日(火)

今学期入学予定だったのにまだ入国できていない学生から、EJUの対策を聞かれました。受験地を日本にしているとすると、受験日までに入国して2週間程度の隔離期間を済ませられるかどうか微妙な状況ですが、それには触れずにどんな勉強をすればいいかについてだけ答えました。

日本語でネックになりそうなのは、読解よりも聴解・聴読解でしょう。日本にいないと、努めて求めないかぎり、日本語の音声を耳にする機会が非常に少なくなります。ですから、インターネットを利用して日本語の音に触れることを勧めました。聞くんだったら、ドラマよりもニュースでしょうね。規範的な日本語に耳を鳴らしておいた方が、EJUにおいては点が取りやすいのではないでしょうか。

日本語以外の科目は、これはという問題集や参考書がありません。出版されていないわけではありません。しかし問題の出し方が違っていたり、そもそも問題として成り立っていなかったり、答えの解説が不親切だったり、そもそも答えが間違っていたりなどという例が散見されます。レベル的にはセンター試験が近いのですが、やはり作問傾向が違いますから、自信を持ってお勧めとはいきません。国の親元にいるのなら、高校時代の教科書で基礎部分をがっちり復習しておくのが、結局は一番力がつく勉強になると思います。

以上のようなことを考えると、過去問がいちばんいいという結論になります。でも、過去問はすでに手を付けたからこういう質問が来たとも考えられます。その場合でも、同じ問題を繰り返し解くことを勧めます。間違えた問題の答えを見てわかった気になるのではなく、間違えなくなるまで解くことで力がつくのです。でも、これは地味でつまらない勉強法ですから、みんなやろうとしません。新しい問題、難しい問題に挑戦したがります。

まだ見ぬ学生たちは、私の回答にどんな反応を示すでしょうか。そして、しっかり勉強してくれるでしょうか。

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